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玄武の渡り人 ~帰還できるのは、ただ1つの大陸だけ~  作者: かにかま
第2章 玄武門

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玄鱗魚

玄武門へ戻ったユースケたちは、ダンとサイとともに冒険者ギルドを訪れていた。

受付カウンターへ向かい、ユースケが受付嬢へ声をかける。


「湖釣りの護衛クエストを達成しました」

「お疲れさまでした」


受付嬢が笑顔を向ける。


「報酬は150,000Gとなります。分配はいかがいたしますか?」

「3人で50,000Gずつお願いします」

「かしこまりました」


受付嬢が操作すると、3人のヘルパーに通知が表示された。


【50,000Gを獲得しました】


「ありがとうございます」


ユースケが頭を下げる。

ダンとサイも笑顔で3人を見る。


「それじゃあ、私たちはこれで失礼しますね」

「今日は本当にありがとう」

「こちらこそ、ありがとうございました」


ユースケたちも頭を下げる。

ダンとサイは冒険者ギルドをあとにした。


続いて、リザードマンなどから手に入れた素材も換金する。


【80,500Gを獲得しました】


冒険者ギルドを出ると、ユースケは空を見上げた。


「もう14時か」

「お腹空いた!」


シオリが元気よく声を上げる。


「朝からずっと動いていましたからね」

「そうだね」


ユースケはシオリを見る。


「食堂で玄鱗魚を調理してもらおうか?」

「それがいい!」

「私も食べてみたいです」


3人はそのまま食堂へ向かった。




店内へ入り、空いている席へ座る。


「すみません」

「はいよ!」


奥から元気のいい女性が出てきた。


「何にするんだい?」

「玄鱗魚を調理してもらいたいんですが」


ユースケがアイテムボックスから玄鱗魚を取り出す。

それを見た女将が目を見開いた。


「こりゃ、玄鱗魚だね。塩焼き、煮付け、刺身にできるよ」


ユースケは3匹の玄鱗魚を見る。


「せっかくだし、3種類にして分けて食べようか」

「賛成!」

「いいですね」

「はいよ!任せな」


女将が魚を受け取る。


「調理代は1匹1,000Gだよ。ライスとスープも付けられるけど、どうする?」

「お願いします」

「それなら1人1,500Gだね」


3人はそれぞれ代金を支払った。


「じゃあ、ちょっと待ってな!」


シオリが楽しそうに厨房の方を見る。


「どんな味かな?」

「高級魚って言ってたからね」

「楽しみですね」


しばらくすると、料理が運ばれてきた。


綺麗に盛り付けられた刺身。

香ばしい匂いを漂わせる塩焼き。

煮汁の染み込んだ煮付け。


それぞれの前には、ライスとスープも置かれている。


「おお!」


シオリの目が輝く。


「本当に美味しそうですね」


ヒナも嬉しそうに料理を見る。


「絶対、美味い。食うまでもない。食うけど」

ユースケはドヤ顔になる。


「何それ」

シオリが笑う。


「じゃあ、いただきます!」


3人はそれぞれの料理を取り分け、玄鱗魚を食べ始めた。

その時だった。


ピコーン。


【玄鱗魚を初めて食べました】

【初回限定ボーナスが適用されます】


ユースケの手が止まる。


「…来た」

「来ましたね」


ヒナも表示を見て微笑む。

シオリもようやく気付いたように声を上げた。


「あっ!さっき言ってた、後で分かるってこれだったんだ!」


続けて、新しい通知が並ぶ。


【HPが1上昇しました】

【MPが1上昇しました】

【STRが1上昇しました】

【VITが1上昇しました】

【AGIが1上昇しました】

【DEXが1上昇しました】

【INTが1上昇しました】

【LUKが1上昇しました】


「全部上がった!」


シオリが驚いて表示を見る。


「初回限定だから、何度食べても上がるわけじゃなさそうだね」

「それでも十分すごいですね」


護衛クエストの報酬だけでなく、思わぬ収穫まであった。

食事を終える頃には、3人とも満足そうな表情を浮かべていた。


ユースケは2人を見る。


「これからどうしようか」

「リザードマンの巣窟はどうしますか?」


ヒナが尋ねる。

シオリは大きく背伸びをした。


「今日はちょっとゆっくりしたいかな」

「じゃあ、今日は自由行動にして、明日は臨時パーティーを募集してリザードマンの巣窟を攻略しようか?」

「賛成!」

「私もそれがいいと思います」


方針が決まり、3人は食堂をあとにした。



再び冒険者ギルドを訪れる。

玄武門へ到着する渡り人も、少しずつ増えているようだった。


受付嬢が3人に気付き、笑顔を向ける。


「本日はどのようなご用件でしょうか?」

「臨時パーティーの募集をお願いしたいんですが」

「かしこまりました」


受付嬢がカウンターの上へ小さな受付端末を置く。


「募集内容の登録をお願いいたします」

「分かりました」


ユースケは端末を手に取った。


「まだ人も少ないし、職業とレベルは制限なしでいいかな?」

「はい。最低でも2人は欲しいですね」

「じゃあ、2人から3人募集しようか」

「それでいいよ!」


シオリも頷く。


「出発は明日の9時。集まらなかったら、その時に考えよう」


ユースケは募集内容を登録する。


【募集人数:2名〜3名】

【目的:リザードマンの巣窟攻略】

【募集条件:レベル、職業不問】

【出発:明日9時】

【待合せ場所:冒険者ギルド受付前】


続いて、現在のパーティー情報を登録する。


【ユースケ 盗賊 Lv21】

【シオリ 魔術師 Lv19】

【ヒナ   僧侶 Lv19】


登録を終えると、端末が淡く光った。

受付嬢が内容を確認する。


「登録を確認いたしました」

「よろしくお願いします」


ユースケは受付端末を返却し、3人は冒険者ギルドをあとにした。


「ユースケさんは今日はどうするの?」

シオリが尋ねる。


「短剣を試したいから、街の周辺で少しソロかな」


その瞬間、ヒナがユースケをじっと見る。

「徹夜は駄目ですよ」

「分かってるって」


「相変わらず元気だね」

シオリが呆れたように笑う。


「私はお腹いっぱいだし、お昼寝する!」

「シオリらしいね」

「ゆっくり休んでね」


3人はそこで別れた。



シオリとヒナを見送ったあと。

ユースケは1人で玄武門の外へ向かいながら、現在のステータスを確認する。


【名前】ユースケ

【職業】盗賊

【レベル】21

【HP】60+7

【MP】52+7

【STR】20+8

【VIT】19+5

【AGI】25+8

【DEX】25+9

【INT】19+6

【LUK】20+2


「さて…」

ユースケはアイテムボックスからポイズンダガーを取り出した。


ゴブリンジェネラルを倒した時に手に入れた武器。

鍛冶屋からは、鍛え続ける価値があると言われている。


だが、まだまともに使ったことはない。


片手に短剣を握り、軽く振る。


「まずは、使い勝手を確認してみようかな」


ユースケはポイズンダガーを手に、街の外へ歩いていった。

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