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若い5人の女性たちが「もりもり」と呼ばれるおじさんを通して成長する物語(旧タイトル名:既婚者のもりもりさんは60才になっても、20代独身女性の恋愛対象なんです)  作者: @FITabc
シーズンⅠヒロイン登場

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4/7

Barのカウンターに並んで座る、エーコともりもり

ビルの地下にあるBar、エンジェル。

名古屋の錦3丁目にあるもりもりの行きつけのお店。


Barの扉が開いた。

黒のノースリーブブラウスに、落ち着いたグレージュのスラックス。

小さめのボルドーのクラッチを片手に、後藤エーコが入ってきた。


ノースリーブとスラックスを着こなす長身のエーコが入ってきた途端、店内の空気が、一瞬静寂に包まれた。


もりもりは、カウンターのマスターと談笑している。

ベージュのジャケット、中には白い厚手のTシャツ。そして、濃い色のデニムスキーニーパンツ。


「こんばんは、もりもりさん。お待たせしてすみません。」


「あ、後藤さん・・・。見違えるようにきれいだよ。」


もりもりに綺麗と言われ、記憶が飛んでしまった。

「あ、あ、後藤です。お待たせしてすみません。」


「大丈夫。隣の席に座って。」


エーコが座って落ち着いたところで、牡蠣のアヒュージョ、野菜スティック、スモークサーモンが出てきた。


「あ。おいしそう。」


「飲み物は?」


「うーん、もりもりさんは?」


「知多のハイボール。後藤さんは?」


「どうしようかな・・・、もりもりさん、決めてくれますか?」


「じゃあ、食事も出てきたし、カクテルから頼もうか?後藤さんの雰囲気に合うホワイトレディーでいいかな?レモンの香りがして、落ち着くよ。」


「あ、それをお願いします。」


マスターが自らシェイクし、エーコの前に。


「ありがとう。いただきます。」一口飲んで、

「あ、おいしい。なんか、リラックスできます。」


「よかった。メニューはここにあるから。」


「わたし・・・、あの。」


「ん?」


「もりもりさんに、耳打ちするから、私の代わりに注文してくれます?」


「わかった(笑)」


もりもりは、グラスの氷をカラカラ鳴らして、

「今日は、一度帰ったの?」


「はい、着替えてから来ました。お洋服のチョイスに悩みましたけど。」


「いや、よく似合ってるよ。」


「そんなことないです・・・」


「後藤さんは、仕事をした上に、一人で家のことをこなしながらだよね。ぼくには、出来ないなぁ。」


エーコは、うつ向きながら微笑んだ。

「そんな……普通ですよ。」


「その普通が、出来ないのさ。仕事もちゃんとやってるの、見てて分かるよ。」


エーコは返事をしなかった。


その後、マスターも交え、談笑しながら、会話とお酒、料理を楽しんでいる。


もりもりが席を立ってから、エーコがマスターに問いかけた。


「マスター、もりもりさんは、ここのお店に初めて来てから長いのですか?随分いろんなこと知っているから。」

「私なんかと、来て良かったのかしら?もっと素敵な方と来ていそう。」


「え?(笑) 内緒だけど、女性と二人きりでここに来たことないよ。今日はどーすればいいかなって。後藤さんがくる30分前に来ていたよ(笑)

いつも一人で会話を楽しんでさっさと帰るのが彼流かな。」


「え?ほんと。」

顔を赤らめ、頬に手をあてるエーコ。

「もりもりさん、今日は本当にありがとう。すき・・・」

だれにも聞こえない声で。


戻ってきたもりもり。


「そうだ、後藤さん、本が好きって、言ってたね。」


「覚えててくれてたんですか?」


「もちろん。」

もりもりはバッグから新しい一冊のコンパクト本を取り出した。


タイトルは、得手えてに帆あげて


「これ、HONDA(本田技研)の。」


「うん。本田宗一郎さんの本。偉大な創業者の生き方がどうとかじゃなくて。

これ、めちゃくちゃ笑えるんだよ。特に本田さんの少年時代のエピソードが。

これ、プレゼント。気が利かないもので、申し訳ないけど。」


「え?」


エーコは驚いたように目を瞬かせ、そっと本を受け取った。


「ありがとうございます。気が利かないなんて、そんなことないです!うれしいです。

すこし、見たいです。その場面。」


「見る?ちょっと貸して。」


肩を寄せてパラパラと本を巡る2人。


「あ、ここ。」


2人で文字を追う。


すると、


2人で大笑い。


「可笑しい!本田さん、最高!」


「でしょ?暇なときにゆっくり読んで。」  


「そうします!読むのが楽しみです!」


「よかった。」



グラスの氷が、かすかに鳴った。


「……なんか、お腹すいちゃいました」


エーコが、少しだけ頬を赤くして言う。


「何食べたい?」


「んー……もりもりさんとシェアできる何か。」


もりもりが、手長海老のビスククリーム タリアテッレをオーダーした。


「わー、おしゃれね。でも、それ何ですか?」


「実は初めて注文するんだ。」


二人で笑う。


出てきた料理を見て、

「本当に手が長い・・・」


「本当だね」


もりもりは、自分の分を取り皿に取り分けて、残りの大皿をエーコに渡す。


「ありがとう。もりもり。」

エーコは、もりもりとの呼び方が自然に出てくる。

もりもりは気が付いていないが。


こうして、エンジェルでの二人の時間が過ぎ、帰りのタクシーの中。


「今日はありがとうございます。」


「こちらこそ。いっぱい食べた?」


「お腹いっぱいです。」


「この前、ご飯を食べに行ったときは、すこし疲れているようだったけど、今日は顔色もいいし、たくさん食べてくれて、ぼくも嬉しいよ。」


「なんか、お父さんみたい。」


「え?そうかな・・・でも、ぼくは、お父さんみたいなもんかな。」


「えー。嫌です。そんなの。」

と、エーコは口を尖らせた。


本当はもりもりともっと一緒にいたかった。

「また、一緒にご飯、行きたいです・・・」


「もちろん、いいよ!」ともりもり。


もりもりが、次の約束してくれたから・・・まあ、いっか。

と、エーコは思った。



「この辺だっけ?家に入るまで見ててあげるから。」


「もりもり、ありがとう!次も約束ですよー」

と言って、もりもりの手の甲の上に手を置いた。


手を大きく振って出ていく後藤エーコ。


もりもりは、時計を見て、

「今日はアルコールが入ったから、明日はジム休み!」



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