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オカルト研究部の幽霊部員  作者: 椎名焔妃
オカルト研究部への道
18/19

必要なもの

佐伯さんの相談事が片付いてから、二週間が経とうとしていた。

あれからオカルト研究部に相談事は来ていない。

やはり、神野先生にここに行けって言われて本当にここに来る人はあまりいないのであろう。

ちなみに相談事が来ないと言っても、オカルトっぽいことをしたことはまだ一度もない。

主な活動内容はアニメ談義になっており、俺が城ケ崎を部活に来させるために言った「もはやアニメ研究部になる」というのが本当の話になろうとしている。

須藤はというと、いつも本を読んでいることは変わらなかった。

それでも須藤は、ちょくちょくオカルトの話題を振ろうとしていたが、そのたびに城ケ崎に睨まれては黙ってしまうのであった。

さすがに須藤が幽霊部員になってしまったら困るので、俺が


「須藤、幽霊部員にだけはなるなよ」


と聞くと、


「なるわけないじゃん」


と涼しい顔で答えた。


「でもオカルトの話がしたいんじゃないのか?」


「まぁ、したいけどさ。でも美女が二人が目の前にいて、しかもあの城ケ崎に睨まれるんだぜ。ぞくぞくすらぁ」


と変なテンションで答えた。

そういえばこいつ、変態だったな・・・。

城ケ崎に睨まれたいがために、オカルトの話題を振っていたのか・・・。

まぁ、理由はどうあれ須藤が幽霊部員になる心配はないようだった。





◆◆◆◆◆◆





今日も特にすることもなく、俺は部室でスマホを眺めていた。

俺の隣では須藤が本を読んでおり、前では天月と城ケ崎がアニメ談義をしている。

これがいつもの光景だ。

そして必ずと言っていいほど、城ケ崎が俺にアニメの話を振ってくる。


「なあ佐和野。お前はバトル系と日常系どっちが好きだ?」


「んー、面白ければどっちも好きだが」


「お前いつもそればっかだな・・・」


いいだろ、別に。

みんな違ってみんないい。アニメだってそうだ。


「城ケ崎はどっちが好きなんだよ」


「あたしはな、日常系だ」


「・・・そうか」


聞いといてなんだけど、正直どうでもいい。


「私はバトル系!」


天月が言った。

お前には聞いてすらねえよ。



その時、『ガララッ』と勢いよく部室の引き戸が開かれた。


「やあやあ、君たち。ちゃんと活動しているかね?」


神野先生だった。

いくら顧問でもノックくらいしてほしい。

いきなり入ってこられるとビビる。


「先生、、、何しに来たんですか?」


俺が言った。


「佐和野。まるで私に来てほしくないみたいな言い方だな」


大当たりです。先生。

また面倒なことを押し付けられるのはごめんだ。


「・・・まぁいいが。それで相談事は来ているかね?」


先生はそう言った。


「それが、二週間くらい前に来たっきりで、、、」


天月が答えた。


「ん?それはおかしいな。私のところには相談、来てるぞ。そのたびにここを紹介しているんだが、、、」


ふむ。俺が思った通りだな。


「ここはオカルト研究部ですからね。紹介されても来るわけがないんですよ」


「そういうもんかぁ・・・」


先生は困った顔をしている。


「そういうものです」


「・・・今度からは絶対に行けと強制してみるか」


な、なんて外道な・・・。

もはや職権乱用というやつではなかろうか。


「で、先生。何しに来たんですか?」


「ああ!そうだった!君たち何か必要なものはないかね?」


「必要なもの?」


天月が不思議そうに聞いた。


「この部活にな。なにかあれば、用意出来ると思うぞ」


用意出来るって・・・。

ああ、部費でもあんのかな。


「部費を使うってことですか?」


「ちょっと違う。そもそもこんな部活に部費などでない」


ですよねぇ・・・。

でもこんな部活って・・・あなたその顧問ですよね?


「じゃあ何ですか・・・」


「このオカルト研究部に必要なものをこの紙に書いて、生徒会に提出し承認されれば、経費でそれを買ってもらえるわけだ」


そう言って先生は書類を渡してきた。

・・・なるほど。

天月は「へ~」と言っている。

先生は、俺たちが納得したと思うと、


「そういうことだ。活用したまえ」


と言って部室から出て行った。



確かにこの部室には何もない。

後ろには机が積み重っており、前には俺たちの机があるだけだ。


「じゃっどうしよっか!」


天月が言った。

書類を見る限り、必要なものを買ってもらえるのは一つだけ見たいだ。

必要なものねえ・・・。


「なんか必要なものあるか?」


「ある」


城ケ崎は即答した。

・・・そうか。


「須藤は?」


「あるな」


「私もあるよ!欲しいもの!」


あるのか・・・。

天月もあるみたいだし。

てかお前が欲しいものじゃなくて、この部に必要なものだからな。


「みんなあるのか~。じゃあ、、、」


そう言って天月はノートを取り出して、一枚ずつ俺たちに配った。


「ここの必要だと思うものを書いて、いっせーので、見せ合いっこしよう!」


なにそれ、なんかのゲーム?

