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玄武の渡り人 ~帰還できるのは、ただ1つの大陸だけ~  作者: かにかま
第2章 玄武門

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弱点特攻

湖の近くで、ダンとサイが釣りを始めてからしばらく。

ユースケたちは、湖の周囲を警戒していた。


その時だった。


「…来る」

ユースケが森へ視線を向ける。


木々の間から、2つの影がこちらへ近づいてきていた。

二足歩行するトカゲのようなモンスター。手には長剣を持っている。


「リザードマンかな?」


ユースケはすぐにアナライズを使う。


【リザードマン】

【レベル19】

【弱点属性:風】

【耐性属性:氷】

【状態異常耐性:なし】


「弱点は風。氷には耐性があるみたいだね」

「距離もあるし、ウィンドでいくね」


シオリが杖を構える。

「ウィンド!」


風の刃がリザードマンへ飛んでいく。

直撃。そのままリザードマンが光の粒となって消えた。


「よし!」

シオリが嬉しそうに笑う。


残った1匹がこちらへ走ってくる。


「ウィンド!」

今度はヒナの風の刃が直撃した。

リザードマンが大きくよろめく。

「あと少しですね」


ユースケも杖を向ける。

「ウィンド!」


風の刃が命中し、リザードマンが光の粒となって消えた。


【リザードマンを討伐しました】

【リザードマンの鱗を獲得しました】


「シオリのウィンドならワンキルか」

「ヒナのウィンドでも、ほとんど削れてたね」


シオリが自分の杖を見る。


「やっぱり+4って大きい?」

「弱点も突いてるし、たぶん両方だね」


その時。


「おーい!」

湖からダンの声が聞こえてきた。


「釣れたよ!」

「今行きます!」


3人は湖へ戻る。

ダンの竿には、大きな魚が掛かっていた。


「おお!」


シオリが目を輝かせる。


「大きいですね」

「そうだろう?」


ダンが嬉しそうに魚を持ち上げる。


「今日は調子がいいみたいだ」


サイも笑顔で魚を見ている。


「この調子なら、たくさん釣れそうですね」


ユースケたちは釣果を確認すると、再び周囲の警戒へ戻った。



それからしばらくして。


「また来たよ」

ユースケが森へ視線を向ける。


今度は3匹のリザードマンが近づいてきていた。


「またリザードマンだね」

「じゃあ、私がやる!」


シオリが杖を構える。


「ウィンド!」


風の刃が先頭のリザードマンを切り裂く。

そのまま光の粒となって消えた。


「ふふっ!」

シオリが満足そうに笑う。


残った2匹も、ユースケとヒナがウィンドを中心に攻撃していく。

ほどなくして戦闘が終わった。


その直後。


【杖熟練度がLv2になりました】

【詠唱短縮Ⅰを習得しました】


「よし、ピコーンだ」

ユースケが思わず声を上げる。


「久しぶりだね、それ」

シオリが笑う。


ユースケは習得したスキルを確認した。


【詠唱短縮Ⅰ】


詠唱時間を10%短縮する。


「10%か」

「少しでも早くなるなら便利ですね」

「うん。杖で魔法を使うなら役立ちそうだね」


その後も、リザードマンは何度か姿を現した。

3匹。次は2匹。そして、また3匹。


そのたびにユースケたちは風属性の魔法を中心に迎え撃つ。


「このくらいの間隔なら、MPも問題なさそうだね」


どの戦闘も短時間で終わっていた。

ユースケは、リザードマンたちが現れる方向を見る。


「どうしたの?」

シオリが尋ねる。


「ずっと同じ方向から来てるんだよね」


森の奥へ視線を向ける。


「向こうに何かあるのかもしれない」

「巣とかですかね?」

「可能性はありそうだね」


ユースケは少し考える。

ここから遠く離れるつもりはない。場所を確認するだけなら、それほど時間もかからないだろう。


「少しだけ見てこようかな」

「1人で大丈夫?」


シオリが心配そうに聞く。


「近くまで行って、様子を見るだけだよ。危なそうならすぐ戻る」


ユースケは2人を見る。


「ここは任せても大丈夫?」

「もちろん!」

「ダンさんたちは私たちが守ります」


ヒナも頷く。


「何かあったらチャットで教えてね」

「うん」


