■無愛想な男の夢5
展示物の内容についての情報収集から始めた。
「とはいえ、ただ解説するだけじゃ面白くないよね」
くーちゃんが一捻りほしいと言う。
「工夫するって言ってもねぇ」
まーさんが悩む。
「だったら対話式にしたらどうですか?」
ふと思いついた。
「新人くん、いい案だね。くーちゃんどう?」
「いいね。君を質問者にして、私たちが答えるようにすると分かりやすくなるわね」
「私もその案がいいと思う」
みんなが俺の案に頷いた。
それからは準備が捗った。
それぞれの講義もあるなか、みんなが揃った状態で作業を進めた。それはサークルとしての方針だ。全員で取りかからなくてもいい簡単な作業であっても、必ずメンバーを揃える。
人数が少ないからこそ、みんながひとつになって活動することが望ましい。そう、くーちゃんが言っていた。
準備が続く中、5月の連休にサークルメンバーで出掛けようという話になった。なんでも、とっておきの撮影スポットがあるらしい。
提案した かよちゃんによるとバスで二時間ほど行った場所に綺麗な花畑があるらしい。様々な花が咲き誇り、著名な観光地として賑わっていると彼女は説明した。
くーちゃんや まーさんも、行ったことがあるらしい。
その話の流れで「新人くんがいい写真を取れるように、アドバイスしてあげるよ」と、まーさんが言った。
「そんな、悪いですよ・・・」と遠慮した。まーさんだって写真を撮りたいはずだ。
「まーさんは写真撮るの上手いから参考になるよ」と、かよちゃんが勧めた。
「別に常にべったりって訳じゃないんだから。手間は取らせないし、私の・・・趣味みたいなものだから遠慮は無用だよ」と、まーさんに説得された。
変わった趣味の持ち主だなと思いつつも説得に応じた。
「分かりました・・・じゃあ、お願いします・・・」
この人たちは言い出すと止まらないのだ。
こうしてアドバイスを受けることになった俺は、今まで以上に意識して撮影するように心掛けた。この機会を無駄にしないため、素人なりにもベストを尽くさないといけないと思ったからだ。
過去の俺なら、こんなことはしなかっただろう。
自分の身に何が起きているのだろうか。彼女らに乗せられているのか。それとも、写真がそうさせたのか。最近の心境の変化に戸惑いを感じていた。




