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玄武の渡り人 ~帰還できるのは、ただ1つの大陸だけ~  作者: かにかま
第2章 玄武門

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玄鉄鉱山

玄武門を出たユースケたちは、玄鉄鉱山へ向かって歩いていた。


「玄鉄鉱山まで徒歩で約30分か」

シオリが歩きながら呟く。


「敵と戦いながらだと、もう少しかかりそうだね」

ユースケは答えながら周囲を見渡した。


玄武門から離れるにつれて、道の周囲には木々が増えている。

始まりの街周辺とは違い、この辺りにはまだ見たことのないモンスターもいるはずだ。


「鉱山だから、やっぱり洞窟みたいな場所なのかな?」

「そうかもしれないね」

ヒナが頷く。


「でも、発掘だけじゃなくてモンスターもいるんですよね?」

「推奨レベル18だったし、油断はしない方が良さそうだね」


ユースケは片手剣へ手を伸ばした。


「分かった!」

シオリが元気よく返事をし、ヒナも頷く。


その時だった。


「…待って」

ユースケが足を止める。


「どうしました?」

「何かいる」


前方へ視線を向ける。

道の先。木々の間から、複数の影がこちらへ近づいてきていた。


「モンスター?」

シオリが杖を構える。


やがて、その姿がはっきりと見えてくる。

二足歩行する犬のような獣。

手には長剣と盾を持っている。

2体だ。


ユースケはヘルパーを確認した。


【コボルト】

【レベル17】


「レベル17か」


表示を見たところで、ユースケは新しく覚えたスキルを思い出した。


「そうだ。ちょうどいいかも」

「何が?」

シオリが首を傾げる。


「レベル20で、新しい盗賊スキルを覚えたんだ」

「新しいスキル?」

「うん」


ユースケは詳細を開く。


【アナライズ】

消費MP:5

対象の弱点属性と耐性属性、状態異常耐性を解析する。


「敵の弱点と耐性が分かるみたい」

「それは便利ですね」

ヒナが頷く。

「まだ使ったことがないから、試してみるよ」


ユースケはコボルトへ視線を向けた。


「アナライズ」


スキルを発動すると、新たな情報が表示される。


【コボルト】

【レベル17】

【弱点属性:火】

【耐性属性:なし】

【状態異常耐性:なし】


「おお…」

思わず声が漏れる。


「どうだった?」

「弱点は火属性。耐性属性と状態異常耐性はなし」


ユースケはシオリを見る。

「シオリ、お願いできる?」

「もちろん!」


シオリが杖を構える。

「ファイア!」


放たれた炎がコボルトへ直撃する。

「ギャウッ!」


炎に包まれたコボルトが、そのまま光の粒となって消えた。


「やっぱり弱点だと効き方が違うね」

残ったコボルトがシオリへ向かって走り出す。

ユースケが間へ入った。


「スラッシュ!」

片手剣がコボルトを斬り裂く。


続けてヒナが杖を向けた。

「ウィンド!」


風の刃がコボルトを切り裂き、光の粒へと変える。


「問題なく倒せますね」

ヒナが杖を下ろす。


「新しいスキル、すごいね!」

シオリが嬉しそうに笑った。


「初めて戦う相手には、アナライズを試してみる価値がありそうだね」

「弱点が分かれば、使う魔法も選びやすくなりますね」

「うん。これも良い情報だね」

使える場面は多そうだ。


「それじゃあ、行こうか」

3人は再び玄鉄鉱山を目指して歩き始めた。



しばらく進むと、遠くに大きな岩山が見えてきた。


「もしかして、あれかな?」

シオリが指差す。


「たぶんね」

近づくにつれて、山肌に開いた大きな洞窟が見えてくる。

その周囲には、岩を掘ったような跡も残っていた。


ユースケはヘルパーを開く。


【玄鉄鉱山】

【推奨レベル18】


「ここだね」

「思っていたより大きいですね」

ヒナが岩山を見上げる。


「鉱山だから、もっと狭い場所を想像してた」

シオリの目が輝く。


「私、ちょっと楽しみになってきた!」

「さっきからずっと楽しそうですけど」

ヒナが小さく笑う。


「バレた?」

シオリも笑った。


「早く発掘しにいこうよ!」

ユースケは洞窟の入口へ視線を向ける。


「その前に、モンスターには気をつけよう」

「はい。慎重にいきましょう」


3人は武器を構え、玄鉄鉱山へ入っていった。



玄鉄鉱山の中は薄暗かった。

岩壁に沿って一定の間隔で灯籠が置かれ、淡い光が足元を照らしている。


シオリが周囲を見渡す。


「これなら、松明がなくても大丈夫そうだね」


灯籠の明かりは奥まで続いていた。

3人が通路を進んでいると、ユースケが足を止める。


「…何か聞こえる」


「ギギッ」

「ギャッ」


奥から声が響いてきた。

「いるね」


ユースケは岩陰から前方を覗く。

そこには3匹のゴブリンがいた。


だが、今まで戦ったゴブリンとは装備が違う。


短剣。

斧。

長剣。


それぞれ別の武器を持っている。


「武器が違うね」

シオリが小声で呟く。


「アナライズ」

ユースケはさっそくスキルを使った。


【ゴブリン】

【レベル17】

【弱点属性:氷】

【耐性属性:なし】

【状態異常耐性:なし】


「弱点はやはり氷か」


ユースケは3匹を見渡す。

「俺が引きつけるから、シオリは1体ずつ減らして」

「任せて!」


ユースケが前へ出る。

ゴブリンたちがこちらに気付き、襲いかかってきた。


「アイスバレット!」

シオリの氷弾が長剣を持ったゴブリンへ直撃する。


「ギャッ!」

ゴブリンが光の粒となって消えた。


ユースケが盾を構える。

「残りはこっちで引きつける!」


斧を盾で受け止め、続けて迫った短剣をかわす。


「スラッシュ!」

片手剣が短剣を持ったゴブリンを斬り裂いた。


「ギャッ!」

光の粒となって消える。


残るは斧を持ったゴブリンだけだ。

「アイスバレット!」


シオリの氷弾が直撃する。

弱点を突かれたゴブリンは、そのまま光の粒となって消えた。


「問題ないね!」

「うん。この辺りの敵なら3人でも大丈夫そうだね」


危なげなく戦闘を終え、3人はさらに鉱山の奥へ進んでいった。



しばらく進んだところで、シオリが足を止める。


「…あれ?」

「どうしたの?」

「この奥に何かいるよ」


シオリが前方を指差した。


ユースケも目を凝らす。

その先にいたのは、大きな岩の塊のようなモンスターだった。


「ゴーレム?」


ユースケはすぐにスキルを使う。

「アナライズ」


【ゴーレム】

【レベル18】

【弱点属性:風】

【耐性属性:土】

【状態異常耐性:毒無効】


「弱点は風属性。土属性には耐性あり。毒は効かないみたいだね」


「風なら、私のウィンドが使えますね」

ヒナが杖を構える。


その時。

ゴーレムがゆっくりと動き始めた。


「…動いた」


4メートルほどある巨体が、地面を揺らしながらこちらへ向かってくる。


ズシン。

ズシン。


足を踏み出すたびに、重い音が鉱山の中へ響いた。


「来るよ!」

シオリが叫ぶ。

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