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玄武の渡り人 ~帰還できるのは、ただ1つの大陸だけ~  作者: かにかま
第2章 玄武門

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将軍、再び

ひんやりとした空気の中、11人は旅立ちの洞窟を進んでいく。


先頭はユースケ。

その後ろをAチームの8人が進み、シオリとヒナが周囲を警戒していた。


Aチームは、

戦士1人。

格闘家1人。

盗賊1人。

僧侶1人。

狩人2人。

魔術師2人。


しばらく進むと、ユースケが足を止めた。

前方にゴブリンの集団が見える。


ホブゴブリンが1匹。

その周囲にゴブリンが5匹。

さらに少し離れた場所にも、同じ集団がいた。

「2部隊か」

シオリが小声で数える。

「全部で12匹」


ユースケはシルバーシールドを構えた。

「俺が全部引きつけます。シオリとヒナは、それぞれ1部隊ずつお願い」

「了解!」

「はい」


ユースケはAチームの8人を見る。

「撃ち漏らしたゴブリンや残ったホブゴブリンを遠距離から狙ってください。前には出なくて大丈夫です」


全員が頷いた。

「じゃあ、行くよ」


ユースケが前へ出る。

こちらに気付いたゴブリンたちが、一斉に棍棒を構えた。

「ギギィッ!」

「グオオォッ!」


2匹のホブゴブリンを先頭に、12匹が押し寄せてくる。

十分に近付いたところで、ユースケは盾を打ち鳴らした。

「シールドノック!」

甲高い音が洞窟に響く。

2部隊の視線がユースケへ集まった。


シオリとヒナが、それぞれ杖を向ける。

「フロストサークル!」

「フロストサークル!」


2つの群れを中心に、冷気が一気に広がった。

「ギャッ!」

「ギギィッ!」


ゴブリンたちが次々と凍り付き、そのまま光の粒へ変わっていく。

10匹のゴブリンが消えた。


だが、冷気の中心にいた2匹のホブゴブリンはまだ立っている。

「グオオォッ!」


よろめきながらも、2匹ともユースケへ向かってきた。

「やっぱりホブは残るか」


片方の棍棒を盾で受け止める。

ガンッ!


