表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/24

第8話 そのための

 「どっちも、本物……」

 

 ヌイは困惑しつつ、その意味を咀嚼するように呟く。

私は待っている間、知っている情報でその方法を考えた。


存在の裏側……。


一つになろうとするなら(まもの)は自然現象か?

存在を否定されたから、こうして世界の裏側まで来てしまったのかもしれない。


そんな中、ヌイはやっと口を開く。


 「そういう矛盾を平気で言えちゃうところ、好きだよ。」


 ぼろぼろなのに、笑顔だけは一段と輝いて見えた。

溜めに溜めた言葉をやっと出せたみたいに、ヌイの顔は解放感と安堵に満ちていく。


 「む、矛盾ってなに!私は本気でいってるんだからね!」


 「ごめんごめん、でも実際そうで……昼と夜を同時に存在させる、みたいなことなんだ。」


 ムスっとした私をなだめるように、ヌイは続ける。


 「でも、いいと思う。その世界のほうが綺麗だ。」


心拍数が一気に上がった。

私の言っていることはメチャクチャだ。


でも、それを実現したい。

どんなにあり得なくてもそうしたい。


この気持ちは、矛盾なんて言葉で片付けさせない。

2つの世界を肯定するんでしょ?


なら……まずは、自分から。


 「私やるよ──全部の存在が否定されない世界にしたい!」


 優しい風が頬を撫でる。

自分のじゃない、本当の風。

静かに、しかし強く背中を押してくれている気がした。


「……ついていくよ。きっとそのために、魔法少女がいるんだと思う。」


 ヌイなりに、覚悟を決めたような一言だった。



二人で大きすぎる理想を語った直後、周囲の空間が歪み出す。

次に目を開けた時には、私は歩道のアスファルトに両手をついて転んでいた。


膝や肘に擦り傷ができて痛む。特に右手の怪我は酷くて、その周りだけ地面が赤黒く変色していた。


 「だっ、大丈夫ですか?!派手に転んだみたいですけど……うわ、血出てますよ!」


 近くにいた人が心配してくれた。

さっきまでの戦闘の傷は、派手に転ぶという形で現実になったみたいだ。


 「大丈夫です、ありがとうございます。」

 「そうですか……。あ、あとこのぬいぐるみ、落としましたよ。」


 ちょっと汚れたヌイを渡された。

やっぱり無傷ってわけにはいかないみたいだ。

その後、その人は私に大きな絆創膏をくれた。


傷は痛むけど、当初の予定、ショッピングモールでの買い物を忘れているわけではない。


あれもこれもとカゴに入れていくと、レジで全然可愛くない値段が表示された。


でも、ヌイも私もこんなに頑張ったんだもん。これくらいの贅沢はしなくちゃね。


ヌイにはフリル付きのポンチョにメイド服、麦わら帽子にハートのサングラスまで買ってしまった。


どれも妙に似合っている。



 「それにしても絆創膏くれた人、親切な上に綺麗だったね。羨まし〜……」


右手を見ながらそう呟いた。

よく見るとあまり血は滲んでいないし、治りかけている。


 「あれ、なんか治るの早くない?」


その違和感に気づいた瞬間、


 「フウカ気をつけて。」


ヌイの表情が一瞬で変わる。


 「その絆創膏──

魔力が込められてる。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