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第3章 思いがけない再会——武官たちの中で、再び

白雲と軽く会話をしながら、私は診療所がある区画へと向かう。


外から戻ってきた武官たちが増え始め、周囲は次第に騒がしくなっていく。


その流れのまま、私たちはそのまま治療室へと入った。


「どう?」


白雲が声をかけると、白い長衣を羽織った中年の恰幅の良い男性が振り向いた。


「ああ、今回はそれほど怪我人も出ていないようだ。おや、姫香か。手伝ってくれるのかい?」


「あ、はい。お久しぶりです、陸先生」


私は軽くお辞儀をして、医師である陸景和リク・ケイワに挨拶する。


そこへ、陸のもとで働いている看護人の林清蘭と蘇桃花が合流した。


軽く挨拶を交わす間もなく、武官たちが次々と運び込まれてくる。


気づけば、治療室はすぐに人であふれていた。


幸い、命に関わるような重傷者はいない。


それでも、裂傷や打撲の処置が続き、陸の指示のもと、私は次々と手を動かしていく。


「こっち、出血が多い。先に止めてくれ」


呼ばれて振り向き、すぐに駆け寄る。


傷口を押さえながら深さを確認し、血の流れを止める。


「……大丈夫、少し我慢してください」


短く声をかけて、汚れを落とし、薬を塗る。


布を当てて、ずれないようにしっかりと巻いていく。


別のところでは、打撲で腕を押さえている者がいる。


動かせるかどうかを確かめ、無理に使わないようにと伝える。


――日本では、ほとんど見ない光景だ。


それでも、今はもう立ち止まることはできない。


呼ばれれば動き、次の処置へと移る。


ただそれだけを、考える暇もなく繰り返していた。


最後の処置が終わる頃には、外はすっかり暗くなっていた。


もともとここに来たのも夕方近くだったのだから、仕方がない。


お師匠様には事情を説明し、魔道鏡で遅くなることは伝えてある。


気づけば、張り詰めていた気もようやく緩んでいた。


―――――――――――――――――――


治療が一段落し、ようやく腰を下ろす。


さすがにこのまま帰るのは厳しい、ということで――現在、私は白雲さんと食事の真っ最中である。


「すっかり遅くなっちゃったわね。泊まっていったら?」


「明日も店番があるので、帰ります」


「そう? でもね、さすがにこんな時間に一人で帰すわけにも――」


白雲がそう言いかけたところで、ぱっと表情を変えた。


「あ~ら、越じゃな~い」


振り向くと、食堂の入り口をくぐってくる人影が見えた。


それが凌越だと気づいて、思わず息が止まる。


……やっぱり、かっこいいかも。


ひとりで勝手にドキドキする。


武官仲間だろうか、二人ほどに背中を押されるようにして、少し面倒そうな顔のまま、こちら――というより白雲のほうへやってくる。


「もう、せっかく治療するのを待ってたのに。空気読んでちょうだい」


白雲はそう言って、ウィンクまでつけている。


「瀕死になっても、白雲さんのところには絶対行くつもりはないですから」


げんなりした様子で返してから、凌越は私のほうを見る。


「この間は世話になった」


不意に声をかけられて、一瞬言葉が出なくなる。


「あ、いえ……はい」


我ながらひどい返事だと思いながらも、なんとか言葉を返す。


「あら、あなたたち知り合いなの?」


白雲が楽しそうに身を乗り出す。


私が答える前に、凌越が先に口を開いた。


「ええ。少し前に、怪我の治療をしてもらいました」


「そう。ならちょうどいいわ」


白雲は満足そうに頷くと、さらっと続ける。


「姫香をお師匠様のところまで送ってくれるかしら?」


――全然よくない。


冗談じゃない。自分好みのイケメンと二人きりとか、無理に決まってる。


「あの、白雲さん。私、送ってもらうような年齢じゃないので、一人で帰れます」


慌てて口を挟むと、白雲は呆れたようにため息をついた。


「ここは姫香がいた世界みたいに安全じゃないのよ。本当、いいところで育ったのね」


「と、いうことで。よろしく頼むわね」


軽い口調で、今度は凌越へと視線を向ける。


凌越は一度私を見てから、小さく頷いた。


「わかりました。すまないが、すぐに食べ終わるから、少し待っていてくれるか」


「あ、はい……あの、すみません。お疲れのところ」


申し訳なさに耐えきれず、ぺこぺこと頭を下げる。


そして――数十分後。


送ってもらうことを、私は激しく後悔することになる。

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