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博士はきっと、箱舟に乗れなかったんじゃない。
乗らなかったんだ。
トート博士の手首には、外せない腕輪がついていた。
大罪人の証。あの地下都市から離れれば、爆発するよう仕組まれていた。
けれど、あの人ならばきっと、最後の最後まで、自分を逃がす方法を探すこともできたはずだ。
それでも、博士はそれをしなかった。自分の腕輪を外す時間があるなら、誰かを一人でも箱舟へ導く。自分の命を延ばす方法を考えるくらいなら、残されたテクナとマギアを一人でも多く鼓舞した。
最期にあんなふうに嘘までついて。
あの場所に留まって、生かす道を選んだのだ。
博士が乗れたかもしれない箱舟で、僕らは地中深くから舞い上がり。
博士が一人で出ることができなかった場所から、僕らは二人、夜明けの空に打ち上がる小さな明星になって。
地上から。
空から。
この星から。
飛び立っていく。




