↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
玄武の渡り人 ~帰還できるのは、ただ1つの大陸だけ~  作者: かにかま
第1章 始まりの街

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/51

パーティープレイ(後編)

森へ入って間もなく、1匹のウルフを見つけた。

ユースケは周囲へ視線を走らせる。他にウルフの姿はない。


「よし まずは1匹だね」


アイアンボウを構え、狙いを定める。


ヒュッ!


放たれた矢がウルフの肩へ突き刺さった。


「グルルッ!」


怒ったウルフが一直線に駆けてくる。


「シオリ!」


「任せて!」


シオリが杖を突き出した。


「ファイア!」


杖の先から火球が放たれる。


ゴォッ!


炎がウルフを包み込み、そのまま光の粒へ変えた。


「えっ?」


シオリが目を丸くする。


「倒しちゃった…」


「思ったより強いね」


ユースケも少し驚いた。


「アイアンスタッフのおかげかな?」


シオリが嬉しそうに杖を見つめる。


「それもありそうだね」

「俺の矢が先に当たってるからファイアだけの威力はまだ分からないけど 魔術師の適性もあるし」


「そっかぁ!」


シオリが杖を握りしめる。


「魔術師すごい!」


ヒナがくすりと笑った。


「シオリ 嬉しそうですね」


「だって魔法だよ!」


小さくガッツポーズをするシオリを見て、ユースケも笑う。


「じゃあ次は別の戦い方も試してみようか」


「うん!」



さらに森を進み、再び1匹のウルフを見つけた。


周囲を確認してから、ユースケがアイアンボウで釣る。


矢を受けたウルフが駆けてくる。


ユースケは弓からアイアンソードへ持ち替えた。


飛びかかってきた牙を身体をひねってかわし、そのまま剣を振るう。


斬撃がウルフの身体を切り裂いた。


「今ならいけそうだよ」


「やってみる!」


今度はシオリも魔法を使わず、アイアンスタッフを振り下ろす。


ゴッ!


「えいっ!」


ヒナも横から杖を打ち込んだ。


ゴンッ!


ウルフがよろめく。


そこへユースケがもう1度剣を振るうと、ウルフは光の粒となって消えた。


「やった!」


シオリが嬉しそうに杖を掲げる。


「1匹ならこれでも十分戦えそうだね」


「スラッシュは使わないんですか?」


ヒナが尋ねる。


「普通に倒せるなら今は温存かな」

「肝心な時にMPがないのは困るからね」


「なるほど」


「ただ 安全に戦える相手ならスキルや魔法を使って成長を狙うのもありだと思う」


シオリが首を傾げる。


「MPを使うから?」


「うん」

「今までの感じだと 実際に行動した方が能力も伸びやすいからね」


「じゃあ私もファイア使った方がINT伸びるかも!」


「可能性はあるね」

「でも使い切らない程度にしよう」


「はーい!」


ヒナも小さく笑う。


まだ始まったばかりのパーティーだ。


それでも、実際に戦いながら少しずつ自分たちなりの形が見えてきていた。



その後も3人は、1匹ずつウルフを釣りながら狩りを続けた。


シオリもファイアを使うタイミングに慣れ始め、ヒナも必要な時だけヒールを使っている。


「いい感じ!」


「うん この調子でいこう」


しばらく進むと、少し開けた場所に3匹のウルフが見えた。


ユースケは周囲を確認する。


茂みの奥にも、それらしい気配は見えない。


「1匹だけ釣ってみるね」


アイアンボウを構える。


ヒュッ!


矢が1匹の肩へ突き刺さった。


「グルルッ!」


狙ったウルフだけが群れから飛び出してくる。


「よし…」


その瞬間だった。


ガサッ!


奥の茂みが大きく揺れ、隠れていたウルフが1匹飛び出した。


さらに、その動きに反応するように残っていた2匹までこちらへ向きを変える。


「えっ!? 全部来る!」


シオリが声を上げた。


4匹。


ユースケはすぐにアイアンボウをしまい、ブロンズシールドを構える。


「落ち着いて」

「シオリ まず1匹減らそう!」


「任せて!」


「ファイア!」


火球が先頭のウルフへ直撃した。


ドォン!


炎に包まれたウルフが、そのまま光となって消える。


残り3匹。


「来るよ!」


ユースケが盾を前へ出す。


ガンッ!


飛びかかってきたウルフを受け止め、そのままアイアンソードで斬り返す。


だが、もう1匹が横から飛び込んできた。


爪がユースケの身体を捉える。


「ヒール!」


すぐにヒナの声が響いた。


淡い光がユースケを包み、削られたHPが戻っていく。


「ありがとう!」


「まだ来ます!」


ヒナの視線の先で、1匹のウルフが大きく回り込んでいた。


狙っているのは前衛のユースケではない。


「ヒナ!」


シオリが叫ぶ。


ヒナはすぐに木盾を構えた。


ウルフが地面を蹴る。


「シールドノック!」


ユースケが盾を強く打ち鳴らした。


ゴォンッ!


