リザードタートル(後編)
甲羅から頭が現れ、続いて太い手足が伸びる。
「出てきた!」
ソラが短剣を構える。
ユースケは先ほどのアナライズ結果を思い出した。
状態異常耐性はなし。
「毒を試してみよう」
リザードタートルの動きを見ながら、シルバーソードをポイズンダガー+3へ持ち替える。
「ソラ、また2人で挟もう」
「はい!」
ユースケとソラが左右へ分かれた。
リザードタートルがユースケへ巨大な前脚を振るう。
ブォン!
横へかわし、そのまま懐へ入る。
ユースケはポイズンダガーを脇腹へ斬りつけた。
反対側からソラも短剣を振るう。
リザードタートルがソラへ向きを変えた隙に、ユースケがもう1度攻撃する。
だが、通知は出ない。
「まだか」
「ウィンド!」
シオリの風の刃が直撃する。
少し間を置いてリクもウィンドを放ち、カイの矢も突き刺さった。
リザードタートルが大きく前脚を振るう。
ユースケは攻撃をかわし、再び距離を詰めた。
1撃。
さらにもう1撃。
その時――。
【リザードタートルが毒状態になりました】
「入った!」
ユースケはポイズンダガーを構え直した。
その後もソラと交互に注意を引きつけながら、攻撃をかわしていく。
隙ができればユースケとソラが斬りつけ、後ろからシオリとリクの風魔法、カイの矢が飛ぶ。
やがて――。
「グォォッ!」
リザードタートルが再び動きを止めた。
「またこもる!」
頭と手足が甲羅の中へ引っ込んでいく。
だが、今度は全員がその後に何が起きるか分かっていた。
「アーチャーに備えて!」
ユースケの声に、5人がすぐに周囲へ意識を向ける。
その直後。
部屋の奥に、2体のリザードアーチャーが現れた。
「来た!」
今度は不意打ちにはならない。
カイがすぐに弓を引く。
「パワーショット!」
強力な矢がリザードアーチャーへ突き刺さった。
「ウィンド!」
続けてリクの風の刃が直撃する。
1体目のリザードアーチャーが光の粒となって消えた。
残った1体へ、ユースケとソラが駆ける。
ソラの短剣が脇腹を斬りつけ、ユースケもポイズンダガーを振るう。
「ウィンド!」
シオリの風魔法が直撃した。
残ったリザードアーチャーも光の粒となって消える。
「今度は大丈夫だったね!」
シオリが笑う。
「うん。出てくるって分かってれば対応できるね」
ユースケは再び、甲羅にこもったリザードタートルへ視線を戻した。
まだ動く気配はない。
「今のうちに回復しておこう」
ヒナを中心に、減っていたHPを回復していく。
全員の状態を整えたところで、ユースケが声をかけた。
「出てきたら総攻撃しよう」
ユースケはポイズンダガー+3からアイアンスタッフへ持ち替える。
左手のシルバーシールドはそのままだ。
「ブレスにも備えてね」
「了解!」
6人が距離を取り直す。
しばらくすると、甲羅が揺れた。
「来るよ!」
頭が現れ、続いて太い手足が地面へ伸びる。
「グォォォッ!」
次の瞬間。
「ダブルショット!」
「ウィンド!」
「ウィンド!」
「ウィンド!」
「ウィンド!」
カイの2本の矢と、ユースケ、シオリ、ヒナ、リクの風魔法が次々と直撃する。
リザードタートルが大きく仰け反った。
ソラが隙だらけの首筋へ飛び込む。
「トリプルアタック!」
短剣が3回連続で首筋を斬り裂く。
リザードタートルがソラへ顔を向けた。
その隙に、ユースケはアイアンスタッフからシルバーソードへ持ち替える。
側面へ回り込み、シルバーソードを斬りつけた。
後ろからカイの矢も飛ぶ。
その時。
リザードタートルが足を止め、大きく息を吸い込んだ。
口元に白い冷気が集まっていく。
「またブレス!」
今度は全員がすぐに反応した。
ユースケの周囲へ集まる。
「シールドウォール!」
淡い光がユースケを中心に広がり、6人を包み込む。
次の瞬間。
ゴォォォッ!
白い冷気が吐き出された。
「くっ!」
凍えるような冷気が全身を襲う。
HPは減ったが、シールドウォールのおかげで耐えられる。
冷気が止まった。
「ヒール!」
ヒナがすぐにユースケを回復する。
「ありがとう!」
リザードタートルはブレスを吐き終えたまま、わずかに動きを止めている。
「もう1回いくよ!」
ユースケが距離を詰めた。
「トリプルスラッシュ!」
3連続の斬撃を叩き込む。
カイも弓を引いた。
「ダブルショット!」
2本の矢がリザードタートルの頭へ突き刺さる。
ソラも横から飛び込んだ。
「トリプルアタック!」
短剣が3回連続で身体を斬り裂く。
「グォォォッ!」
リザードタートルが大きく身体を揺らした。
そして、再び頭を甲羅へ引っ込めようとする。
「またこもる!」
ソラが声を上げる。
「ウィンド!」
「ウィンド!」
「ウィンド!」
シオリ、ヒナ、リクの風の刃が続けて直撃した。
「グォォォォッ!」
大きな咆哮が地下に響く。
リザードタートルの巨体が大きく傾き、そのまま地面へ倒れた。
静寂が訪れる。
そして――。
リザードタートルの身体が、光の粒となって崩れていった。
「倒した!」
シオリが声を上げる。
ソラがその場で大きく息を吐いた。
「強かった…」
「取り巻きがまた出てきた時は焦ったね」
ユースケも剣を下ろした。
最初は不意打ちを受けた。
だが、2回目は対応できた。
氷のブレスも、シールドウォールで軽減できる。
毒も効いた。
初めて見る攻撃ばかりだったが、戦いながら少しずつ対処できた。
「みんな大丈夫?」
「はい」
「大丈夫!」
「俺も平気です!」
6人が互いの様子を確認する。
その時。
リザードタートルが消えた場所に、光が集まり始めた。
「ん?」
光が徐々に形を作っていく。
やがて現れたのは、大きな宝箱だった。
「宝箱!」
シオリの目が輝く。
ユースケも思わず笑った。
「ボスドロップみたいだね」
6人は宝箱の前へ集まった。