ユースケは瞬足を発動し、リザードマンが現れた方向へ走り出した。



しばらく森を進むと、木々の間から岩場が見えてきた。


「…あれかな」

ユースケは足を止める。


少し離れた場所に、岩場に囲まれた洞窟があった。

その周囲には2匹のリザードマンがいる。


ユースケは木の陰から様子を窺った。

しばらくすると、洞窟の近くにいた1匹が湖の方向へ歩き始める。


「やっぱり、こっちから来てるのかもしれないね」


断定はできない。

だが、可能性は高そうだ。


リザードマンが離れた隙に、ユースケは洞窟の入口近くまで移動する。

ヘルパーを確認した。


【リザードマンの巣窟】

【推奨レベル21】


「なるほど」


やはり、ただの洞窟ではなかった。

推奨レベルは21。今のユースケと同じだ。


「今日は護衛中だし、入る必要はないね」


場所だけ覚え、ユースケはすぐに湖へ戻ることにした。



「ただいま」

「おかえり!」


シオリが駆け寄ってくる。


「どうだったんですか?」

ヒナも尋ねる。


「洞窟があったよ。リザードマンの巣窟って場所みたいだね」

「じゃあ、あそこから来てたんだ」

「たぶんね」


ユースケは湖を見る。

ダンとサイは、今も楽しそうに釣りを続けている。


「今回は護衛だから、今は攻略しなくていいと思う」

「来たら倒せばいいんだよ!」


シオリが杖を構える真似をする。


「そういうこと」

ユースケは笑った。



その後も、リザードマンは何度か湖へやって来た。


「ウィンド!」


シオリの魔法が弱点を捉え、リザードマンを一撃で倒す。

ユースケとヒナも風魔法で攻撃し、残った相手を倒していく。


時にはユースケが弓を使うこともあった。


現れる方向も分かっている。

3人はダンとサイに近づかれる前に、危なげなく迎撃を続けた。


そして――。


「大きいよ!」


湖からダンの嬉しそうな声が響く。

ユースケがそちらを見る。


「楽しそうですね」

ヒナが笑った。


やがて、ダンが釣り竿を置く。


「もうそろそろ十分かな」


サイも頷き、2人で釣り道具を片付け始めた。


「皆さんのおかげで、安心して釣りを楽しめました」


サイがユースケたちへ頭を下げる。


「いえ、これが俺たちの仕事ですから」

「それでも、本当に助かりました」


サイは釣った魚の中から3匹を取り出した。


「これは皆さんに差し上げます」

「え?」


ユースケが魚を見る。


「いいんですか?」

「もちろんです」


サイが笑顔で頷く。


「これは玄鱗魚という魚なんです」

「玄鱗魚?」


シオリが魚を覗き込む。


「高級魚で、とても美味しいんだよ」

ダンが嬉しそうに説明する。


「玄武門の食堂でも調理してもらえますよ」

「食堂で?」

「ええ。煮ても焼いても、刺身でも美味しいですよ」


シオリの目が輝いた。


「食べたい!」


サイが楽しそうに笑う。


「それに、玄鱗魚は普通の魚とは少し違うんです」

「違う?」


ユースケが尋ねる。


「食べると、体の調子が良くなると言われています」

「体の調子が…」


ユースケは玄鱗魚を見る。

ゲームで食べる。そして、体の調子が良くなる。

「もしかすると…」


隣を見ると、ヒナも玄鱗魚を見つめていた。

「私も同じこと考えました」


「ん?どういうこと?」

シオリだけが首を傾げる。


「食べれば分かるかもしれないね」

「2人だけ分かってるのズルい!」


シオリが頬を膨らませる。


「それじゃあ、釣りも終わったことだし戻ろうか」


ダンの言葉に、3人も馬車へ向かう。


歩きながら、ユースケはステータスを確認した。

レベルは21。

今日の戦闘でDEXとINTも1ずつ上昇している。


【名前】ユースケ

【職業】盗賊

【レベル】21

【HP】60+6

【MP】52+6

【STR】20+7

【VIT】19+4

【AGI】24+7

【DEX】24+8

【INT】19+5

【LUK】20+1


新しい杖スキルも覚えた。

それに、3人全員が4属性の攻撃魔法を使える強みも、今回の戦闘で実感できた。


弱点が分かれば、それに合わせて攻撃を選べる。


「揃えておいて正解だったね」


ユースケはヘルパーを閉じ、玄武門へ向かう馬車の横を歩いていった。

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