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玄武の渡り人 ~帰還できるのは、ただ1つの大陸だけ~  作者: かにかま
第2章 玄武門

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リザードマンの巣窟(そうくつ)後編

洞窟の中に静けさが戻る。


「ふぅ…」

ユースケが大きく息を吐いた。


「いやぁ、焦ったね」

シオリも苦笑する。


「倒したと思ったら追加が来るとはな」

カイが洞窟の奥を見る。


「今までとは全然違いますね」

ヒナも周囲を見渡した。


ソラが短剣を下ろす。


「すくつだから、倒しても次が出てくるんですね」

「えっ?」

「えっ?」

「えっ?」

シオリ、リク、カイが思わず反応する。


「いや、だからリザードマンの『すくつ』っていうぐらいだから湧いて出るんだなと思ったの」


次の瞬間。

「ぷっ、あははははは!」

リクがお腹を抱えて笑う。

「プハハハハッ!」

シオリも釣られて笑う。

「ククッ」

カイは肩を震わせる。


ヒナは顔を下に向けたまま優しく答えた。

「『巣窟』と書いて『そうくつ』って読むんだよ」

口元が少し緩んでいる。


「スクーツ!スクツ!」

リクの笑いが止まらない。


「リクうるせえ!うるせぇ!ちょっと勘違いしただけだよ!!」

ソラは耳まで真っ赤になる。


ユースケは苦笑しながら慰める。

「昔は『すくつ』って読まれることもあったらしいから、あながち間違いでもないよ」


「『すくつ』って打っても変換できないんだよね! あはははっ!」

リクが容赦なく追撃する。


その時、カイの表情が変わった。

「来る。4体」


全員がすぐに前方を見る。


「ほら、悪ふざけはおしまい」

ユースケがシルバーソードを構えた。


「さっきと同じ感じでいこう」

「了解!」


6人は再び戦闘態勢に入った。



◇


その後も、小部屋へ入るたびにリザードナイト、リザードアーチャー、リザードマンが姿を現した。


「シールドノック!」


ユースケが敵を引きつける。


カイとリクはリザードアーチャーを優先して狙い、シオリは通常のリザードマンを風魔法で削っていく。


ソラはリザードナイトの側面へ回り、攻撃をかわしながら短剣を振る。


ヒナは全員のHPを確認し、必要に応じてリジェネやプロテクションを使いながら支援を続けた。


戦闘を重ねるにつれて、それぞれが魔法のディレイや仲間の動きに合わせて攻撃するようになっていく。


「次は私が崩すね!」

シオリが杖を掲げる。

「プッシュ!」


透明な衝撃波がリザードナイトへ直撃し、巨体を後方へ押し飛ばした。


「ダブルショット!」


体勢を崩した瞬間、カイの矢が突き刺さる。

ユースケもすぐにシルバーソードからアイアンスタッフへ切り替えた。


「ウィンド!」

「ウィンド!」

「ウィンド!」


リク、ヒナ、ユースケの風の刃が立て続けに直撃する。

大盾を構え直す間もなく、リザードナイトは光の粒となって消えた。


ソラが目を丸くする。

「ユースケさん、魔法まで使えるんですか!?」


「盗賊は攻撃魔法の適性もそこそこあるからね」


ユースケは杖をしまい、再びシルバーソードを装備する。


「片手剣も短剣も弓も魔法も使えるなんて…すげぇ」

ソラが感心したように見つめてくる。


「使えるだけだよ。弓ならカイの方が上だし、魔法ならシオリやリクの方がずっと強い」


「でも、それだけ使えるの普通にすごくないですか?」

「色々試してたら増えただけかな」

ユースケは苦笑した。



その後も戦闘を繰り返すうちに、6人の動きはだいぶ噛み合ってきた。


誰かの攻撃が止まれば、別の誰かがつなぐ。

魔法のディレイ中には前衛とカイが攻撃し、前衛が押されれば後衛が援護する。


「いい感じだね」

ユースケが頷く。


「最初よりめっちゃ戦いやすい!」

シオリも笑顔を見せた。


さらに洞窟の奥へ進む。


しばらくして、ユースケが足を止めた。

「これは…」


全員がその視線を追う。


通路の先に、地下へ続く石造りの階段があった。


「下の階もあるんだ」

リクが階段を覗き込む。


薄暗く、その先までは見えない。


「どうします?」

ソラがユースケを見る。


