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玄武の渡り人 ~帰還できるのは、ただ1つの大陸だけ~  作者: かにかま
第2章 玄武門

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出発前夜

「何だった?」


サクラが赤黒い弓を掲げる。


【炎鱗の弓】

【ATK:+15】

【効果:通常攻撃・弓スキルが火属性攻撃になる】


「炎鱗の弓!火属性!」


「俺の炎鱗の大剣と同じ効果だね」


サクラは満足そうに弓を眺めた。


「はい!次は私がお披露目します!」


【炎晶の指輪】

【効果:火属性魔法の効果上昇(小)】


「火属性魔法が強くなる指輪だって!」


「シオリも火属性なんだ」


「これでまた大魔導士に近づいた!」


シオリは早速指輪を装備する。


「ヒナは?」


「私はこれでした」


【耐炎のブーツ】

【DEF:+10】

【効果:火属性ダメージ軽減(小)】


「火属性のダメージを軽減してくれるみたいです」


「ヒナだけ守る方なんだね」


サクラが自分の弓と見比べる。

ユースケも4人の報酬を振り返った。

両手剣、弓、指輪、ブーツ。

どれも火属性に関係しているが、内容はそれぞれ違う。


「職業だけじゃなく、戦い方や好みも影響してそうだね」


「属性武器は刺さる相手にはDPSすごそうだからね!」


サクラが炎鱗の弓を抱える。


「とりあえず帰ろうか」


目的だったグレートサラマンダーは倒した。

シオリとヒナもLv25になっている。

4人は赤岩の谷をあとにした。




◇

玄武門へ戻ると、そのまま冒険者ギルドへ向かった。


【グレートサラマンダー討伐クエストを達成しました】

【400,000Gを獲得しました】


報酬は1人100,000Gずつ分けた。


「これで全員Lv25だね」


「第7玄武街には行けそうですね」


ヒナの言葉に、ユースケも頷く。


「うん。でも、その前に装備を整えておきたいかな」


「また買うの?」


「頭と腕と足がまだアイアンなんだよね」


玄武街へ向かう道中で何が起こるか分からない。

できる準備はしておきたい。


「私は弓を強化して、魔鉱石でDEXの装飾品を作るよ!」


サクラも準備するらしい。

4人は一度別れ、それぞれ装備を整えることにした。




◇

ユースケは防具屋で3つの装備を確認した。


【シルバーヘルム】

【DEF:+7】

【価格:70,000G】


【シルバーガントレット】

【DEF:+8】

【価格:76,000G】


【シルバーグリーブ】

【DEF:+8】

【価格:84,000G】


少し迷ったが、3つとも購入する。


【230,000Gを支払いました】


その場で装備を変更した。

これで店で買える防具はすべてシルバーになった。


次は鍛冶屋へ向かう。


「おう、兄ちゃん。今日は何を持ってきた?」


「これをお願いします」

ユースケは炎鱗の大剣を差し出す。


「ほう。いい大剣じゃねぇか」


「+4までお願いします」


ユースケはアイテムボックスを確認する。

鉄鉱石は18個。

失敗しなければ+4までに必要なのは15個。


ユースケは静かに両手を合わせた。

「亀様、どうかお力添えをお願いします」


「兄ちゃん、まだそれやってんのか?」


失敗してから祈るのでは遅い。


「ガハハ!じゃあ始めるぞ!」


+1。


カンッ!

カンッ!

カンッ!


「成功だ」


+2も成功。

そして+3。


カンッ!

カンッ!

カンッ!


「成功だ」


「おしっ!」


残るは+4。

鉄鉱石8個を渡す。

これで残りは3個。


亀様、お願いします。


カンッ!

カンッ!

カンッ!


