↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
玄武の渡り人 ~帰還できるのは、ただ1つの大陸だけ~  作者: かにかま
第1章 始まりの街

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/51

パーティープレイ(前編)

翌朝。


宿を出たユースケは、ヘルパーを開いた。


「そういえば、パーティー機能ってちゃんと見てなかったな」


昨日までは組む相手がいなかった。


だが、今日からは違う。


(パーティー)


【最大12人まで編成可能】

【獲得経験値・ドロップは人数に応じて増加】

【経験値はパーティーメンバーへ均等に分配】

【ドロップアイテムはパーティーメンバーへランダムに分配】

【レベル差に関係なく参加可能】

【一定範囲内にいれば、戦闘へ参加していなくても経験値・ドロップを獲得可能】

【行動成長は実際に行動したメンバーのみ発生】

【パーティーメンバーのHPを表示】

【パーティーチャット使用可能】


「なるほど」

戦闘に参加していなくても、一定範囲内にいれば経験値は入るらしい。


「寄生もできるってことか」

ただし、何もしなければ行動成長は起きない。


「そこはちゃんと考えられてるな」

さらに説明を開く。


【経験値・ドロップ倍率】

【1人 100%】

【2人 125%】

【3人 150%】

【4人 175%】

【5人 200%】

【6人 225%】

【7人 250%】

【8人 275%】

【9人 300%】

【10人 325%】

【11人 350%】

【12人 375%】


「3人なら150%か」


経験値なら、それを3人で均等に分配する。


同じ敵を1匹倒した場合、1人あたりに入る経験値はソロの半分になる計算だ。


「1匹だけ見れば、レベル上げはソロの方が早いな」


だが、3人なら倒す速度も変わる。


複数の敵にも対応しやすくなり、休憩する回数も減らせるかもしれない。


単純に1匹あたりの数字だけでは判断できない。


続いてドロップを見る。


例えば、ドロップ率50%のアイテムなら、3人パーティーでは150%の倍率がかかる。


「50%の150%なら75%か」


ドロップしたアイテムは、3人のうち誰かへランダムに分配される。


「全員がもらえるわけじゃないけど、パーティー全体なら手に入りやすくなるわけだな」


経験値効率。


討伐速度。


安全性。


ドロップ。


人数が増えれば、単純に得をするわけでもないらしい。


昨日の出来事が脳裏をよぎる。


「…まあ、生き残るのが1番だな」


ユースケはヘルパーを閉じ、冒険者ギルドへ向かった。



「換金をお願いします」


受付嬢へ素材を渡す。


昨日集めたウルフの牙などをまとめて換金すると、所持金が更新された。


【所持金 49,000G】


「これで残りの防具も買えるな」


ユースケはそのまま防具屋へ向かった。



「いらっしゃいませ」


店主に声を掛けられる。


「ブロンズガントレットとブロンズグリーブをお願いします」

「ありがとうございます」


【ブロンズガントレットを購入しました】

【ブロンズグリーブを購入しました】

【17,000Gを支払いました】

【所持金 32,000G】


これでブロンズ防具が全て揃った。


「これなら、前より安心して戦えそうだな」


腕や足を軽く動かし、装備の感触を確かめる。


そして――。


「次は武器だな」


ユースケは武器屋へ向かった。



店内には、さまざまな武器が並んでいた。


片手剣。

短剣。

両手剣。

槍。

斧。

弓。

杖。

鈍器。

ナックル。


ユースケは片手剣の値札へ目を向ける。


【片手剣】

【ブロンズソード ATK+6 10,000G】

【アイアンソード ATK+10 28,000G】


続いて、短剣を見る。


【短剣】

【ブロンズダガー ATK+5 10,000G】

【アイアンダガー ATK+9 27,000G】


「短剣も試したいんだけどな…」


盗賊の短剣適性は120%。


今後、使ってみたい武器ではある。


だが――。


ユースケは再び片手剣へ視線を戻した。


片手剣は熟練度Lv4。


適性も110%まで上がっている。


今まで最も使い続けてきた武器だ。


「今はこっちだな」


昨日、防具を優先して見送った武器。


今なら買える。


「アイアンソードをお願いします」

「ありがとうございます」


【アイアンソードを購入しました】

【28,000Gを支払いました】

【所持金 4,000G】


ユースケは新しいアイアンソードを手に取った。


木製の片手剣とは違う重みが手に伝わる。


軽く振ってみる。


ヒュッ。


空気を切る感触も違う。


「いいね」


思わず口元が緩む。


「やっぱりメイン武器の更新はテンション上がるな」


防具も揃った。


武器も更新した。


そして今日は、初めての3人パーティーだ。


ユースケはアイアンソードを腰に提げ、待ち合わせ場所へ向かった。



旅立ちの草原入口。


