出発前夜
「何だった?」
サクラが赤黒い弓を掲げる。
【炎鱗の弓】
【ATK:+15】
【効果:通常攻撃・弓スキルが火属性攻撃になる】
「炎鱗の弓!火属性!」
「俺の炎鱗の大剣と同じ効果だね」
サクラは満足そうに弓を眺めた。
「はい!次は私がお披露目します!」
【炎晶の指輪】
【効果:火属性魔法の効果上昇(小)】
「火属性魔法が強くなる指輪だって!」
「シオリも火属性なんだ」
「これでまた大魔導士に近づいた!」
シオリは早速指輪を装備する。
「ヒナは?」
「私はこれでした」
【耐炎のブーツ】
【DEF:+10】
【効果:火属性ダメージ軽減(小)】
「火属性のダメージを軽減してくれるみたいです」
「ヒナだけ守る方なんだね」
サクラが自分の弓と見比べる。
ユースケも4人の報酬を振り返った。
両手剣、弓、指輪、ブーツ。
どれも火属性に関係しているが、内容はそれぞれ違う。
「職業だけじゃなく、戦い方や好みも影響してそうだね」
「属性武器は刺さる相手にはDPSすごそうだからね!」
サクラが炎鱗の弓を抱える。
「とりあえず帰ろうか」
目的だったグレートサラマンダーは倒した。
シオリとヒナもLv25になっている。
4人は赤岩の谷をあとにした。
◇
玄武門へ戻ると、そのまま冒険者ギルドへ向かった。
【グレートサラマンダー討伐クエストを達成しました】
【400,000Gを獲得しました】
報酬は1人100,000Gずつ分けた。
「これで全員Lv25だね」
「第7玄武街には行けそうですね」
ヒナの言葉に、ユースケも頷く。
「うん。でも、その前に装備を整えておきたいかな」
「また買うの?」
「頭と腕と足がまだアイアンなんだよね」
玄武街へ向かう道中で何が起こるか分からない。
できる準備はしておきたい。
「私は弓を強化して、魔鉱石でDEXの装飾品を作るよ!」
サクラも準備するらしい。
4人は一度別れ、それぞれ装備を整えることにした。
◇
ユースケは防具屋で3つの装備を確認した。
【シルバーヘルム】
【DEF:+7】
【価格:70,000G】
【シルバーガントレット】
【DEF:+8】
【価格:76,000G】
【シルバーグリーブ】
【DEF:+8】
【価格:84,000G】
少し迷ったが、3つとも購入する。
【230,000Gを支払いました】
その場で装備を変更した。
これで店で買える防具はすべてシルバーになった。
次は鍛冶屋へ向かう。
「おう、兄ちゃん。今日は何を持ってきた?」
「これをお願いします」
ユースケは炎鱗の大剣を差し出す。
「ほう。いい大剣じゃねぇか」
「+4までお願いします」
ユースケはアイテムボックスを確認する。
鉄鉱石は18個。
失敗しなければ+4までに必要なのは15個。
ユースケは静かに両手を合わせた。
「亀様、どうかお力添えをお願いします」
「兄ちゃん、まだそれやってんのか?」
失敗してから祈るのでは遅い。
「ガハハ!じゃあ始めるぞ!」
+1。
カンッ!
カンッ!
カンッ!
「成功だ」
+2も成功。
そして+3。
カンッ!
カンッ!
カンッ!
「成功だ」
「おしっ!」
残るは+4。
鉄鉱石8個を渡す。
これで残りは3個。
亀様、お願いします。
カンッ!
カンッ!
カンッ!
