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竜の塚Ⅲ

 エリナの話によれば土竜(ドリュウ)の肉は臭みは強いが滋養強壮の効果があり一部で人気らしい。

やはり食べたくはないが。

黙々と土を掘っていると20cmほど掘った所で空洞が見えた。

「おお!やっと穴が見えましたね!」

嬉しそうなエリナの頬は土で汚れていた。


 掘り進めて穴を拡げると幅は1.6mほどの幅になった。

穴は少し降りた所で地面と平行になっているようで奥が見えなかった。

エリナは背負ってきていたリュックを漁って何か取り出した。

太い棒と長い布、それに何か液体の入った瓶。

太い棒に布を巻き付けそこに瓶から液体をかけた。

それにポケットから出したマッチで火を着けると液体のかかった布が激しく燃えた。


 「あちちっ、松明完成!さあアルベルトさん!入りますよ!」

「入るってこの穴ですか!?」

「それ以外に何があるんですか?」

何か土竜を誘きだす方法があるのかと思っていたが、どうやらこちらから出向くらしい。

「ちょっとこれ持っててください」

エリナは松明を渡すとまたリュックを漁って今度は綱を出した。

それを近くにあった大きめの岩にきつく縛って穴に垂らした。

「これで戻る時も大丈夫です!」

そうは言われても穴に入るなんて不安しかない。

閉所恐怖症や暗所恐怖症というわけではないが人並みにそういうところは怖い。

そんなことは気にせずにエリナは松明を受け取り穴の中に入ってしまった。


 エリナに続いて穴に入ると中は湿度が高く空気が少しひんやりしていた。

底に着くと入口と同じぐらいの幅で少し下向きの通路が続いていた。

「土竜は個体によって大きさが違って地上に出るための穴は大体その近辺に住む一番大きい個体に合わせられるんですよ。何でだと思います?」

「思いやり?」

そんなわけはないがなんとなく頭に浮かんだ答えを口に出してしまった。

「なるほど~顔に似合って魔物好きなんですね!でも残念ながら違います!」

失礼なことを言われた気がするが答えは何だろうか?

「答えは一番大きい個体がその近辺のボスだからです。土竜はボスに合わせた穴を作ってみんなでそれを共有してるんですよ。」

ボスのために穴を掘らされる土竜の社会も大変そうだ。


 穴を進むといくつか別方向から繋がってきた通路もあったがどれも向かう方向は同じだった。

「この通路はみんな土竜のコロニーに繋がってるんです」

「コロニー?」

「土竜達は狩りは個別に行いますけど寝床はみんな近くに作るんです」

「変わった習性ですね」

「土竜は基本的に臆病ですからね。寝るときに一人じゃ怖いんです。」

そう言われると何だかかわいいイメージが湧いてきた。


 土の通路を進んでいくと広い空間に行き着いた。

10mぐらいの高さにある天井には所々穴が開きそこから差し込む日の光で辺りが薄暗く見えた。

壁には等間隔に無数の穴がいている。

「土竜のコロニーですね」

静かな空間でエリナがそう呟いた―――



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