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玄武の渡り人 ~帰還できるのは、ただ1つの大陸だけ~  作者: かにかま
第2章 玄武門

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6人パーティー

冒険者ギルドへ到着すると、ユースケたちは中へ入った。

受付前には、すでに何人もの渡り人が集まっている。


「結構、人がいるね」

シオリが周囲を見渡す。


「玄武門に到着する人も増えてきたみたいですね」

「昨日より明らかに多いね」

ユースケもギルド内を見る。


その時、受付嬢が声をかけてきた。


「おはようございます。昨日登録された臨時パーティーの募集ですが、参加希望者がいらっしゃっています」

「本当ですか?」

「はい。こちらの3名です」


受付嬢が示した先に、3人の渡り人が立っていた。


女子が1人。

男子が2人。

3人とも若く見える。


最初に女子がこちらへ近づいてきた。


「初めまして!リクです!レベル20の魔術師です!」


明るい笑顔で頭を下げる。

続いて、残りの2人も自己紹介した。


「カイです。レベル20、狩人です」

「ソラです!レベル20の盗賊です」


「初めまして。ユースケです。レベル22の盗賊です」

「シオリです!レベル20の魔術師!」

「ヒナです。レベル20の僧侶です。よろしくお願いします」


「よろしくお願いします!」


リクが笑顔を向ける。


「私たち、玄武門には昨日着いたばっかなんです」

「そうなんだ」


シオリが興味を示す。


「始まりの街とは雰囲気が全然違うよね」

「分かる!人も増えてるし、店も違うし」


早くもシオリとリクの会話が弾み始める。


ソラがユースケを見る。


「3人だけで進むのは少し不安だったんで、臨時パーティーを探してたんです」

「なるほど。それで俺たちの募集を見つけたんだね」

「はい」

カイが短く頷く。


「今から向かう洞窟の推奨レベルはいくつですか?」

「21だよ」

「俺たちは20ですけど、大丈夫ですか?」


ユースケは3人を見る。

「無理はしない方針だよ。危険だと思ったら途中でも撤退する」

「分かりました」

カイが頷く。

「その方がいいと思います」


ユースケは改めて3人を見る。


「みんな高校生?」

「3人とも高校1年です!」

ソラが答える。


「俺たち、ゲームが始まってから同じ始まりの街で知り合ったんです」

「そうなんだ」


「ヒナと私は高校2年だよ」

シオリが笑う。


「じゃあ、うちらの1個上じゃん」

リクがシオリを見る。


「でも、敬語じゃなくてよくない?その方が話しやすそう」

「それがいい!じゃあ、リクちゃんって呼んでいい?」

「もちろん!私もシオリちゃんって呼ぶ!」


2人が楽しそうに笑う。


「カイとソラもそれでよくない?」

「俺はいいよ」

ソラがすぐに答える。


「俺も問題ない」

カイも頷いた。


リクが今度はユースケを見る。


「ユースケさんは大学生?」

「うん。大学1年だよ」

「じゃあ、ユースケさんはそのままでよくない?うちらより年上だし」

「俺もユースケさんって呼びます!」

ソラがすぐに続く。


「俺もそれで」

カイも頷いた。


「じゃあ、それでいこうか」

ユースケも笑う。


「改めてよろしく」

「よろしく!」

リクが元気よく答える。


シオリが6人を見渡した。

「なんか、急に仲間っぽくなったね」

「まだ会ったばかりだけどね」

ヒナが笑う。


ユースケはヘルパーを操作し、3人へパーティー申請を送った。


【リクがパーティーに参加しました】

【カイがパーティーに参加しました】

【ソラがパーティーに参加しました】


「これで6人だね」

ユースケの言葉に、それぞれが頷いた。



ギルドを出ると、6人はリザードマンの巣窟へ向かって歩き始めた。


少し進んだところで、リクが口を開く。


「そういえば、戦闘の役割って決めといた方がよくない?」

「そうだね」

ユースケが頷く。


「基本は俺が前で敵を引き受けるよ」

「ユースケさんがタンクですか?」


ソラが尋ねる。


「うん。盾も使えるからね。敵が多い時は俺ができるだけ集める」


ユースケが盾を見せる。


「俺はどうすればいいですか?」

「ソラは無理に敵を抱えなくていいよ。横や背後を狙って攻撃してほしい」

「なるほど」

「俺が引き受けきれない時だけ、1体お願いするかもしれない」

「分かりました!」


ソラが短剣を見ながら頷く。

「同じ盗賊でも戦い方が違うんですね」

「装備も違うしね。最初は無理せずいこう」


「私は回復と支援を担当しますね」

