守護者との邂逅
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ギルドの受付嬢は、能面のような貼り付けた笑みを浮かべていた。
「ダンさん、あなたたちなら……この『禁忌の書庫』の調査依頼、受けられるかしら? ガーディアンの行動法則を解読して排除する、難度の高いクエストよ」
ダンは書類を一瞥し、即座に結論を出した。
(行動法則……要するに、奴の攻撃はランダムじゃない。魔力の波動と、床の振動による一定のパターンだ。詰まらないな、あまりに単純だ)
依頼を受け、王都を後にした俺たちは、鬱蒼とした森を抜けていた。
目の前に、崩れかけた巨大な石造りの門が姿を現す。ガレリア王国南、王都から20キロ。かつての栄華を語るにはあまりに無残な、死の静寂に包まれた遺跡だ。
マリが肩で激しく息を吐き、額の汗を拭う。
「お兄ちゃん、遠かったね!」
泥と枯れ葉にまみれた彼女の足元。それでもその瞳には、疲労など微塵もない。私を値踏みするかのような、鋭い光だけが宿っている。
俺は立ち止まらず、門の先――暗闇が支配する遺跡の奥底を凝視した。瘴気が濃い。これこそが俺たちが求めていた「禁忌の書庫」そのものだ。
「あぁ……だが、すぐに入るぞ!」
迷わず足を踏み入れる。門をくぐった瞬間、肌を刺すような冷気が全身を包み込んだ。
かつての文官としての勘が警鐘を鳴らす。この遺跡の構造は、完全に「排除」を前提としている。
「……うん。お兄ちゃん、私の前に立たないで。……間違えて刺しちゃうかも」
背後でマリが不穏なことを呟く。
彼女は既にナイフを抜き放ち、暗闇を凝視していた。その姿は、もう「か弱い妹」ではない。獲物を狩るための、純粋な殺戮装置だ。
俺は小さく鼻を鳴らし、暗闇の奥へと足を進める。ここから先は、地図にも載っていない地獄だ。
10分ほど歩くと、重厚な扉が行く手を遮った。
「ここが禁忌の書庫か?」
躊躇なく扉を開く。ギギギギィ……という嫌な音が静寂を切り裂いた。
「……マリ、入るぞ。気をつけろ」
扉の先には、名に違わぬ『禁忌の書庫』が広がっていた。天井まで届く圧倒的な書架の壁が、侵入者を冷徹に呑み込む。
「お兄ちゃん、これ全部……」
マリが呆然と口を開ける。だが、かつて文官として知を貪った俺の本能もまた、不謹慎なほど高揚していた。
その時だ――。
轟音と共に、目の前に何かが墜落した。
「出たな!」
出現したのは『重装甲の機巧人形』。奴が踏み込むたび、床が微かに震える。
(……三歩動いて、左から薙ぎ払い。次は、右回転か。単調だな)
「マリ、パターンは見切った。お前がやれ!」
俺は不敵な口角をあげ、戦場を支配するためのシミュレーションを加速させる。
(強くなれ、マリ。お前のその力、復讐の最前線でこそ輝くんだ――)
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