すぐ横から、もう1匹の棍棒が振り下ろされた。

ユースケは身体をずらしてかわし、2匹の注意を自分へ向けたまま距離を取る。

「そのまま攻撃してください!」


後方で一斉に武器が構えられた。

「パワーショット!」

「アイスバレット!」

「ファイア!」


矢と魔法が2匹のホブゴブリンへ飛んでいく。

「グオッ!」


1匹が大きくよろめく。

それでもユースケから視線を外さず、棍棒を振り上げた。


ユースケは盾で受け流す。

その隙に、さらに矢と魔法が飛んだ。

「グアァッ!」


ホブゴブリンが光の粒へ変わる。


「あと1匹!」


残ったホブゴブリンへ攻撃が集中する。

数本の矢が突き刺さり、氷弾が胸を捉えた。

「グオッ…!」

最後の1匹も光の粒へ変わった。


洞窟に静けさが戻る。

ユースケは盾を下ろし、後ろを振り返った。

全員無事だ。


緊張していたAチームの8人にも、少しずつ笑顔が戻っていた。

最初の戦闘は、危なげなく終わった。


その後も、同じような集団と何度か遭遇した。

ユースケが敵を引きつける。

シオリとヒナの冷気が、ゴブリンたちをまとめて光の粒へ変える。

残ったホブゴブリンへ、後方から矢と魔法が飛んだ。


最初は緊張していたAチームの8人も、戦闘を重ねるうちに少しずつ動きが良くなっていた。

同じ戦い方を繰り返しながら、11人は危なげなく洞窟の奥へ進んでいった。


やがて、前方に見覚えのある大きな扉が現れる。

ユースケは足を止めた。

「ここがボス部屋です」


Aチームの8人の表情に、再び緊張が戻る。

これまでの敵とは違う。

この先にいるのは、ゴブリンジェネラル。


ユースケは大きな扉を見上げた。

「入る前に、ボスの動きをもう1度確認しておきましょう」


ユースケはAチームの8人を見渡す。

「ゴブリンジェネラルは、大きな金棒を使います。特に気をつけてほしいのが、頭の上まで振り上げた時です」


全員の表情が引き締まる。

「そのまま地面へ叩きつけて、周りにも衝撃が広がります。見えたらすぐに離れてください」


ユースケは続ける。

「敵は俺が引きつけます。危ないと思ったら、攻撃より回避を優先してください」


全員が頷いた。

「じゃあ、行きましょう」


ユースケが扉へ手をかける。

ギィィィ…。


重い音とともに、巨大な扉が開いていく。

その先には、広い円形の空間が広がっていた。


そして、部屋の中央。

ゴブリンが8匹。

ホブゴブリンが2匹。

さらに奥には、巨大な金棒を持った魔物が立っていた。


念のため、ヘルパーで確認する。


【ゴブリンジェネラル】

【レベル18】


「やっぱり、未攻略の人がいるとボスが出るみたいだね」


ユースケはシルバーソードとシルバーシールドを構える。

「シオリ、ヒナ。さっきと同じでお願い」

「了解!」

「はい!」


Aチームの8人へ視線を移す。

「最初は待機してください。撃ち漏らしたゴブリンとホブゴブリンから狙ってください」


狩人と盗賊が弓を構える。

魔術師たちは杖を握り、戦士と格闘家も昨日買った弓を手にしていた。


ユースケは1人で前へ出る。

その前に、ヒナがユースケにリジェネとプロテクションをかけた。


準備を終え、ユースケが敵へ向き直る。


ゴブリンジェネラルが低く唸った。

「グルルル…」


周囲のゴブリンたちも一斉にこちらを向く。

「行くよ」


さらに距離を詰める。

「シールドノック!」


甲高い音がボス部屋へ響いた。


ゴブリン8匹。

ホブゴブリン2匹。

そして、ゴブリンジェネラル。


11匹すべての視線がユースケへ集まる。


「ギギィッ!」

「グオオォッ!」


魔物たちが一斉に動き出した。


速すぎれば敵がばらける。

遅すぎれば囲まれる。

近付いてくる敵との距離を見ながら、少しずつ位置を調整する。

ゴブリンが先に出れば速度を上げ、ホブゴブリンたちが遅れれば少し待つ。

敵の注意を自分から外さないまま、11匹をまとめて引いていく。


「すご…」

後方から小さな声が聞こえた。


ユースケは敵の位置を確認する。

十分にまとまった。


「シオリ、ヒナ!」

「フロストサークル!」

「フロストサークル!」


2人の杖が向けられる。

冷気が2か所から一気に広がり、魔物たちを包み込んだ。


「ギャッ!」

「ギギィッ!」

ゴブリンたちが次々と凍り付き、光の粒へ変わっていく。

8匹のゴブリンが一気に消えた。


だが、ホブゴブリン2匹とゴブリンジェネラルは残っている。

3匹とも冷気で傷を負いながら、なおもユースケへ迫ってきた。


「ホブゴブリンから!」


後方から一斉に攻撃が飛ぶ。

「パワーショット!」

「アイスバレット!」


狩人の矢と魔術師の氷弾がホブゴブリンを捉える。

戦士と格闘家も弓を引き絞った。


放たれた矢が、続けてホブゴブリンへ突き刺さる。


ユースケは3匹を引きつけたまま、少しずつ後退する。

ホブゴブリンの棍棒を盾で受け流し、ジェネラルの金棒からは距離を取る。


さらに後方から矢と魔法が飛んだ。

「グオッ…!」

1匹目のホブゴブリンが光の粒へ変わる。


「もう1匹!」

残ったホブゴブリンへ攻撃が集中する。

狩人の矢。

戦士と格闘家が放つ矢。

そして魔術師の氷弾。


「グアァッ!」

2匹目も光の粒へ変わった。


残ったのは、ゴブリンジェネラルだけ。

「よし」

ユースケは後退を止める。

ゴブリンジェネラルが金棒を横薙ぎに振るった。


ユースケは一歩下がってかわし、その懐へ踏み込む。

「アーマーブレイク!」


淡く光ったシルバーソードが、ゴブリンジェネラルの胴を切り裂いた。


【ゴブリンジェネラルの防御力が低下しました】


ゴブリンジェネラルが低く唸る。

さらに後方から矢と魔法が飛んだ。

「グオッ…!」


ゴブリンジェネラルがよろめく。

しかし、すぐに巨大な金棒を頭上へ持ち上げた。


「離れて!」

ユースケの声に、全員がすぐに距離を取る。


「クイックステップ!」


ユースケも素早く後ろへ跳んだ。


次の瞬間。

ドォンッ!


巨大な金棒が石床へ叩きつけられる。

衝撃が周囲へ広がった。

だが、誰もその範囲にはいない。


「今だ!」


攻撃直後。

動きの止まったゴブリンジェネラルへ、一斉に攻撃が飛ぶ。


「パワーショット!」

「アイスバレット!」

「ファイア!」


矢と魔法が次々と巨体を捉える。

戦士と格闘家も弓を放つ。


何本もの矢が突き刺さり、ゴブリンジェネラルが大きく仰け反った。


「グオオォッ!」

それでも倒れない。


「まだ来るよ!」

ユースケが再び前へ出る。

ゴブリンジェネラルの注意を引きつけながら、金棒の動きを見る。


横薙ぎ。

ユースケは身体を引いてかわす。


続いて振り下ろされた一撃も、盾で受けずに横へ抜けた。


そして再び、巨大な金棒が頭上へ持ち上がる。


今度はAチームの8人も、ユースケの指示を待たずに距離を取り始めた。


「クイックステップ!」


ユースケも後方へ跳ぶ。


ドォンッ!


金棒が床へ叩きつけられる。


再び矢と魔法が集中する。

「パワーショット!」

「アイスバレット!」


戦士と格闘家も弓を引き、矢を放つ。

シオリとヒナも杖を向けた。


「アイスバレット!」

「アイスバレット!」


氷弾と何本もの矢が、ゴブリンジェネラルを捉える。


「グオオォォッ!」


巨体が大きくよろめく。

そのまま身体がゆっくりと傾き、光の粒となって消えていった。


一瞬、静寂が訪れる。


「…倒した?」

誰かが呟く。


次の瞬間。


「やった!」

Aチームから歓声が上がった。


ユースケはシルバーソードを下ろし、8人を見る。

全員いる。


「お疲れ様でした!」


緊張していた8人の顔に、一気に笑顔が広がった。

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