「成功だ。+4になったぞ」


「よかった…」


【炎鱗の大剣+4】

【ATK:+27】

【効果:通常攻撃・武器スキルが火属性攻撃になる】


今回は1度も失敗しなかった。


「亀様、ありがとうございます」


「俺にも礼を言え!」


「もちろんです。ありがとうございます」


鍛冶屋の親父が豪快に笑った。

所持金はほとんどなくなったが、装備は整った。




◇

4人が再び集まると、今後のことを相談した。


「これで玄武街に行けるよね」


「うん。明日にでも出られると思う」


「リクちゃんたちはどうするんだろ?」


「聞いてみようか」


シオリがフレンドチャットを開いた。


(シオリ)

『リクちゃん、今レベルいくつ?』


(リク)

『23だよー!カイとソラも23!』


(シオリ)

『私たち全員25になったから、第7玄武街に行こうと思ってるんだけど、どうする?』


(リク)

『私たちは25まで上げてから行く!先行っててー!』


「だって」


「それがいいと思う」


推奨レベル25なら、急いで進む必要はない。


(シオリ)

『じゃあ玄武街でまた会おうね!』


(リク)

『うん!』


シオリがチャットを閉じる。


「次はサトルさんたちだね」


今度はユースケが連絡する。


(ユースケ)

『サトルさん、俺たち全員Lv25になったので、第7玄武街へ行こうと思ってます』


(サトル)

『俺たちも25だぞ!』


「2人とも25だって」


「じゃあ一緒に行けるじゃん!」


(ユースケ)

『もしよかったら、一緒に行きませんか?』


(サトル)

『いいな!今から会えるか?』


(ユースケ)

『大丈夫です』


(サトル)

『じゃあ冒険者ギルド前で!』


4人はそのまま冒険者ギルドへ向かった。




◇

冒険者ギルド前には、サトルとランが待っていた。


「おう!」


サトルが大きく手を上げる。

ランの視線が、サクラで止まった。


「そちらは?」


「あ、そうか。サクラとは初めてでしたね」

ユースケがサクラを見る。


「高校の頃からの友達で、探してた3人のうちの1人です」


「サクラです。よろしく!」


「おお!見つかったのか!」

サトルが嬉しそうに笑う。


「はい。少し前に再会できました」


ランも表情を緩めた。

「本当によかったわね」


「ありがとうございます。タケシとマユはまだですけど」


「そっちも見つかるといいな!」


「はい」


今度はユースケが2人を紹介する。


「こっちがサトルさんとランさん。玄武門まで来る途中で一緒に戦った人たち」


「なるほど。話には聞いてた」


「よろしく!」


「おう!」


「よろしくね」


挨拶を終え、本題に入る。

「明日、第7玄武街へ向かおうと思ってます」


「俺たちもちょうど行こうと思ってたところだ!」


ランも頷いた。

「人が集まる場所なら、シンの情報も増えるかもしれないしね」


「それなら、一緒に行きませんか?」


「もちろんだ!」


「私もいいわ」


「じゃあ6人だね!」


シオリが嬉しそうに言う。

明日の朝。

6人で第7玄武街を目指すことになった。




◇

その夜。

ユースケは玄武門の外へ出ていた。


指には修練の指輪。

手には、炎鱗の大剣+4。

明日まで使わずにいるという選択肢はなかった。


見慣れたコボルトを見つけ、炎鱗の大剣を構える。

コボルトが長剣を手に走ってくる。


ユースケも踏み込み、大剣を振り抜いた。

斬撃と同時に、刀身から炎が走る。

コボルトはそのまま光の粒へ変わった。


「おお…」


コボルトは元々、両手剣なら1撃で倒せている。

しかも弱点は火属性だ。

これでは攻撃力や属性による違いまでは分からない。

だが、火属性攻撃になっていることは見た目でも分かる。


「次はスキルかな」

別のコボルトへ狙いを定める。


「パワースラッシュ!」


炎をまとった刃がコボルトを斬り裂く。


「武器スキルもちゃんと火属性になるんだね」


説明どおりだ。

その後も炎鱗の大剣を使い、コボルトを狩っていく。

何度も振るううちに、身体に馴染んできた。


そして――。


【レベルが26に上昇しました】


「久しぶりに上がったね」


サラマンダーとの戦闘や夜狩りで、行動によるステータスも上がっていた。


HP+2、MP+1、STR+2、VIT+1、AGI+1、

DEX+2、INT+1


「ステータスも結構上がったね」


さらに現在のステータスを確認する。


【名前】ユースケ

【職業】盗賊

【レベル】26

【HP】70+15

【MP】67+15

【STR】22+17

【VIT】22+11

【AGI】30+14

【DEX】30+16

【INT】22+9

【LUK】22+2


ユースケは表示を閉じた。


「今日はこのくらいかな」


炎鱗の大剣をしまう。

あとは明日、次の街へ進むだけだ。


ユースケは玄武門へ戻っていった。


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