作戦決行 其の十二
お願いします
「憤極乃寒剣、勇気ある行動に賞賛を」
空を覆い尽くす、無慈悲な剣その矛先は
「我々では無い?」
ザブラ達とは別方向に向いていた
ある一本は真横に向け、ある一本は下に向いて…
その時、サッと二人の顔から血の気が引いた
あの剣の矛先は自分達ではなくて、避難していた住人に向いていた
「このっ外道がぁ!」
「なんとでも言うといいさ、僕はこの世界を愛せない」
挙げていた手をゆっくり下ろし、氷剣が住人達に襲いかかる
その時、全ての剣が砕け散り、己の背中から腹にかけ
刃が貫いていた
「これがあんたのやりたかった事?」
「ああ?」
目の前の状況に理解がついて行かなかった。なぜ、なぜ
「お前は死んだ筈だろ!希望の王」
いない筈の王が両手に剣を持ち佇んでいた
「あんたを止めるために…
「お前は前世をどこまで知ってる?」
答えてはいけない、答えられない問いをかけてきたもう一人の自分
「おかしいと思わなかったのかい?僕達は異なる次元で死亡し、この世界にやって来た。その時の神様の言葉覚えてるかい?」
『魂が消滅し切る前に異世界に飛ばされる事になったんです』
あの時、神はそう言った
「僕の“魂”が消え去る、つまり肉体的にも精神的にも『死』を意味する。“魂”は記憶の積み重ねで創り上げられる唯一の物、神ですら完全に同一の物を作るのは不可能。」
目の前の“俺”が声高々に喋っている
「“転生”というものもそうだ!壊れてしまった魂を転生先の肉体に“転写”し記憶を上書きする、それが俗に言う“転生”と僕は考える」
「なら、この状況は何だ!なんで“俺”とお前がいるんだ」
「簡単だ、“転生”自体魂が無くなる事を想定して行うものだから、僕達は“魂”が消え去る前に転生した、でも記憶の殆どが受け継がれず、僕の意識も曖昧で、壊れたものをツギハギで補ったものだからね」
「じゃあ俺は何だ!」
「君は本来なら有り得ないもの、僕が転生したのは良いが“器”が大き過ぎて自我を保てなかっただから、『代わり』が君だ、僕の代わりに身体を動かし、経験して感じ取る、『僕』が動けるだけの時間を稼ぐ役割がきみだ」
「じゃあ俺はどうなる、俺は!どうなるんだ!」
椅子から立ち上がり相手の胸ぐらを掴む
「君の役割はもう終わった、君はもう消えるだけの…空っぽの魂だ」
「ふざけんな…ふざけるなぁあ!!」
横っ面を殴り倒す
地面が剥がれ、身体に纏わり付く
剣を持ち、勇気を確かめる
「黒鉄鎧【呪奏】!!!」
「勇気ある行動に賞賛を」
奇跡の光と、呪いの一撃が交差した…
己の存続をかけて
「あんたを止めるために、来たのよ遥々異世界からね」
「カフジエルっっ!!」
奇跡の光と氷剣が混じり
「消えろぉぉお!!」
辺りを無尽蔵に氷に変換する斬撃
「どうしようも無い人ね、あなたも私も…【希望強化】」
青白い一撃が繰り出される。すると真っ白なマントに身を包み、長さが違う剣を両手に携えたカフジエルが前「邪魔」に
ありえない速度で氷剣を突破して、ヨウヘイに蹴りを喰らわせる
ヨウヘイの体がくの字に曲がり、飛ばされる
「今の私相当機嫌が悪いの、殺しても文句言わないでよ?それにしても今何かした?」
「ぶっ殺してやるよ、クソが」
何事も無かったように立ち上がる彼を見て眼を細めるが、勝ちを確信したように剣を構え
「いいわ、剣だけで相手してあげる」
怠堕が最高の舐めプを宣言した
怠堕、遂に始動!




