リザードマンの巣窟(そうくつ)前編
ユースケとソラが先頭に立ち、洞窟の入口へ近づいていく。
その後ろで、ヒナが杖を構えた。
「プロテクション!」
魔法の光がユースケを包み込む。
続いて、ソラにも同じ光がまとわりついた。
「これで2人とも、30分間VITが上がります」
「助かる」
「ありがとうございます!」
その時、カイが前方を見る。
「来る。4体」
入口付近にいたリザードマンが、こちらへ向かって走ってきた。
「ウィンド!」
「ウィンド!」
シオリとリクが同時に魔法を放つ。
2つの風の刃が飛び、先頭の2体を切り裂いた。
弱点を突かれたリザードマンが、そのまま光の粒となって消える。
「あと2体!」
ユースケは盾を構え、残った1体を迎え撃つ。
振り下ろされた長剣を盾で受け止めた。
もう1体にはソラが向かう。
「こっちは俺が!」
リザードマンの攻撃を横へかわし、そのまま側面へ回り込む。
短剣が脇腹を斬り裂いた。
カイも弓を引く。
放たれた矢が、ソラと戦っているリザードマンへ突き刺さる。
「ウィンド!」
「ウィンド!」
さらにシオリとリクの風魔法が飛ぶ。
残った2体も光の粒となって消えた。
「問題なさそうだね」
ユースケは洞窟の奥を見る。
6人は改めて隊列を整えた。
先頭はユースケとソラ。その後ろにシオリ、ヒナ、リク。最後尾をカイが警戒する。
「それじゃあ、行こう」
6人はリザードマンの巣窟へ足を踏み入れた。
岩壁に沿って灯籠が並び、淡い光が洞窟の中を照らしている。
しばらく進んだところで、カイが足を止めた。
「この先に4体いる」
「部屋の中?」
「たぶん。少し広くなってる」
6人は足音を抑えながら進む。
やがて、小部屋の中が見えてきた。
リザードマンが2体。
残る2体は、これまでとは姿が違う。
1体は重厚な鎧を身につけ、大盾を構えている。
もう1体は弓を持っていた。
「種類が違うね」
ユースケはアナライズを使う。
【リザードナイト】
【レベル20】
【弱点属性:風】
【耐性属性:氷】
【状態異常耐性:なし】
続いて、弓を持った個体にもアナライズを使う。
【リザードアーチャー】
【レベル19】
【弱点属性:風】
【耐性属性:氷】
【状態異常耐性:なし】
「大盾がリザードナイト。弓がリザードアーチャー」
「どっちも風が弱点なんですね」
ヒナが敵を見る。
敵も役割が分かれてきたか。
ユースケは小部屋の配置を確認する。
「先にアーチャーを倒そう。遠距離から撃たれ続けると面倒だから」
「それアリじゃん」
リクが杖を構える。
「リクとカイでアーチャーをお願いできる?」
「オッケー!」
「分かった」
「シオリは右のリザードマン。ソラは左を横から狙ってみて」
「任せて!」
「分かりました!」
ユースケはリザードナイトを見る。
「ナイトは俺が止める。ヒナは全体を見ながら回復をお願い」
「はい」
全員が構える。
ユースケが小部屋へ踏み込んだ。
「シールドノック!」
盾を強く打ち鳴らす。
敵の視線がユースケへ集まった。
すぐにリザードアーチャーが弓を引く。
矢が飛んでくる。
ガンッ!
ユースケは盾で受け止めた。
その間に、カイが弓を引き絞る。
「ダブルショット!」
素早く放たれた2本の矢が、リザードアーチャーへ突き刺さる。
「ウィンド!」
続けてリクの風の刃が直撃した。
リザードアーチャーが光の粒となって消える。
【リザードアーチャーを討伐しました】
【リザードマンの鱗を獲得しました】
「よし!」
リクが杖を握り直す。
反対側では、シオリも杖を向けていた。
「ウィンド!」
風の刃がリザードマンを切り裂く。
弱点を突かれたリザードマンが、そのまま消えた。
残った1体にはソラが回り込んでいる。
ユースケへ向かおうとするリザードマンの側面から、短剣を振る。
ザシュッ!
リザードマンがソラへ振り向く。
「こっち!」
攻撃をかわし、再び側面へ回る。
魔法のディレイが終わったシオリが、もう1度杖を向けた。
「ウィンド!」
風の刃がリザードマンを切り裂き、光の粒となって消えた。
残るのは、リザードナイトだけ。
その間、ユースケは大盾を持つリザードナイトと正面から向き合っていた。
長剣を盾で受ける。
ガンッ!
