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玄武の渡り人 ~帰還できるのは、ただ1つの大陸だけ~  作者: かにかま
第2章 玄武門

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ゴレムス

「来るよ!」

シオリの声と同時に、ゴーレムが大きな足を踏み出した。


ズシン!


地面が揺れる。

4メートルほどある巨体が、ゆっくりとこちらへ近づいてきた。


ユースケは片手剣と盾を構える。


「俺が引きつけるから、シオリとヒナは魔法をお願い」

「分かった!」

「はい!」


ユースケがゴーレムへ向かって走り出す。

巨大な拳が振り上げられた。


「アーマーブレイク!」

片手剣をゴーレムの身体へ叩き込む。

ガキィン!


【ゴーレムの防御力を下げました】


硬い岩を斬りつけたような衝撃が腕に伝わった。

それでも、表面には亀裂が走る。


ユースケはすぐに距離を取った。

直後、巨大な拳が地面へ振り下ろされる。


ドォン!


激しい音とともに地面が揺れた。


「アイスバレット!」


シオリの氷弾がゴーレムへ直撃する。


バキッ!


続けてヒナも杖を向けた。


「ウィンド!」


風の刃が岩の身体を切り裂く。


「魔法の方が効いてそうだね!」


ユースケは再び距離を詰める。


「スラッシュ!」


片手剣を振り抜く。

だが、魔法ほど大きな亀裂は入らない。


ゴーレムが腕を横へ振り回した。


ブォン!


ユースケは後ろへ下がり、巨大な腕をかわす。


その隙に2人の魔法が飛んだ。


「アイスバレット!」

「ウィンド!」


氷と風が続けて命中する。

ゴーレムの身体に亀裂が増えていった。


だが、ゴーレムの視線がシオリへ向く。


「こっちだ!」


ユースケは盾を構えて踏み込んだ。


「シールドバッシュ!」


ガンッ!


盾がゴーレムの身体へ叩き込まれる。

しかし、巨体はわずかに揺れただけだった。


「吹き飛ばせないか…」


その瞬間、ゴーレムの腕が振るわれた。


「っ!」


ガンッ!


盾を構えるより早く、巨大な腕がユースケを捉える。

身体が大きく吹き飛ばされた。


「ユースケさん!」


地面へ転がったユースケのHPが減少する。


「ヒール!」


ヒナの回復魔法が身体を包み込んだ。

減ったHPが戻っていく。


「ありがとう!」

「無理しないでください!」


「うん。回避メインでいくね」


ユースケは立ち上がり、ゴーレムを見据えた。


正面から受ける必要はない。

動きは遅い。


なら、かわして隙を作ればいい。


ゴーレムが再び拳を振り上げる。

ユースケはその動きを見る。


拳が振り下ろされる直前。


「クイックステップ!」


後方へ飛び退く。


ドォン!


巨大な拳が地面へ突き刺さった。

ゴーレムの動きが止まる。


「アイスバレット!」

「ウィンド!」


シオリとヒナの魔法が直撃する。


ユースケもすぐに距離を詰めた。


「スラッシュ!」


亀裂へ片手剣を叩き込む。

そして、すぐに離れた。


ゴーレムが追う。

かわす。

その隙に魔法が飛ぶ。


3人の攻撃が繰り返し命中し、岩の身体に亀裂が広がっていく。


「よし…」


ユースケは片手剣をしまい、アイアンスタッフへ持ち替えた。


「合わせて!」


シオリとヒナも杖を構える。


「アイスバレット!」

「アイスバレット!」

「ウィンド!」


3つの魔法が同時にゴーレムへ直撃した。


ピシピシッ!


全身に亀裂が走る。


そして――。


ドォン!


巨体が崩れ落ちた。

大きな岩の身体が地面へ倒れ、光の粒となって消えていく。


「倒した…」


シオリが杖を下ろす。


「最初にユースケさんが吹き飛ばされた時は驚きましたけど…」

ヒナが安堵したように息を吐く。

「回避に切り替えてからは安定しましたね」


「うん。ゴーレム相手なら、無理に盾で受けない方が良さそうだね」


ユースケはゴーレムが消えた場所を見る。


物理攻撃より魔法の方が効いていた。

巨体の割に動きも遅い。


次からは、もっと楽に戦えそうだ。


その時。


「…あれ?」


ゴーレムがいた場所の奥。

岩壁の1か所だけ、周囲とは少し色が違って見える。


「どうしたの?」


シオリが近づいてくる。


ユースケも岩壁へ歩み寄り、ヘルパーを確認した。

すると、岩壁の一部に採掘を示すマークが表示される。


「やっぱり…」

「もしかして、ここが発掘ポイントですか?」


ヒナも岩壁を見る。


「たぶんね」


ユースケは周囲を見渡した。


「ゴーレムがいた場所の奥に、発掘ポイントがあるみたいだ」

「じゃあ、ここで玄鉄鉱が掘れるんだ!」


シオリの目が一気に輝いた。



ユースケたちは、ギルドから借りた発掘道具を取り出した。


ヘルパーで確認すると、この発掘ポイントでは1人5回まで採掘できるらしい。


「それじゃあ、初めての発掘をやってみようか」

「私から!」


シオリが勢いよく手を挙げる。


「そんなに楽しみだったんだ…」

「だって、鉱山で発掘だよ!」


シオリは嬉しそうにピッケルを握った。

「私、お守り掘りは得意だったし、絶対に玄鉄鉱を見つけるからね!」


「それ、狩りゲームの話だよね…」

ヒナが苦笑する。


「細かいことは気にしない!」

シオリが岩壁へ向き直った。


ガンッ!

ガンッ!

ガンッ!

ガンッ!

ガンッ!


5回掘り終え、シオリが手元を確認する。


「……」

「どうだった?」

「鉄鉱石が5個…」


シオリの肩が落ちる。

「玄鉄鉱、0個…」


「まあ、まだ最初だから」


ユースケが苦笑する。

「他にも発掘ポイントはありそうだしね」

「うん…」

シオリはしょんぼりしながらピッケルを下ろした。


「次は俺がやってみるよ」

ユースケも岩壁へ向かう。


ガンッ!

ガンッ!

ガンッ!

ガンッ!

ガンッ!


掘り出した鉱石を確認する。

「鉄鉱石が4個と…」


最後の1個は、少し緑色がかった鉱石だった。

「玄鉄鉱が1個だね」


「いいなぁ…」

シオリが羨ましそうに覗き込む。


「次はヒナだね」

「はい」


ヒナもピッケルを受け取り、発掘を始めた。

5回掘り終え、手元を確認する。


「鉄鉱石が4個と、玄鉄鉱が1個です」

「ヒナも出た!」


シオリが目を見開く。


「これで俺とヒナが1個ずつだね」

「私だけ0個…」


再びシオリの肩が落ちる。


「まだ最初の発掘ポイントですよ」

ヒナが優しく笑う。


「次はシオリが見つけるかもしれないよ」

ユースケも続ける。


「本当?」

「うん。だから、次を探そう」


シオリは少しだけ考え、顔を上げた。

「…そうだね!」

ピッケルを握り直す。

「次こそ玄鉄鉱を見つける!」


「その意気だね」

ユースケが笑った。


3人は発掘道具を片付け、鉱山の奥へ視線を向ける。


「それじゃあ、次の発掘ポイントを探そうか」

「うん!」


3人は再び、玄鉄鉱山の奥へ歩き始めた。

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