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玄武の渡り人 ~帰還できるのは、ただ1つの大陸だけ~  作者: かにかま
第2章 玄武門

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因縁のウルフ

前夜祭を終え、ユースケたちは宿へ戻ってきた。


「じゃあ、明日は朝9時に冒険者ギルド前で」

「はーい!」

「おやすみなさい」

「おやすみ」

シオリとヒナがそれぞれの部屋へ向かっていく。


ユースケも自分の部屋へ戻ろうとして、足を止めた。

ユースケは修練の指輪を見る。

「…こんな状況だからこそ、修練が必要だよね」

そう呟き、ユースケは宿を出た。



◇

夜の旅立ちの森。

ユースケはアイアングレートソードを手に歩いていた。

前方から低い唸り声が聞こえる。

「ガルルル…」

ウルフが3匹。


以前、この森へ初めて来た時は、3匹がリンクしただけで逃げていた。

「懐かしいな」


3匹のウルフが一斉に駆けてくる。

ユースケは最初の1匹をかわし、そのまま両手剣を振り抜いた。

「ギャンッ!」

一撃で光の粒へ変わる。

続く1匹も横薙ぎの一撃。

最後の1匹も、振り下ろした両手剣で倒した。


「通常攻撃で1発か」

以前とは比べものにならない。


ユースケは周囲を見る。

「これなら、まとめてもいけそうだね」


近くにいたウルフへ近付き、そのまま走り抜ける。

さらに別の群れの近くを通り、次々とウルフを引きつけていく。

ユースケは瞬足で距離を保ちながら、ウルフを引き連れて森を走った。


十分に集まったところで、大きく回り込む。

追いかけてきた10匹近いウルフが、まとまって迫ってくる。

ユースケは足を止め、アイアングレートソードを構えた。

「ワイドブレイド!」


両手剣を大きく振り抜く。

前方へ広がった斬撃が、密集したウルフたちをまとめて捉えた。

「ギャンッ!」

「ガウッ!」

ウルフが次々と光の粒へ変わっていく。


これぞ、ワンワントレイン!

