生徒会室へ
「よしっ!じゃあさっそく生徒会室に行こう!」
「ああ!」
どうやら天月と城ケ崎は、今から生徒会室に行くつもりらしい。
どうせ無理だろうなぁ・・・と思いつつ、俺は椅子に座りスマホを眺めていた。
「ほらっ!さわ君も行くよっ!」
天月が俺の手をぐいっと引っ張ってきた。
いや、行かねえよ。
「行かねえよ。俺はテレビなんていらねえし」
「ダーメ!行くの!」
と天月に引っ張られる。
もう、俺を巻き込まないでくれ・・・。
「ちょっと待て、須藤は・・・?」
「ああ、そうだな。 ・・・須藤も来るか?」
城ケ崎が鋭い目で須藤に聞いた。
「い、いえ ・・・ありがとうございます」
「ほら行かねえって」
いや、だから俺も行きたくないんだが・・・。
てか須藤、今小さい声で「ありがとうございます」って言わなかったか?
あいつ、だんだん変態が露呈しだしてるな。
「じゃあ三人で行くよ!!」
こうして俺、天月、城ケ崎の三人で生徒会室の前まで来た。
ふう・・・。生徒会か。
会長ってどんな人だったっけ?確か二年生の女子だったような気がする。
どうか怖い人じゃありませんように・・・。
「行くよ・・・」
そう言って天月が生徒会室の扉をノックした。
すると中から、
「入れ」
という明らかに怖そうな女子の声が聞こえた。
絶対怖いやつやん、これ。
「失礼します」
と言って生徒会に入る。
生徒会室には二人の女子がいた。
奥に座っているのが生徒会長だろうか。とても怖そうには見えないが・・・。
「何かようか?」
と奥に座っている生徒会長ではなく、左に座っていた気の強そうな女子が話しかけてきた。
あっ、さっき聞いた声だ!
「はい!オカルト研究部なんですけど、やっぱりテレビは欲しいです!」
天月は意気揚々と答えた。
バカ丸出しだな、こいつ・・・。
「テレビ・・・。ああ、確かそんなこと書いた部活があったな」
「なんでダメなんだ?」
城ケ崎は不機嫌そうに言った。
あの城ケ崎さん?気持ちは分からないけど、相手は先輩ですよ?
敬語を使いなさい、敬語を。
「あーあの部活か~。私は別にいいんじゃないと思ったんだけどな~。あ、私は生徒会長の小日向麻弥。そっちは副会長の榊加奈ね」
と奥に座っている人物が口を開いた。
その人物は見るからに優しそうで、のんびりとしていて、そしてなにより、やる気がまったく感じられないような人だった。
「会長はもっと会長らしくしていてくれないか・・・」
「え~でも加奈ちゃんは厳しすぎだよ~」
「あの!なんでダメなのか聞いてるんですけど!!」
生徒会の二人が話していたところに天月が突っ込んだ。
「ああ、そうだったな。理由はオカルト研究部とか言う何やってるか分からん部活にテレビなんて買う余裕はないということだ。しかも録画機能とブルーレイ再生機能付きとか、どんだけ金がかかるんだ」
正論だった。
「私は別にいいよ?買ってあげても」
「会長はすこし黙れ」
「怖いよ~」
なるほど。生徒会長はポンコツで、副会長がクソ真面目・・・っと。
「じゃあどうしたら買ってくれんの?」
城ケ崎がクソ真面目副会長に言った。
いや、だから先輩だよ?なんで喧嘩腰でタメ口なの?
クソ真面目副会長でクソ真面目先輩なんだよ?
「だから活動内容もよく分からん部活に金は使えない」
うん。さっき言ってたよな、それ。
話し聞いてなかったのか?城ケ崎は。
「でもオカルト研究部はちゃんと活動してます!!」
天月が声を張って言った。
・・・え?どこが?