鈍い音が森へ響く。


ヒナへ飛びかかろうとしていたウルフが動きを止め、首を振るようにユースケへ向き直った。


「よし こっちだ!」


迫ってきた牙をブロンズシールドで受け止める。


その横を火球が通り過ぎた。


「ファイア!」


別のウルフが炎に包まれ、光へ変わる。


残り2匹。


「もう1匹いくよ!」


シオリが自分から次の標的へ杖を向ける。


「ファイア!」


ドォン!


3匹目も光となって消えた。


「あと1匹です!」


ヒナの声に、ユースケが踏み込む。


正面から剣を振るい、ウルフを押し返す。


「スラッシュ!」


斬撃が深く食い込み、最後のウルフも光の粒となった。


「終わったぁ…!」


シオリが大きく息を吐く。


ユースケも盾を下ろした。


その時、ヘルパーが表示される。


【HPが1上昇しました】

【VITが1上昇しました】


「2つ上がった」


ユースケは表示を見つめる。


今回も実戦の中で攻撃を受け、盾で何度も防いでいた。


「やっぱり被弾はHP 盾で受けるのはVITに関係してそうだね」


まだ断定はできない。


だが、これまでの成長とも一致している。


「こっちも出た!」


シオリが声を上げた。


【レベルが11に上昇しました】


ヒナも自分の表示を確認する。


「私もLv11です」


「2人ともおめでとう」


「見て見て! HPは1でMPが4上がった!」


シオリがステータスを見ながら目を輝かせる。


「私はHPが2でMPが3ですね」


ヒナも自分の数値と見比べる。


「やっぱり職業で伸び方が違うんだね」


魔術師はMP寄り。


僧侶は魔術師よりHPが伸びる代わりに、MPの伸びは少し低い。


転職時に確認した成長傾向とも合っている。


「魔術師 HP少なっ!」


シオリが自分の数値を見て笑う。


「やっぱり前に出たら危なそうですね」


「ファイアの火力は高いからね」

「そこは俺たちで守ろう」


「お願いします!」


ユースケはブロンズシールドへ視線を落とす。


シールドノックも想定通り機能した。


後衛へ抜けた敵を引き戻せるのは大きい。


ただし、使えば自分へ攻撃が集まる。


「シールドノックは使えそうだけど 数が多すぎる時は危ないね」


ヒナが頷く。


「その時は私もすぐ回復します」


「頼りにしてるよ」


「私も燃やす!」


「シオリはMP残ってる?」


「…あんまりない」


勢いよく答えた直後、シオリが杖を見つめる。


「ファイア使いすぎた…」


ユースケが笑う。


「じゃあ少し休憩しようか」

「今日は奥へ行くより 入口付近で3人の動きに慣れるのを優先しよう」


「賛成!」

「はい」


3人は少し休んでから、再び狩りを始めた。



その後も夕方まで、無理のない範囲でウルフとの戦闘を続けた。


1匹なら通常攻撃を中心に。


複数なら、ユースケが前で受け、シオリが火力を出し、ヒナが回復で支える。


最初はユースケの声を待っていた2人も、次第に自分で動くようになっていった。


「右から来る!」


シオリの声に、ユースケが盾を向ける。


「ヒールします!」


HPが減れば、ヒナの魔法が飛んでくる。


戦うたびに、3人の動きが少しずつ噛み合っていく。


途中、ユースケのヘルパーにも通知が表示された。


【レベルが15に上昇しました】

【クイックステップを習得しました】


「新しい職業スキルか」


気にはなる。


かなり気になる。


だが、今は2人との狩りの途中だ。


「これは帰ってから確認しよう」


「ユースケさんが我慢した!」


シオリが驚いたように振り返る。


「俺をなんだと思ってるの」


ヒナがくすりと笑った。


それからも狩りを続ける。


剣を振り、盾で攻撃を受け止めているうちに、さらに通知が現れた。


【STRが1上昇しました】


そして夕方。


「今日はこの辺で戻ろっか?」


シオリの言葉に、ユースケとヒナも頷いた。


今日だけでユースケはLv16。


シオリとヒナもLv13まで上がっている。


「結構上がったね!」


「3人で戦うのも慣れてきました」


ヒナが微笑む。


「うん」

「明日もこの調子でいこう」


初めての3人パーティー。


最初から完璧だったわけではない。


それでも、戦うたびにできることが増えている。


3人は今日の戦いを振り返りながら、並んで始まりの街へ戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。