ユースケは少し考え、首を横に振った。

「今日はここまでにしようか」


「えっ?」

リクが振り返る。


「まだ行けそうじゃない?」


「行けるかもしれない」


ユースケは階段の先を見る。

「でも、下に行けば敵が強くなる可能性は高そうだよね」


5人も階段へ視線を向ける。


「無理に進むより、この階で安全にレベルを上げた方がいいと思う」


ユースケはソラたちを見る。

「3人はこの街に来たばかりだし、俺たちもまだシルバー防具が揃ってないからね」


「それはそうですね」

ヒナが頷いた。


「お金を稼いで装備を更新して、必要な魔法も揃えてから挑戦しよう」


「確かに、その方が安心だね」

リクも納得したように頷く。


「じゃあ今日は、この階で狩りだ!」

シオリが杖を握り直した。


「賛成!」

ソラも短剣を構える。


カイが周囲を確認する。

「次、探す?」


「お願い」


ユースケも剣を構えた。

「それじゃあ、安全第一でいこう」


◇

地下へ続く階段を見つけた後も、6人はリザードマンの巣窟の1階で狩りを続けた。

もう細かく役割を確認する必要はない。


ユースケが盾を構えて小部屋へ踏み込む。

「シールドノック!」


盾を打ち鳴らすと、リザードマンたちの視線がユースケへ集まった。

その横をソラが駆け抜け、リザードマンの側面へ回り込む。

シオリの風の刃がリザードマンを切り裂き、カイとリクもリザードアーチャーへ攻撃を集中させる。


ユースケはリザードナイトの長剣を盾で受け止めた。

ガンッ!


そのままシルバーソードを振る。

「アーマーブレイク!」

斬撃がリザードナイトの鎧を捉えた。


【片手剣熟練度がLv6になりました】

【トリプルスラッシュを習得しました】


「ひさびさのピコーンだ!」


「出た!」

シオリが笑う。


詳しく確認したいが、まだ戦闘中だ。

ユースケはすぐに目の前の敵へ意識を戻す。


反対側からソラが短剣を振り、リザードナイトの注意を引いた。

「今ならいける!」


ユースケが踏み込む。

「トリプルスラッシュ!」


シルバーソードが連続して振るわれ、3回の斬撃がリザードナイトへ叩き込まれた。


「おおっ!」

ソラが声を上げる。


「ダブルショット!」

カイの2本の矢が続けて突き刺さる。

リザードナイトが大きくよろめいた。


「ウィンド!」

「ウィンド!」


シオリとリクの風の刃が左右から直撃する。

リザードナイトが光の粒となって消えた。


戦闘が終わると、ユースケは新しく覚えたスキルを確認する。


【トリプルスラッシュ】

消費MP:6

3回連続で斬撃を放つ。


「そのまんまだね」

「でも強そう!」

シオリが嬉しそうに剣を見る。


「MP6だから、使いどころは考えた方が良さそうかな」

「ユースケさん、片手剣もLv6なんですね」

ソラが感心したように言う。


「使ってる期間が長いからね」

短剣を使い始めたのは最近だ。

片手剣とは積み重ねが違う。


「よし、次行こう」

6人は再び洞窟を進んだ。


その後も、小部屋を回りながらリザードマンを狩り続ける。

カイが敵を見つけ、ユースケが引きつける。

ソラが側面へ回り、シオリとリクが魔法で数を減らす。

ヒナは前衛のHPを見ながら、必要な時だけ回復と支援を使う。


戦闘を重ねるたびに、6人の動きはさらに噛み合っていった。


しばらくして、ユースケがリザードナイトの長剣を盾で受け止めた時だった。

ガンッ!


【盾熟練度がLv5になりました】

【シールドウォールを習得しました】


「また来た!」

「今度は何?」

シオリがすぐに反応する。


戦闘を終えてから、ユースケは詳細を開いた。


【シールドウォール】

消費MP:5

一定時間、自分の周囲にいる味方が範囲攻撃から受けるダメージを軽減する。


「周りにいる味方が、範囲攻撃から受けるダメージを軽減するみたい」


「いかにもタンク向けのスキルって感じですね」

ヒナが頷く。


「今後、使う場面があるかもしれないね」

まだどれくらい軽減できるのかは分からない。

使う機会があれば確認してみよう。


それからも6人は無理のない範囲で狩りを続け、夕方になる頃にはリザードマンの巣窟を後にした。

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