「だってよ加奈ちゃん。じゃあいいんじゃない?」
生徒会長は副会長に言った。
「う~ん、、、では具体的に何をしているんだ?」
「そ、それは、いろいろです」
こいつ誤魔化すのヘタだなぁ・・・。
「それを聞いてるんだが」
「ああ、ええっと、、、」
と天月は俺の袖を引っ張った。
俺が何か言えということなのだろう。
・・・無理だな。
俺は天月に耳打ちした。
(俺はなんも言えないぞ)
(なんで?)
(な、なんでもだ)
俺は基本的に女子と話すのは苦手であるが、先輩と話すのはもっと苦手だ。
なぜ先輩という人は一年早く生まれたくらいで、あんなに偉そうなのか。
特に体育会系。というか主に体育会系だな。
今は多分、まともに声が出ない。会長にならまだ話せるかも知れないが、副会長は無理だ。目つきが怖すぎる・・・。
「何も言えないではないか、なら要望には応えられん」
「でも加奈ちゃん、可哀そうだよ?こんなに可愛い後輩なんだよ?」
「会長は黙って」
生徒会長の扱いひどくない?
まぁ、確かにやる気はなさそうだけどさ。
「でも可哀そうだよ。ほかの部活にはいろいろ買ってあげたのに、オカルト研究部はダメなの?」
「でもテレビだぞ?」
「いいじゃん別に!ね?加奈ちゃん?お願い」
なにやら会長と副会長が言い争っている。
「・・・しょ、しょうがないな。会長は!」
あ、副会長がデレた。
「ふふっ、ありがとっ」
なにこれ?どうなったの?
生徒会長は笑っている。
「そ、そういうことだ。オカルト研究部。要望に応えてやれることになった」
副会長はクソ真面目だけど、実はちょろい・・・っと。
「あ、ありがとうございます!!」
「・・・よっし」
天月は嬉しそうにお礼を言い、城ケ崎は小さくガッツポーズをした。
俺も一応、頭を下げた。
感謝すべきなのは生徒会長にだな。でもなんで俺たちの肩なんか持ってくれたんだろ?
・・・まぁいいか。
そうして俺たちは生徒会室を後にした。
「生徒会の人、想像してたのと違ったね」
「ん?どこがだ?」
「え~とね、もっとこう偉そうで、権力を振りかざしてくる感じだと思った!」
「ああ、あたしもそれは思った」
「・・・アニメの見過ぎだって」
大体、生徒会なんか雑用してるところしか見ない。
よくアニメなんかで、先生より生徒会のほうが偉いみたいな風潮を目にするが、実際は、先生にこき使われていることが多い。
生徒会が権力なんて持っているとは思えない。持っているのは雑用で使うホウキくらいだ。
あと謎の誇りな。それを振りかざしてくるのはそれはそれでウザい。是非、持ってるホウキでその誇りを掃いてもらいたいものだ。
ちなみに生徒会の人は、学校を変えたいなんて微塵も思っておらず、自分の履歴書を変えたいだけである。
・・・まぁ、それは偏見過ぎるか。
「そういえば、生徒会って二人だけなの?」
天月が聞いてきた。
・・・確かもっといたような。
「城ケ崎は知ってるか?」
「んー四人くらいいなかったか?」
そんくらいいたよな、やっぱ。
生徒会長、副会長、書記、・・・あとなんだ?ヒラ?
まぁ、どうでもいいか。
「じゃあ今日はたまたま二人だけだったんだろ」
「そうか~」
にしてもあの二人は仲がいいんだか、悪いんだか分からなかったな。
俺が見ていた分には、ポンコツ生徒会長とクソ真面目副会長でうまく噛み合っているんだと思う。
そして、ポンコツ生徒会長は割とあざとかったし、クソ真面目副会長はそれにデレていた。
う~ん、妄想が捗るな・・・。
何はともあれ、オカルト研究部にテレビ(録画機能、ブルーレイ再生機能付き)が与えられることになった。
ますますオカルト研究部とはかけ離れた活動内容になってしまう。
もう五月も終わりだ。なんとか六月中にはオカルト的な何かをしたい・・・。




