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断片6
深い、深い眠りから覚めたような感覚だった。
目を開けると、そこには見慣れない天井があった。柔らかく寝心地のいいベッドも覚えがない。
辺りを見回すと妻が見つめていた。
「大丈夫なの?」
妻の問いかけに、まだ状況を整理できていない頭で答えた。
「あぁ・・・大丈夫。何があったんだ・・・」
「働きすぎなんじゃない?」と呆れと心配が入り交じった声で言う。
「そんなことはないさ・・・最近いろいろと忙しかったから、疲れが溜まったんだ」
「子供たちのことを気に掛けるのは良いけど、ちょっとは自分を気遣ったら?」
妻は決して今の仕事をやめろとは言わない。どんなに辛い顔をしようとも止めはしないだろう。無謀とも言える仕事を引き受けた自分に、責務を負わせようとしているのだ。
自分でもこの職務を全うできるなんて思っていない。
それでもこの道を選んだ理由は、全うできなかった姿に怯えるより先に、全力で取り組む姿にあこがれを抱いたからだ。
〈あんな風になりたい・・・〉
私は今になって後悔している。