重い衝撃が腕へ伝わった。
「結構、重いね」
さらに攻撃を受け、HPがわずかに減る。
ヒナが杖を向けた。
「リジェネ!」
柔らかな光がユースケを包む。
「ありがとう」
「無理しないでくださいね」
「ウィンド!」
リクの風の刃が正面から飛ぶ。
だが、リザードナイトは大盾で攻撃を受け止めた。
風が弾ける。
リザードナイトはわずかによろめいただけだった。
「マジ?」
リクが目を丸くする。
「盾でかなり威力を落とされてるね」
ユースケがシルバーソードを構える。
全員で囲めば倒せる。
そう思った、その時だった。
洞窟の奥から複数の足音が響いてきた。
カイがすぐに振り返る。
「奥から3体来る」
「えっ?」
ソラも洞窟の奥を見る。
新たなリザードマンが2体。
さらに、リザードアーチャーが1体。
3体の敵が小部屋へ姿を現した。
「追加かよ!」
ソラが短剣を構え直す。
「みんな、落ち着いて」
ユースケも盾を構える。
「俺が追加の3体のヘイトを取る。ソラはナイトのタゲを取ってくれる?」
「分かりました!」
「無理に攻撃を受けなくていいからね」
「はい!」
ユースケは新たに現れた敵へ走る。
「シールドノック!」
盾を打ち鳴らす。
3体の視線がユースケへ向いた。
「アーチャーから落とそう!」
カイはすでに弓を引いていた。
「ダブルショット!」
素早く放たれた2本の矢が、リザードアーチャーへ突き刺さる。
「ウィンド!」
リクもすぐに追撃する。
風の刃が直撃し、リザードアーチャーが光の粒となって消えた。
シオリは2体のリザードマンへ杖を向ける。
「こっちは任せて!」
「ウィンド!」
風の刃が1体を切り裂く。
弱点を突かれたリザードマンが光の粒となって消えた。
残った1体がユースケへ長剣を振り下ろす。
ユースケは盾で受け止め、その場に留める。
シオリは杖を構えたまま、魔法のディレイが終わるのを待った。
「もう1発!」
「ウィンド!」
風の刃が残ったリザードマンへ直撃する。
リザードマンが光の粒となって消えた。
「追加は終わり!」
リクが声を上げる。
ユースケはすぐにリザードナイトへ視線を戻した。
ソラが避けながら短剣で攻撃を続けている。
リザードナイトが向きを変えるたび、ソラは距離を取り、正面に立たないよう動いていた。
「ソラ、そのままで大丈夫!」
「はい!」
ユースケもリザードナイトの側面へ回り込む。
「アーマーブレイク!」
シルバーソードが鎧を斬りつけた。
【リザードナイトの防御力を下げました】
カイも弓を引く。
「ダブルショット!」
2本の矢が続けてリザードナイトへ突き刺さる。
リクも杖を構えた。
「ウィンド!」
風の刃が飛ぶ。
だが、リザードナイトはすぐに大盾を向けた。
風の刃が盾へぶつかり、威力を削がれる。
「やっぱり正面は防がれるね」
ユースケは大盾を見る。
なら、盾を構えられない瞬間を作ればいい。
「崩してみる!」
ユースケが盾を構え、踏み込む。
「シールドバッシュ!」
ガンッ!
リザードナイトを後方に吹き飛ばす。
その隙を見て、全員が動いた。
カイが矢を放つ。
シオリとリクが杖を向ける。
ヒナも続いた。
「ウィンド!」
「ウィンド!」
「ウィンド!」
3つの風の刃が、体勢を崩したリザードナイトへ襲いかかる。
ソラも素早く接近し、側面から短剣を振り抜いた。
「トリプルアタック!」
矢、魔法、短剣。
連続した攻撃を受け、リザードナイトの身体が揺れる。
そして…。
光の粒となって消えた。
【リザードナイトを討伐しました】
【リザードマンの鱗を獲得しました】
「倒した!」
ソラが嬉しそうに声を上げる。
ユースケは息を整えながら、洞窟の奥を見る。
最初の部屋から、いきなり増援まで来た。
「ここから先は、もっと慎重にいった方が良さそうだね」
6人は装備と周囲を確認し、さらに奥へ進む準備を始めた。
おかげさまで『玄武の渡り人』が累計2000PVを達成しました!
読んでくださっている皆さま、本当にありがとうございます。
今後も物語をしっかり作りながら連載を続けていくため、更新を毎日12時から、毎週月・水・金の12時へ変更します。
更新回数は少し減りますが、その分1話ずつ大切に仕上げていきたいと思います。
引き続き『玄武の渡り人』をよろしくお願いします!




