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玄武の渡り人 ~帰還できるのは、ただ1つの大陸だけ~  作者: かにかま
第2章 玄武門

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贖罪

空へ飛び立った矢が、弓を持つハーピーへ向かって軌道を変えた。


「ギャアッ!」


矢が翼に突き刺さり、高度が落ちる。


残った短剣タイプもユースケが引きつけ、その間にサクラとシオリが攻撃を重ねた。


ほどなく、最後のハーピーが光の粒となって消える。


「これで1つ目!」


シオリが杖を下ろした。


翼を破壊すれば飛行を封じられる。


弓タイプはサクラとシオリが優先し、短剣タイプはユースケが引きつける。


戦い方が分かってしまえば、あとは早かった。


街道周辺を移動し、見つけた群れを順番に倒していく。


途中、何度か通知も表示された。


【HPが1上昇しました】

【MPが1上昇しました】

【VITが1上昇しました】


休憩を挟みながら、さらに5つの群れを殲滅する。


最後のハーピーが光の粒となって消えたところで、新たな通知が表示された。


【討伐依頼:ハーピーの群れ】

【討伐完了】


「終わったー!」


シオリが両腕を上げる。


「結構狩ったね」


サクラも弓を下ろした。


「戻ろうか」


「賛成!」


4人は玄武門へ向かった。



◇


玄武門へ戻ったのは15時頃だった。


そのまま冒険者ギルドへ向かい、依頼達成を報告する。


【クエストを達成しました】

【300,000Gを獲得しました】


報酬は4人で均等に分け、1人75,000G。


「結構おいしかったね!」


「近場だったしね」


ユースケはヘルパーを閉じた。


始まりの街が消えるのは明日。


何が起きるか分からない以上、今日はこのまま玄武門で過ごした方がいい。


「今日はこのあと自由にしようか」


「明日は?」


シオリが聞く。


「9時にここでどう?」


「おっけー!」


「はい。大丈夫です」


「私もいいよ」


明日の9時、冒険者ギルドで集合することにした。


「そうだ。サクラとはまだフレンド登録してなかったね」


「今さら?」


「今だからでしょ」


「それもそっか」


互いにヘルパーを操作する。


【サクラとフレンドになりました】


「これで連絡できるね」


「高校からの友達なのに変な感じ」


「確かに」


シオリとヒナは先にギルドを出る。


ユースケもサクラを見る。


「サクラ、夜空いてる?」


「空いてるけど」


「飯行かない?」


「いいよ!」


「じゃあ18時にギルド前で」


「おっけー!」


サクラとも別れ、ユースケは防具屋へ向かった。



◇


防具屋で、まだアイアンだった頭、腕、足をシルバー装備へ更新する。


【シルバーヘルムを購入しました】

【シルバーガントレットを購入しました】

【シルバーグリーブを購入しました】


合計230,000G。


その場で装備を変更する。


これで武器と盾を含め、身につけている装備はすべてシルバーになった。


アイアンソードやアイアン防具は使うことはなさそうなので、買値の半値で売ってしまった。


ユースケは軽く身体を動かして感触を確かめてから、防具屋をあとにした。



◇


宿の部屋へ戻っても、18時まではまだ時間がある。


ユースケはベッドへ腰を下ろし、ヘルパーを開いた。


【名前:ユースケ】

【職業:盗賊】

【レベル】25

【HP】68+12

【MP】64+13

【STR】22+14

【VIT】21+9

【AGI】29+12

【DEX】29+13

【INT】21+8

【LUK】22+2


ハーピー戦でHP、MP、VITがそれぞれ1ずつ上がった。


【武器熟練度】

【短剣:Lv2】

【片手剣:Lv6】

【両手剣:Lv4】

【弓:Lv2】

【杖:Lv2】

【盾:Lv5】


【現在装備】

【武器:シルバーソード】

【盾:シルバーシールド】

【頭:シルバーヘルム】

【胴:シルバーアーマー】

【腕:シルバーガントレット】

【足:シルバーグリーブ】

【装飾品①:安らぎの指輪】

【装飾品②:修練の指輪】


防具はこれですべてシルバーになった。


最後にアイテムボックスの武器へ目を移す。


【主な所持武器】

【短剣:ポイズンダガー+3】

【片手剣:シルバーソード】

【両手剣:アイアングレートソード】

【弓:アイアンボウ】

【杖:アイアンスタッフ】


状況に応じて武器を変えられるのは、今まで何度も役に立っている。


「次は杖か両手剣をシルバーにしようかな」


ヘルパーを閉じる。


もうすぐ18時だ。


ユースケは立ち上がり、サクラとの待ち合わせ場所へ向かった。



◇


冒険者ギルド前へ行くと、すでにサクラが待っていた。


「遅い!」


「ちょうど18時だよ」


「私の方が早かったから遅い!」


「無茶苦茶だな」


2人で近くの食堂へ入る。


料理を注文し、向かい合って座った。


「今日のハーピー、結構楽だったね」


「サクラと相性良かったからね」


「やっぱ弓選んで正解だったなー」


「さすが弓道部のエース候補だね」


「ゲームでも弓選ぶと思ってた?」


「もちろん」


「分かってんじゃん」


料理が運ばれてくる。


今日の戦闘や、第28始まりの街での出来事を話しながら食事を続けた。


久しぶりに2人で話しているのに、不思議とそんな感じはしない。


高校の頃と変わらなかった。


しばらくして、ユースケは箸を止めた。


「サクラ」


「ん?」


「…ごめん」


サクラが首を傾げる。


「何が?」


「FKOのこと」


サクラの表情が変わった。


「俺のせいでサクラたちを危険なことに巻き込んだ…」


少しの間、サクラは黙ってユースケを見る。


「何それ」


「誘ったのは俺だし…」


「でも、参加するって決めたのは私でしょ」


すぐに言葉を返された。


「ユースケに誘われたからって、嫌ならやってないし」


「…うん」


「こんなことになるって知ってたわけでもないじゃん」


「それはそうだけど」


「じゃあユースケのせいじゃないでしょ」


サクラが箸を置く。


「タケシもマユも同じ。みんな自分で参加するって決めたんだから」


ユースケは黙って聞いた。


「勝手に3人分まで背負わないでよ」


「…分かった」


「ほんとに?」


「たぶん」


「分かってないじゃん!」


サクラが呆れたように笑う。


ユースケもつられて笑った。


「じゃあさ」


「ん?」


「帰ったら奢ってよ」


「何を?」


「いつものファミレスのマンゴーパフェ!」


「1番高いやつじゃん」


「いいじゃん。お詫びしたいんでしょ?」


「そういう使い方する?」


「する!」


サクラが楽しそうに笑う。


ユースケも笑いながら、残っていた料理へ箸を伸ばした。


しばらくして、サクラが静かに口を開く。


「タケシとマユも見つけようね」


ユースケは視線を落とし、込み上げてきたものを飲み込む。


少しして顔を上げると、サクラが何も言わずに待っていた。


「うん」

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