ヒナが続く。


「じゃあ、私とシオリちゃんは後ろから魔法だね!」

「うん!魔術師2人!」

シオリが嬉しそうにリクを見る。


「カイは?」

「俺は後ろから敵の位置と数を見る。必要なら先に狙う」

「うん。状況を見ながら援護してくれると助かる」

カイが頷く。


「ただ、実際に戦ってみないと分からないこともあるから、最初は様子を見ながらいこう」

「オッケー!」


リクが元気よく答える。


「ソラ、無茶しないでよ」

「分かってるって!」

「その返事、ちょっと怪しいんだけど」

「大丈夫だって!」


リクがソラを見て笑う。

カイは2人を見ながら小さく息を吐いた。


「無理そうなら止める」

「カイまで!」

そのやり取りに、シオリが笑った。



しばらく歩いたところで、カイが足を止めた。


「待って」

ユースケも止まる。


「どうした?」

「前に3体いる」

「敵?」

「たぶんコボルト」


ユースケはまだ姿の見えない森の奥を見る。


「見えるの?」

「索敵ってスキル。Lv20で覚えた」

「どんな感じ?」

シオリが興味津々で尋ねる。


「一定範囲にいる敵の位置が分かる」

「それ、めっちゃ便利じゃん!」


シオリが食いつく。

リクもカイを見る。


「やっぱそれ便利だよね。先に見つけてくれるとマジで助かる」

「そうだね」

ユースケも頷く。


敵より先に位置を把握できるなら、こちらから戦闘を始められる。


しばらく進むと、木々の間に3体のコボルトが見えてきた。

ユースケはアイアンボウへ持ち替えた。


「コボルトは火属性が弱点だから、シオリとリクはファイアで左右を1体ずつお願い」

「左は任せて!」

「じゃあ私は右ね!」

リクも杖を構える。


「カイと俺は中央を弓で狙おう」

「分かった」


6人は距離を詰めていく。

やがて、木々の間に3体のコボルトが見えた。


「カイ、いくよ」

「分かった」


ユースケとカイが同時に矢を放つ。

2本の矢が飛び、中央のコボルトへ突き刺さった。


「来るよ!」


3体のコボルトがこちらへ走り出す。

シオリとリクが杖を構えた。


「ファイア!」

「ファイア!」


2つの炎が左右へ飛ぶ。

弱点を突かれたコボルトが、それぞれ光の粒となって消えた。


残った中央のコボルトへ、ユースケとカイがもう1度矢を放つ。

攻撃を受けて動きが鈍る。


その隙を逃さず、ソラが走り出した。

側面へ回り込み、短剣を振る。


ザシュッ!


短剣がコボルトを斬り裂く。

そのままコボルトが光の粒となって消えた。


「よし!」


ソラが嬉しそうに振り返る。


「今の良かったじゃん!」

リクが声をかける。


「索敵、便利だね」

ユースケがカイを見る。


「敵の位置が分かってれば、かなり戦いやすい」

「うん。今のところ問題ない」


カイは周囲を確認しながら答える。


ソラがユースケの弓を見る。

「ユースケさんって、弓も使うんですか?」

「敵を釣る時に便利だからね。ソロでもよく使ってるよ」

「すごいですね。俺、転職してからずっと短剣です」

「盗賊の得意武器だし、それもいいと思うよ」

「本当ですか?」


「うん。俺は色々試したいだけだから。短剣はまだレベル2なんだ」

ユースケは苦笑した。

ソラが嬉しそうに短剣を握り直した。

「俺は短剣をもっと使いこなしたいです!」


その後も、カイの索敵で敵の位置を確認しながら進んでいく。


次は4体。

その次は5体。


人数が増えた分、こちらの火力も高い。

リクとシオリの魔法、カイの弓、ソラの短剣も加わり、戦闘そのものは安定していた。


ユースケは倒したコボルトたちが消えていくのを見る。


「そろそろ見えてくるはずだよ」

ユースケが前方を見る。


「昨日見つけた時は、この先だった」

「じゃあ、もうすぐですね!」

ソラが嬉しそうに答える。


やがて、森の奥に大きな岩壁が見えてきた。


「…あれ?」

ソラが足を止める。


岩壁の1か所に、ぽっかりと洞窟の入口が開いている。

その奥は暗く、先までは見えない。


「昨日はここまで確認して戻ったんだ」

「ここからが本番ですね」

ヒナの表情が引き締まる。


ユースケは5人を見る。

「中は俺も初めてだから、慎重に進もう」

「了解!」


リクが頷く。


「まずは入口にいるリザードマンからだね」


ユースケはシルバーソードと盾を構える。

ソラも短剣を握り直し、カイは弓に手をかけた。


シオリとリクが杖を構える。

ヒナも後ろから周囲を見る。


「行こうか」


ユースケとソラを前に、6人はリザードマンの巣窟へと足を踏み入れた。

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