毒を喰らった訳だが
ルッカはその顔に表情と呼べる物は一切浮かべていない。
寒気すら覚える無表情。いいね…ゾクゾクするよ。
ゆらり、一瞬、ルッカの姿が不自然にぶれる。
次にはその姿を完全に見失ってしまう。
かと思えば、それまでルッカがいた場所、空中に浮かんだ数本のナイフがこちらに向かって飛んできた。
おいおい、俺はともかくノコさんもいるんだぞ。危ないだろ。
俺はノコさんの肩からカウンターの上に転移する。
それから飛んでくるナイフにタイミングを合わせて、それぞれの軌道の先に順繰りに魔法空間を展開させた。
しかし二つ以上同時に展開出来ないのは不便だな。まぁこれはこれで音ゲーみたいで楽しいけど。
ナイフが次々に黒い隙間に飲み込まれていく。しかし、
「…あ?」
1本のナイフが俺の頬を掠った。なんだ?今、ナイフの速度が変化し…ッ。
途端に体が重くなる。ぐらりと視界が回り、気付けば俺は床に落ちていた。
あぁ、頭おもいっきり打った。辛うじて指先は動くけど、まぁ立ち上がるのは無理そう。
毒だねこりゃ。状態異常耐性まだ取ってなかったのはまずったか。
「ギガラスネークの猛毒だ。かなり値は張ったがその価値はあったみたいだな」
気付けばルッカが傍に立っていた。俺は眼球だけをなんとか動かし、ルッカに視線を向ける。
「…は、は。こ、れは見事にし、してやられちゃ、いましたね」
呼吸がうまく出来ない。喉からこひゅ、こひゅと空気が溢れる。
超苦しい。やだこれ、超苦しい。
「お前はもうじき死ぬ」
俺を見下すルッカの目は冷たい、冷え冷えだ。
はっ、なんて事ないみたいに言ってくれるぜ。俺はにやりと笑ってやる。
「ふ、ふふ…おめでとうご、ございます。わ、たしにじ、地面の味を舐めさせた、さ、最初の一人ですよあなた」
そして恐らく今後、二人目は現れないだろうね。誇りたまえよ。
「あぁ、私もお前の初めてになれてとても嬉しいよ。だから早く死んでくれ」
それだけ言って、ルッカはもう俺に対しての興味を失ったのか、すっと視線を外した。
ルッカはノコさんの方を向く。静かな声で言葉を口にする。
「…師匠。私、やりましたよ」
「………」
ノコさんは答えない。ここからではどんな顔をしているのかも窺えなかった。
え?というか師匠?へぇ、この二人そういうあれだったのか。なるほどなー、そう言われると雰囲気がかなり似てるかも。と、それよりステータスステータス。
「今から私がスラムのボスです。師匠はもう、私の身を案じて脅しに屈する事もないのです」
「…お前は何を言っているんだ?私がいつお前の身などを案じた?脅しに屈したというんだ。それにお前とはもう縁を切った。私とお前の間には既に師弟の関係は一切ない。師匠などと呼ぶな、不愉快だ」
スキルスキル、お、あったあった。これこれ状態異常耐性な。やっぱこれっしょ。
「師匠は…私の為にエドガーに従うしかなかった!アイツは私の秘密を知っていた!アイツは私の秘密を国に密告すると師匠を脅していた!だから師匠はアイツに従うしかなかった!全部私の為にです!」
「…だから、師匠と呼ぶな。本当に不愉快だ。」
スキルポイントは全然余裕だしな。とりまMAXっしょ。
「…まだあの日の事を、師匠は許してくれていないのですね」
「………」
…お、おぉ?いいぞぉこれ~。体の中でなんかシュワシュワしてる。
というかまずい。なんかルッカが‘あの日’とか言ってる。知ってるわこれ、回想フラグだわこれ。
回想はめんどくさいぞ、やだ、回想は絶対やだ。
「あの時までは、師匠は私を可愛がってくれた。あの時までは、私と師匠はうまくいっていた」
「…なんの事だ。私にはさっぱり覚えがないな。私はただ、お前に魔術師の素養がなかったから破門にしただけだ。それ以上の理由は何も無い…頼む、本当に師匠は止めてくれ…頼むから」
「止めません!師匠、師匠は私があの時、魔法を使ったから…私が魔法使いだったから!…だから師匠は私を捨てたんですよね?だから師匠は私を嫌いになったんですよね?」
「………」
静かに見つめ合う二人。
―――そして時は‘あの日’に遡る
「…と思った?残念だったな。そうはさせん!そうはさせんぞぉぉぉ!」
「「ッ!?」」
あい俺復活。回想とかダルいわ。
俺が公正な立場から二人の話しをそれぞれ聞いて落とし所を付けるようん。
一話ごとの文字数をもっと増やして数日置きの更新にするか、
今みたいに一話ごとの文字数は少なくても毎日更新がいいのか。
どっちがいいのだろうか…