ユースケは再び森の奥へ走り出した。

その後も、同じ狩りを繰り返した。



◇

気付けば、時刻は深夜2時を回っていた。

ユースケは宿の部屋へ戻ると、ベッドへ腰を下ろした。

「今夜の成果は…」


MP+1。

STR+2。

AGI+1。

DEX+1。

そして、両手剣熟練度もLv4になった。

両手剣適性が10%上昇し、80%から90%になっている。


「結構伸びたね」

修練の指輪を装備してから、やはりステータスの伸びはいい気がする。


ユースケはヘルパーを閉じ、ベッドへ横になった。

目を閉じると、すぐに眠りへ落ちていった。



◇

翌朝9時。

冒険者ギルド前には、昨日の28人が集まっていた。

「全員いますね」


ユースケは改めて24人の戦力を確認する。


レベル12が1人。

レベル13が5人。

レベル14が8人。

レベル15が6人。

レベル16が4人。


全員、旅立ちの洞窟の推奨レベル18には届いていない。


職業は、

戦士4人。

格闘家2人。

盗賊4人。

僧侶4人。

狩人5人。

魔術師5人。


昨日決めた通り、8人ずつA、B、Cの3チームに分かれている。


「旅立ちの洞窟までは、28人全員で一緒に行きます。ただ、正式なパーティーは3つに分けておきましょう」


ユースケは3組を順番に見る。

「Aチームには俺。Bチームにはシオリ。Cチームにはヒナとコウジさんが入ります」


それぞれパーティーを組んでいく。

Aチームは9人。

Bチームも9人。

Cチームは10人。


「移動中はチームごとに固まらなくて大丈夫です。俺が先頭に立ちます。コウジさんは最後尾をお願いできますか?」

「任せてくれ」

「他の前衛職の人は、後衛職の人を囲うように動いてください」


全員が頷く。


「それと、旅立ちの森に出るウルフは火属性が弱点です。ファイアを使える人は優先して使ってください」

ユースケは周囲を見渡した。

「じゃあ、行きましょう」


28人はまとまって、第27始まりの街を出発した。



◇

旅立ちの草原を抜け、森へ入る。

ユースケはシルバーソードとシルバーシールドを構え、先頭を進む。

最後尾にはコウジがいた。


しばらく進んだところで、ユースケが足を止める。

「来るよ」


前方の茂みが揺れた。

1匹。

2匹。

次々とウルフが姿を現す。

さらに左右の茂みからも増えていく。


「多い…」

シオリが杖を構える。


ユースケは素早く数えた。

「25匹くらいかな」

周囲がざわつく。

「やっぱり、人数が増えると敵も増えるみたいだね」


25匹近いウルフが一斉に駆け出した。

ユースケはすぐに声を張る。

「チームは気にしなくていいです!前衛は外側!後衛を囲って!」


全員が動く。

「コウジさん、後ろをお願いします!」

「任せろ!」


ユースケはさらに前へ出た。

「シオリ、ヒナ!俺が集める!」

「準備OK!」

「はい!」


押し寄せるウルフを十分に引きつける。

「シールドノック!」


盾を打ち鳴らす音が森へ響いた。

ウルフたちの視線がユースケへ集まる。

ユースケは左右へ動きながら、群れを前方へまとめていく。


「シオリ、ヒナ、お願い!」

シオリが杖を向けた。

「フレイムサークル!」


ウルフたちの足元から、一気に炎が噴き上がる。

「ギャンッ!」

「ガウッ!」

火属性が弱点のウルフが、次々と光の粒へ変わっていく。


少し離れた位置に固まった群れへ、ヒナが杖を向けた。

「フロストサークル!」


冷気が地面を走り、ウルフたちをまとめて包み込む。

2人の範囲魔法で、群れの大半が消えた。

それでも、範囲から外れた5匹ほどが残っている。


「残りをお願いします!」

ユースケの声を合図に、後方から一斉に攻撃が飛んだ。

「パワーショット!」

「ファイア!」

「アイスバレット!」


矢と魔法が残ったウルフへ集中する。

1匹。

また1匹。

最後のウルフも光の粒へ変わった。


森に静けさが戻る。

「よし。このまま行きましょう」


28人は再び隊列を整え、森の奥へ進んでいった。


その後も、何度かウルフの群れに遭遇した。

「シールドノック!」

ユースケが群れを引きつける。

「フレイムサークル!」

シオリの炎がウルフたちを包み、残った敵へ後方から矢と魔法が飛ぶ。


別の戦闘では、ヒナのフロストサークルが群れをまとめて捉えた。

前衛職は後衛を囲んだまま、いつでも動けるよう周囲を警戒している。


最初は緊張していた24人も、何度か繰り返すうちに少しずつ動きが良くなっていった。

「ファイア!」

「パワーショット!」

後方から攻撃が飛び、最後のウルフが光の粒へ変わる。


「いい感じですね」

ユースケは周囲を確認する。

大きく崩れることもなく、ここまで危なげなく進めていた。


そのまま森を進んでいくと、やがて木々の向こうに岩山が見えてくる。

「見えてきたよ!」

シオリが前方を指差す。


岩壁に開いた大きな入口。

旅立ちの洞窟だ。


28人は、その前まで辿り着いた。

ユースケは足を止め、後ろを振り返る。


ここまでは順調だった。

だが、本番はここからだ。


「じゃあ、まずAチームから行きます」


ユースケは洞窟の入口と、ここに残る16人を見比べた。

「…コウジさん」

「ん?」

「コウジさんには、ここに残ってもらってもいいですか?」

「俺は一緒に行かなくていいのか?」

「はい。洞窟の前で待っていれば、敵と遭遇することはほとんどないと思います。でも、念のためです」


ユースケは待機する16人を見る。

「俺たち4人が入ると、ここには16人だけになりますから」

「なるほどな」


コウジはすぐに頷いた。

「分かった。こっちは任せろ」

「お願いします。何かあったらフレンドチャットで連絡してください」

「おう」


ユースケはBチームとCチームへ向き直る。

「待っている間は、洞窟を背にして固まっていてください。前衛職は外側、後衛職は内側でお願いします」


16人がそれぞれ動き始める。

その中心にコウジが残った。


ユースケはAチームの8人を見る。

「シオリとヒナが入って、11人でパーティーを組み直します」


シオリとヒナが元のパーティーを抜け、改めてAチームに入る。

11人のパーティーが完成した。


「洞窟の中では、できるだけ俺が敵を引きつけます。遠距離から攻撃できる人は後ろからお願いします」


ユースケは少し間を置く。

「ゴブリンとホブゴブリンは氷属性が弱点です。アイスバレットを使える人は優先してください」


全員が頷いた。


「危ないと思ったら、無理に攻撃しなくて大丈夫です」


ユースケはシルバーソードとシルバーシールドを構える。

「じゃあ、行きましょう」


11人は旅立ちの洞窟へ足を踏み入れた。

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