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名無しの底辺は異世界で成り上がる  作者: ポラロイドフラッシュ
第一章 ~乳児期~ スラム街の赤さん
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卒業式っぽい訳だが

俺はカウンターの上に転移して、そこから見下せる位置に指を指す。


「はいそこに正座!ルッカもノコさんもとりあえずそこに正座!!」


「…なんで動ける?おかしいぞお前」


ルッカがポカンとした顔で俺を見る。


「…ギガラスネークの毒とか言っていたな。ならばおかしいな。おかしいぞお前」


ノコさんも真顔で俺を見る。


「師匠もそう思いますか。やっぱりこいつおかしいですよね。お前おかしいぞ?」


「師匠言うな。しかしこいつは確かにおかしいな。うん、お前はおかしい」


むかむか。人に指差すんじゃねぇよ。


「俺がおかしいとかどうとか今はどうでもいいでしょ?そこに正座つってんだろ?あ?」


「「はい」」


ギュチギュチチチチチギュチチッ!!!

俺の後ろでバックリと口を開け蠢く巨大な魔法空間ポケットを目にして、ルッカとノコさんは俺が指差す先に大人しく正座した。


「…で?これって結局一体どういう話なのさ?」


まぁ何となくどういう話かは見当ついてるけど。


「そうだな…それを話すにはやはり‘あの日’あった事から話さねばいけないだろう…」


ルッカは遠い目をして語り始める。


―――そう、あの日、私と師匠はいつも通り研究の資金を稼ぐ為、近くの森へ…


「だから回想に入ろうとすんなって。食い千切るよ?」


「すまん。すまんというかごめんなさい。だから‘それ’をこっちに寄越さないでくれ、下さい」


ルッカは自分の目前に迫る‘それ’に恐々としながら、今度こそ普通に話し始めた。

それでいいんだよそれで。


「…私は昔、親に捨てられてな、そこは森の中だった。そんな途方に暮れていた私に魔物が襲い掛かってきてな。その時初めて師匠が私の前に現れたんだ。師匠は魔術師で、私に襲い掛かってきた魔物をこう…魔術でな?やっつけてな?私は凄いと思ってな?師匠に弟子にしてくれって頼み込んだんだ。師匠も最初は渋っていたけど最後には私を弟子にしてくれてな?私はうれしくてな?でもな?私は魔法使いだったみたいでな?ある日魔法を使ってしまってな?師匠は才能コンプでな?だから魔法使いが嫌いでな?だから私を嫌いになってな?だから私を捨てたんだっ」


涙ぐむな鬱陶しい。

というかルッカの今までのクールキャラは単にノコさんを意識してただけみたいだな。

素のルッカは歳相応な女の子とみたね。


「だ、誰が才能コンプか!なに?私がお前の才能に嫉妬した?はっ、自惚れるなこの馬鹿者がッ!」


ノコさんは心外とばかりに叫んだ。

ルッカも負けじと叫び返す。


「いや!師匠は確かに私に嫉妬してた!嫉妬してたもん!」


「なにおう!?」


あーだこうだすんだあーだ。

途端にルッカとノコさんは互いに唾を飛ばし始めた。こいつら…。


「私が魔法使いだったからでしょ!魔法使いだったからじゃん!魔法使いはダメなんでしょ!?師匠は私の事がもう嫌いなんでしょ?大嫌いなんでしょ!?」


もはやルッカが何を言っているのか分からん。うわ、めっちゃ泣いてる。


「な、なにおう!?」


ノコさんそればっかですねあんた。しかしノコさんもルッカの様子に分かり易く狼狽してるな。

なんだかんだでノコさん、ルッカに弱いんだろうな。

というか本人はさっきから否定してるけど、ルッカを何かから庇ってた事は目に見えてるしねこの人。

やれやれ、そろそろ助け舟でも出しますか。


「ルッカさんはノコさんが大好き!はい、ルッカさん!」


「!?」


俺は大声で叫んだ。ノコさんがぎょっとして俺を見る。


「私は師匠が大好き!」


「!?」


即座に反応したルッカにも、ぎょっとするノコさん。

ルッカは続けて言う。


「私が親に捨てられて、寂しくてひもじくて、本当に寂しかった時、師匠は私に手を差し伸べてくれました!」


おっそうだな。俺は合いの手でもいれますか。


「4月から始まった、魔術活動!」


「文字の読み書きさえ満足に出来なかった私に、師匠は優しく一から全部教えてくれました!」


ルッカはまた即座に反応する。よしよし、ノコさんがあたふたオロオロし始めた。よし。


「はぁじめていった、魔物の森ッ!」


「怖い魔物さん達の姿に何度も心が折れそうになった私を、師匠は何度も励ましてくれました!」


そこでノコさんの動きが段々と大人しくなっていく。よし、よしよし。もう一押し。


「はぁじめて祝った、たぁんじょうび!」


「それまで誕生日がなかった私に、ある日師匠は沢山のお料理と、大きなケーキを用意して「今日がお前の誕生日だ」と言ってくれました!お料理もケーキも凄く美味しくて、私はとっても幸せでした!」


「しぃあわせでぇしたぁ!」


ノコさんは遂に堪えきれなくなったのか、口に手を当て、涙を流し始めた。

うんうん。分かるよその気持ち。いややっぱり分かんないけど。まぁいいや。

あー卒業式合いの手も飽きたわ。もう止めるわ。いきなり止めるわ。

もうここまでくれば流れでいけるだろう。


「………」


「………」


「………?」


「「「………」」?」


なんだよ。急にみんな黙りやがって。

すると、


「…ねぇ?合いの手は?」


ルッカが不満そうに俺を睨んだ。え?合いの手そんなに必要だった?









なんか書いてたらこんなになりました。

後悔はかなりしています。


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