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玄武の渡り人 ~帰還できるのは、ただ1つの大陸だけ~  作者: かにかま
第2章 玄武門

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炎鱗の大剣

グレートサラマンダーの喉が赤く輝く。


「来るよ!」


ユースケは横へ避けようとして、足を止めた。

自分がかわした先には、サクラたちがいる。


「俺の後ろに!」


3人がユースケの背後へ寄る。

ユースケは盾を前へ突き出した。


「シールドウォール!」


盾を中心に、淡い光の壁が広がる。

次の瞬間、巨大な口から炎が噴き出した。


ゴォォォッ!


通常のサラマンダーとは比べものにならない炎が、光の壁へ叩きつけられる。


「くっ…!」


ユースケは盾を押し込まれながら踏ん張った。

炎が左右へ流れていく。

それでも完全には防ぎきれず、4人のHPが減った。


「ユースケさん!」


「ヒール!」


ヒナの魔法がユースケを包む。

ほぼ同時に、シオリもサクラへ杖を向けた。


「こっちも!ヒール!」


淡い光がサクラを包み、減ったHPが戻っていく。


「ありがと。でもシオリ、次からは自分から回復して!」


「え?」


「1番打たれ弱いんだから!」


「はい、ごめんなさい」


「威力も範囲も、通常のサラマンダーとは全然違うね」


何度もまともに受けるのは厳しい。

ユースケはグレートサラマンダーへ視線を向けた。


「アナライズ!」


【弱点属性:氷】

【耐性属性:火】

【状態異常耐性:毒、暗闇】


「通常のサラマンダーと同じだ」


「じゃあ、氷でいけるね!」


ユースケへの回復を終えたヒナが、今度はシオリへ杖を向ける。


「ヒール!」


シオリのHPが戻っていく。


「ヒナも!」


シオリもすぐに杖を向け返した。


「ヒール!」


「ありがとうございます」


これで4人のHPはほぼ戻った。

ユースケは盾を構え直す。


「じゃあ、いこうか」


サクラも弓を構えた。


「はーい!」


シオリがすぐに杖を向ける。


「アイスバレット!」


氷弾がグレートサラマンダーの肩へ直撃した。


「グオォォッ!」


巨体が揺れる。

そのままグレートサラマンダーが地面を蹴った。


巨大な頭がユースケへ迫る。


ガンッ!


噛みつきを盾で受け止める。


「重い…!」


通常のサラマンダーより力も強い。

押し込まれながら盾をずらし、横から片手剣を振るった。


「アーマーブレイク!」


刃が前脚へ食い込む。

ユースケの視界に、防御力低下が入ったことを示す表示が現れた。


「入った!」


「じゃあ私も!」


サクラが弓を引く。


「ピンニングショット!」


放たれた矢が後脚へ突き刺さった。


「移動速度低下、入ったよ!」


「いい感じ!」


ヒナも杖をユースケへ向ける。


「プロテクション!」


淡い光がユースケの身体を包んだ。


グレートサラマンダーが身体を大きくひねる。


「下がって!」


太い尻尾が地面を削りながら薙ぎ払われた。

サクラたちが距離を取り、ユースケも後ろへ跳ぶ。

赤い砂が舞い上がった。


「当たったらやばそう…」


シオリが杖を握り直す。


「動作が大きいから、距離を取っていれば大丈夫そうだね」


「ダブルショット!」


サクラが矢を放つ。

2本の矢が続けて突き刺さり、シオリのアイスバレットも続いた。


防御力低下が入ったグレートサラマンダーへ、攻撃が重なっていく。

だが、まだ倒れる様子はない。


グレートサラマンダーが再びユースケへ飛びかかる。

噛みつきを盾で受け流し、片手剣を叩き込む。


その直後、サクラの矢が眉間へ突き刺さった。

巨体が大きく仰け反る。


「今ならいけるかな」


ユースケは距離を取った。

片手剣と盾をしまう。


代わりに取り出したのは、アイアングレートソード。


「えっ?」


シオリが目を丸くした。


「両手剣!?」


ヒナも驚いたようにユースケを見る。


「ユースケさん、両手剣も使えるんですか?」


「嗜む程度だよ」


ユースケは両手で柄を握る。

サクラも目を丸くした。


「両手剣で戦う盗賊なんて見たことないんだけど!」


「俺も他では見たことないかな」


「自分で言う!?」


ユースケは地面を蹴った。

両手剣を振り上げる。


「グランドインパクト!」


重い刃がグレートサラマンダーの肩へ叩き込まれた。


ドンッ!


巨体が沈む。

ユースケの視界に、新たな表示が現れた。


攻撃力低下。


「入った!」


「何が?」


シオリが聞く。


「攻撃力低下。グランドインパクトの追加効果だよ」


「そんなのまであるの!?」


ユースケはすぐにアイアングレートソードをしまい、再び片手剣と盾を装備する。


「えっ、もう戻すの?」


「ブレスがあるからね」


ヒナが納得したように頷く。


「デバフを入れるために持ち替えたんですね」


「今回はね」


サクラが笑う。


「ユースケらしいね」


その時だった。

グレートサラマンダーが大きく息を吸う。


喉の奥が赤く輝いた。


「また来る!」


「俺の後ろに!」


3人がすぐに集まる。

ユースケは盾を前へ突き出した。


「シールドウォール!」


淡い光の壁が広がる。

直後、炎が押し寄せた。


ゴォォォッ!