「成功だ。+4になったぞ」
「よかった…」
【炎鱗の大剣+4】
【ATK:+27】
【効果:通常攻撃・武器スキルが火属性攻撃になる】
今回は1度も失敗しなかった。
「亀様、ありがとうございます」
「俺にも礼を言え!」
「もちろんです。ありがとうございます」
鍛冶屋の親父が豪快に笑った。
所持金はほとんどなくなったが、装備は整った。
◇
4人が再び集まると、今後のことを相談した。
「これで玄武街に行けるよね」
「うん。明日にでも出られると思う」
「リクちゃんたちはどうするんだろ?」
「聞いてみようか」
シオリがフレンドチャットを開いた。
(シオリ)
『リクちゃん、今レベルいくつ?』
(リク)
『23だよー!カイとソラも23!』
(シオリ)
『私たち全員25になったから、第7玄武街に行こうと思ってるんだけど、どうする?』
(リク)
『私たちは25まで上げてから行く!先行っててー!』
「だって」
「それがいいと思う」
推奨レベル25なら、急いで進む必要はない。
(シオリ)
『じゃあ玄武街でまた会おうね!』
(リク)
『うん!』
シオリがチャットを閉じる。
「次はサトルさんたちだね」
今度はユースケが連絡する。
(ユースケ)
『サトルさん、俺たち全員Lv25になったので、第7玄武街へ行こうと思ってます』
(サトル)
『俺たちも25だぞ!』
「2人とも25だって」
「じゃあ一緒に行けるじゃん!」
(ユースケ)
『もしよかったら、一緒に行きませんか?』
(サトル)
『いいな!今から会えるか?』
(ユースケ)
『大丈夫です』
(サトル)
『じゃあ冒険者ギルド前で!』
4人はそのまま冒険者ギルドへ向かった。
◇
冒険者ギルド前には、サトルとランが待っていた。
「おう!」
サトルが大きく手を上げる。
ランの視線が、サクラで止まった。
「そちらは?」
「あ、そうか。サクラとは初めてでしたね」
ユースケがサクラを見る。
「高校の頃からの友達で、探してた3人のうちの1人です」
「サクラです。よろしく!」
「おお!見つかったのか!」
サトルが嬉しそうに笑う。
「はい。少し前に再会できました」
ランも表情を緩めた。
「本当によかったわね」
「ありがとうございます。タケシとマユはまだですけど」
「そっちも見つかるといいな!」
「はい」
今度はユースケが2人を紹介する。
「こっちがサトルさんとランさん。玄武門まで来る途中で一緒に戦った人たち」
「なるほど。話には聞いてた」
「よろしく!」
「おう!」
「よろしくね」
挨拶を終え、本題に入る。
「明日、第7玄武街へ向かおうと思ってます」
「俺たちもちょうど行こうと思ってたところだ!」
ランも頷いた。
「人が集まる場所なら、シンの情報も増えるかもしれないしね」
「それなら、一緒に行きませんか?」
「もちろんだ!」
「私もいいわ」
「じゃあ6人だね!」
シオリが嬉しそうに言う。
明日の朝。
6人で第7玄武街を目指すことになった。
◇
その夜。
ユースケは玄武門の外へ出ていた。
指には修練の指輪。
手には、炎鱗の大剣+4。
明日まで使わずにいるという選択肢はなかった。
見慣れたコボルトを見つけ、炎鱗の大剣を構える。
コボルトが長剣を手に走ってくる。
ユースケも踏み込み、大剣を振り抜いた。
斬撃と同時に、刀身から炎が走る。
コボルトはそのまま光の粒へ変わった。
「おお…」
コボルトは元々、両手剣なら1撃で倒せている。
しかも弱点は火属性だ。
これでは攻撃力や属性による違いまでは分からない。
だが、火属性攻撃になっていることは見た目でも分かる。
「次はスキルかな」
別のコボルトへ狙いを定める。
「パワースラッシュ!」
炎をまとった刃がコボルトを斬り裂く。
「武器スキルもちゃんと火属性になるんだね」
説明どおりだ。
その後も炎鱗の大剣を使い、コボルトを狩っていく。
何度も振るううちに、身体に馴染んできた。
そして――。
【レベルが26に上昇しました】
「久しぶりに上がったね」
サラマンダーとの戦闘や夜狩りで、行動によるステータスも上がっていた。
HP+2、MP+1、STR+2、VIT+1、AGI+1、
DEX+2、INT+1
「ステータスも結構上がったね」
さらに現在のステータスを確認する。
【名前】ユースケ
【職業】盗賊
【レベル】26
【HP】70+15
【MP】67+15
【STR】22+17
【VIT】22+11
【AGI】30+14
【DEX】30+16
【INT】22+9
【LUK】22+2
ユースケは表示を閉じた。
「今日はこのくらいかな」
炎鱗の大剣をしまう。
あとは明日、次の街へ進むだけだ。
ユースケは玄武門へ戻っていった。