別に口頭でもいいんじゃね?と思ったが、天月がなにやら楽しそうだったので、乗ってやることにした。


さて、俺は何を書こうか・・・。

この部に必要なもの、必要なもの・・・。

・・・よし。これだな。


「みんな書けた?」


天月がそう言うと、俺、須藤、城ケ崎はうなずいた。


「じゃあいくよ!いっせーの!」


「ぽん!!」


バッとそれぞれの思った必要なものが露わになる。

え~と、どれどれ、、、



天月  テレビ(ブルーレイ再生機能付き)


城ケ崎 テレビ(録画機能付き)とソファー


須藤  望遠鏡


俺   まともな部員



・・・・・・。


なんだこいつら・・・。

天月と城ケ崎は完全にアニメ見るために必要なものじゃねえか。

城ケ崎にいたってはソファーまで付けちゃってるし。くつろぐ気満々じゃん。

須藤は望遠鏡? 天体観測でもするの?

午前二時、フミキリに担いでってほうき星でも探すの?

それとも、UFOとかいう見えないモノを見ようとしてんの?

俺がそう思ってると、


「さわ君、なにそれ?」


と天月に指摘された。

・・・こっちが言いてえよ。


「この部に必要なのはまともな部員だと思ってな」


「もの違うし、買えないし、まともだよ?」


どこがだよ・・・。


「じゃあお前らはなんなんだよ。そろいもそろってテレビって。必要か?それ」


「必要だろ」


城ケ崎が答えた。


「何に使うんだ?」


「そりゃアニメ見るんだろうが。ここはアニメ研究部だろ?」


天月も「うんうん」と頷いている。


「・・・ここは一応オカルト研究部だからな?」


てかまぎれもなくオカルト研究部だからな、ここは。

・・・そうだよな?


「それと城ケ崎、ソファーってなんだよ」


「それは、、、く、くつろぐためだ」


ダメだ、こいつ・・・。


「あ、ソファーいいね!私も賛成!」


「いいだろ?麗奈はブルーレイ再生機能付きのテレビか。それもいいな」


「いいでしょ。じゃあさ、それに録画機能も付いてるテレビにしようよ!」


「ああ、それがいい」


ダメだ、こいつら・・・。

というか城ケ崎はいつの間に天月のこと名前呼びになったんですかね?

仲がいいのはいいことだが、二人そろってバカとかどうしようもないんですけど。


「だいたい、買ってもらえるのは一つだと思うぞ」


「じゃあソファーはしょうがないね・・・」


「ああ、そうだな・・・」


テレビも無理だと思うけどな。


「で、須藤は望遠鏡か。何に使うんだ?」


「もちろん、UFOを探す」


おお、やはりオカルトっぽいな。

これなら、生徒会も認めてくれそうだ。

・・・だが。


「え~そんなのいる?」


「いらねえだろ、そんなの」


天月と城ケ崎は不満を露わにし、須藤を睨んだ。

須藤は身体を震わせて、


「い、いりません・・・」


と言ったが、その顔はなぜか満足げだった。

ダメだ、こいつ・・・。

俺は切実にまともな部員が必要だと思った。



結局、この部に必要なものは天月と城ケ崎の押しによって、テレビ(録画機能、ブルーレイ再生機能付き)として生徒会に提出することになった。


「で、この欄にはなんて書くんだ?」


俺は書類の『必要な理由』の項目を指して二人に言った。


「うーん、アニメ見るためじゃダメだよね?」


「ダメに決まってんだろ・・・」

  

「じゃあどうすんだ?」


こいつらには生徒会を納得させるような理由は書けそうにないな。

そもそもテレビがこの部活に必要なものではないからな・・・。


「・・・俺が書く」


そう言って俺は書類の『必要な理由』の項目にこう書いた。


『我々、オカルト研究部にテレビが必要である理由は、オカルトについての知識をより深めるために、部員たちと映像を見ながら議論がしたいからである。録画機能については、放映されたオカルト番組を部員たちと見るためであり、ブルーレイ再生機能についても、オカルト映像を部員たちと見るためである。以上の理由から、オカルト研究部に必要なものとして、テレビ(録画機能、ブルーレイ再生機能付き)を所望する』


・・・よし、こんな感じだろ。


「出来たぞ」


「わーありがとう!」


「しっかし佐和野。お前はよくこんな嘘をスラスラ書けるな」


「・・・ほっとけ」


いつか絶対に嘘ではなくしてやる。憶えておくがいい・・・。


「これ、どうすればいいのかな?」


天月は書類をペラペラさせながら、聞いてきた。


「先生に渡せばいいんじゃないか?」


「じゃあ渡してくるね!」


そう言うと天月は部室から飛び出した。

・・・天月がいない際に、城ケ崎に聞いとこう。


「いつの間にそんな仲良くなったんだ?」


「え?それは、、、いつの間にかだ」


そうか。まぁ友達なんていつの間にか出来るもんだもんな。

俺はそんなことなかったけど。


数分後、天月が職員室から戻って来た。


「どうだった?」


「先生はこれが承認されるか分からないけど、生徒会に提出してくるって」


「そうか」


「これで、部活でアニメが見れるんだな・・・」


・・・まだ決まったわけじゃないんだが。

むしろ承認されない可能性のほうが高いまである。




二日後。

部室に来た神野先生はこう言った。


「残念だが、テレビはオカルト研究部には必要なものではないとして、生徒会に承認されなかった」


ま、だろうな。

俺は素直にそのことを受け入れたが、天月と城ケ崎は違った。


「あたしが生徒会にむりやり承認させてやる」


と城ケ崎は立ち上がり、


「そうだね、城ケ崎さん。殴り込みだね」


と天月もそれに賛同した。

・・・もう、なんなんだこいつら。


「それは別にいいが、大きな問題は起こすなよ」


そう言って先生は部室から出て行ってしまった。

いいのかよ・・・。生徒が殴り込みとか言ってるんですよ!?

あの人、教師としてもダメだな・・・。


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