光の壁へ炎がぶつかる。

ユースケは盾を構えたまま踏ん張った。


熱気が身体を包む。

それでも――。


「さっきより軽いね!」


サクラが自分のHPを確認する。

ユースケも残りHPを見る。


最初のブレスより、明らかに減りが少ない。


「デバフもちゃんと効いてそうだね」


「よかったです」


ヒナが杖を向ける。


「リジェネ!」


淡い光がユースケを包み、HPが少しずつ戻り始める。


グレートサラマンダーがブレスを吐き終え、動きを止めた。


「任せて!」


シオリが杖を突き出す。


「アイスバレット!」


氷弾が頭部へ直撃する。

続いてサクラも弓を引いた。


「ダブルショット!」


2本の矢が首元へ突き刺さる。


「グオォォッ!」


グレートサラマンダーが激しく暴れた。

太い尻尾が横薙ぎに振るわれる。


ユースケは後ろへ飛んだ。


「クイックステップ!」


尻尾が目の前を通り過ぎる。


「危なっ!」


シオリが声を上げる。


「まだ大丈夫!」


ユースケはすぐに前へ戻る。


防御力低下。

移動速度低下。

攻撃力低下。


まだ効果は続いている。


「今のうちに削ろう!」


「了解!」


サクラの矢が飛び、シオリの氷魔法が続く。

ユースケも片手剣で攻撃を重ねた。


ヒナは3人のHPを見ながら、必要に応じて回復を飛ばす。

グレートサラマンダーの動きが少しずつ鈍くなっていく。


やがて、再び喉が赤く光った。


「ブレス!」


今度は全員がすぐに動く。

攻撃の範囲はもう分かっている。


サクラたちが左右へ散り、ユースケも盾を構えながら横へ走る。

炎が赤い地面を焼きながら通り過ぎた。


「今だ!」


ユースケが踏み込む。


「トリプルスラッシュ!」


片手剣が胸元を連続で切り裂く。

グレートサラマンダーが大きく仰け反る。


「サクラ!」


「任せて!」


弓を引き絞る。


「ダブルショット!」


2本の矢が深く突き刺さった。

シオリも杖を向ける。


「アイスバレット!」


氷弾が頭部へ直撃する。


グレートサラマンダーの身体が止まった。


「グオォォォ…!」


低い咆哮を残し、巨体が光の粒へ変わっていく。


「やった!」


シオリが杖を掲げた。

サクラも大きく息を吐く。


「強かったー!」


ユースケは周囲を確認してから、ようやく盾を下ろした。


「お疲れさま」


「ユースケさんも、お疲れさまでした」


ヒナが微笑む。


その直後。


「きた!」


シオリが自分の前に現れた通知を見て声を上げた。


「レベル25になったよ!」


「私も25になりました」


ヒナも自分の通知を確認する。


「新しいスキルも覚えました」


「どんなの?」


サクラが聞く。

ヒナが詳細へ目を通した。


「ブレスというスキルです。味方1人のSTRとDEXを30分間上げられるみたいです」


「それ私にほしい!」


サクラがすぐに手を上げる。


「俺にもかなりありがたいね」


「MPを10使うので、使う時は相談ですね」


ヒナが小さく笑った。


「私は属性理解ってスキルを覚えたよ!」


シオリも自分のスキル詳細を確認する。


「弱点属性で攻撃した時のダメージが上がるんだって!」


「シオリにぴったりじゃん」


「でしょ!」


これで4人全員がレベル25になった。


その時、グレートサラマンダーが消えた場所に宝箱が現れた。


「あっ、宝箱!」


シオリの表情が一気に明るくなる。


「ユースケ、開ける?」


「じゃあ開けてみようか」


4人で宝箱を囲む。

ユースケが蓋へ手をかけた。


カチッ。


次の瞬間、宝箱から眩しい光が溢れた。

光が4人を包み、それぞれの前に通知が表示される。


【職業に応じた討伐報酬を獲得しました】

【炎鱗の大剣を獲得しました】


「両手剣か」


「ユースケ、何だった?」


サクラが聞く。


「炎鱗の大剣」


ユースケは武器を取り出した。


黒みがかった赤い刀身。

刃には炎のような紋様が走っている。


続けて、詳細を確認する。


【炎鱗の大剣】

【ATK:+23】

【効果:通常攻撃・武器スキルが火属性攻撃になる】


「シルバーグレートソードより強い。それに、攻撃そのものが火属性になるみたいだ」


「盗賊に両手剣、それも火属性?」


サクラが吹き出す。


「もう両手剣使えって言われてない?」


「そうかもしれないね」


ユースケは炎鱗の大剣を眺める。


前回のリザードタートルでは、行動成長を狙う自分に《修練の指輪》が出た。

今回も盗賊の定番とは言いにくい両手剣だ。


「どうやら討伐報酬は、職業以外にも判定要素がありそうだね」


その横で、サクラが自分の通知へ目を落とした。


「えっ、私も武器キター!」


サクラの表情が一気に明るくなった。

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