「おはよっ!」


シオリが元気よく手を振る。


「おはようございます」


ヒナも小さく会釈した。


「おはよう」


シオリとヒナは、転職祝いでもらったアイアンスタッフを装備している。


ヒナのもう片方の手には、初心者装備の木盾もあった。


「あっ!」


シオリがすぐにユースケの腰へ気付く。


「剣、新しくなってる!」


「さっき買ってきた」


ユースケは柄を軽く叩いた。


「いいじゃん! かっこいい!」


シオリが目を輝かせる。


ヒナも微笑んだ。


「とてもお似合いです」


「ありがとう」


その時だった。


ピコン♪


【シオリからパーティー参加申請が届きました】


「もう作ってくれてたんだ」


「準備ばっちり!」


ユースケは申請を承認する。


【パーティーへ参加しました】


視界に3人の情報が表示された。


【ユースケ Lv14】

【シオリ Lv10】

【ヒナ Lv10】


それぞれの名前の横にはHPバーも表示されている。


「おおー! ちゃんとパーティーっぽい!」


シオリが嬉しそうに声を上げる。


「HPが見えるのは便利ですね」


ヒナも頷いた。


「昨日、ホーンラビットでファイア試してきたよ!」


「どうだった?」


「ちゃんと燃えた!」


「そっか」


シオリらしい答えに、ユースケが笑う。


「ヒールも問題なく使えました」


ヒナも続けた。


「それなら今日は実戦だね」


ユースケは2人を見る。


「まずは無理せず行こう」


「うん!」

「はい」


3人は旅立ちの森へ向かった。



旅立ちの森入口。


ユースケは足を止め、2人へ向き直った。


「昨日分かったことだけ、先に共有しておくね」


2人の表情が引き締まる。


「1番怖いのはリンクだ」


「あの話ですよね」


ヒナが静かに言う。


「うん。近くのウルフまで戦闘に入ってくる」


ユースケは森の奥へ視線を向けた。


「今日は無理しない。危ないと思ったらすぐ下がろう」


2人が頷く。


「基本は俺が弓で1匹だけ釣る」


アイアンボウへ手を添える。


「近付いてきたら俺が前に出る。シオリは後ろからファイアをお願い」


「了解!」


「MPを使い切る必要はないよ。余裕がある時は杖も試してみようか」


「杖で殴るってこと?」


「そう。使えば杖熟練度がどう上がるかも確認できるかもしれない」


シオリの目が輝く。


「なるほど! それも試したい!」


「ただし、無理に近付く必要はないからね」


「はーい」


ユースケはヒナを見る。


「ヒナは回復を優先で。余裕があるなら木盾も使ってみよう」


「はい」


ヒナが木盾を構える。


「僧侶は盾適性が110%だったから、相性はいいはずだよ」


「敵が後ろへ抜けてきても、倒そうとしなくていい」

「盾で時間を作ってくれれば、その間に俺が戻る」


「分かりました」


続いてユースケは、自分のブロンズシールドを軽く叩いた。


「複数リンクした時は、俺が前に出る」


「昨日覚えたシールドノックもあるから、後ろへ向かった敵をこっちへ引き戻せるかもしれない」


「そんなスキルあるんだ!」


シオリが反応する。


「便利そう!」


「便利だと思う。ただ――」


ユースケは苦笑した。


「集めすぎたら、今度は俺がタコ殴りになる」


「それはダメ!」


「だから使いどころは考えないとね」


ヒナも小さく笑う。


「回復はしますけど、無茶はしないでくださいね」


「もちろん」


簡単な打ち合わせを終えたところで、ユースケはふと思い出した。


「そうだ。もう1つ確認しておこう」


「何を?」


「フレンドリーファイア」


シオリが首を傾げる。


「味方への攻撃判定があるかどうか」


「ああ!」


シオリが納得した直後、少し嫌そうな顔をした。


「まさか私、ユースケさんにファイア撃つの?」


「いや」


ユースケは即答した。


「さすがにこれは身体で試す内容じゃないな」


「よかったぁ…」


シオリが胸を撫で下ろす。


「昨日の今日ですからね」


ヒナも少し安心したように言う。


「うん。まずヘルパーに聞いてみよう」


ユースケはヘルパーを呼び出した。


(フレンドリーファイア)

【パーティーメンバーへの攻撃にダメージ判定は発生しません】


「やっぱり無効か」


これなら、ユースケが前で戦っている時でもシオリは攻撃魔法を使える。


「じゃあ、ユースケさんごと燃やしていいってこと?」


シオリが笑う。


「言い方」


ユースケも苦笑した。


「でも、これなら前衛の近くでも撃ちやすいね」


「任せて!」


「頼もしいけど、ほどほどにね」


ヒナがくすりと笑った。


確認も終わった。


ユースケはアイアンボウを取り出す。


「じゃあ、行こうか」


「うん!」

「はい」


3人は森の奥へ歩き始めた。


木々の隙間から差し込む朝日が地面を照らす。


どこか遠くから、ウルフの遠吠えが聞こえた。


初めてのパーティープレイが始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。