危機の予感Ⅱ
蝙蝠型の魔物から逃れた二人は体力を消耗しきり通路の途中で休んでいた。
「はあ…はあ…もう、追ってきてないみたいですね……」
あれだけ戦った後に全力で走ってよく喋れるなと感心しながら頷きだけで返事をした。
それにしても一体何だったのか?
あんな魔物には出会ったことがない。
「あれは中位の魔物でしたね…」
息を整えたエリナがまた話し出した。
「中位?」
「はい、魔物は知能で三つに分けられているんです。一つは角兎や土竜とかの獣と変わらない下位の魔物。次に言葉を理解することはできるけど人間に比べると知能の低い中位の魔物。最後に人間と同等か或はそれ以上の知能を持った上位の魔物。さっきのは恐らく中位の魔物です。区分は知能で行われているので一概には言えませんが位が高いほど強い傾向にあります。」
確かに角兎の群れを容易くあしらっていたエリナが遊ばれていた程の相手だ。
下位とは比べ物にならない。
「あいつは何が目的でこんな所にいたんでしょうか?」
土竜の虐殺や執拗な追跡などあの魔物の不可解な行動に疑問が生まれた。
「あれはたぶん斥候です。計画がどうのと言っていたので何処かに指揮を執っている魔物がいるんだと思います。」
「あいつ自身の企みとかではないということですか?」
「中位程度の魔物じゃ作戦を立てるような脳はありません」
目先の問題はなんとか切り抜けたが更に大きな問題が出てきたようだ。
さっきの状況を思い返すと背筋に寒気がしてきた。
「あれは危なかったですね…エリナさんが援護してくれなかったらヤバかったですよ……」
「何言ってるんですか。先に助けてくれたのはアルベルトさんの方ですよ。」
緊張が解けてエリナは微笑みながらそう言った。
「そういえば最後に投げたあれは何だったんですか?」
「あれは対魔物用催涙手榴弾です。魔術組合で買えますよ。」
帰ったらちょっと見てみよう。
落ち着きを取り戻したところでエリナが立ち上がった。
「ここもいつまでも安全だとは言えませんしそろそろ行きましょうか」
まだ休んでいたいが正論だ。
帰ったらゆっくり休もう。
暗闇を慎重に歩いていると通路の先に光が見えた。
やっと外に出られそうだ―――




