第18話 私の居場所
フウカちゃんは優しい。
だからきっと、私のこれも許容してくれると思う。
……そうであって欲しいだけかもしれない。
首元のチョーカーをそっとなぞって、その感触を確かめた。
これは友達から貰った大事なもの。知り合って間もないけど、プレゼントなんて久々に貰ったから嬉しかった。
「アオイさん。ご飯、置いておきますから。」
部屋の向こうから冷たい声がする。
父親の再婚相手。
あの人の視線は、子どもに向けるにしては少々刺々しい。
私は父親の連れ子だった。
1階では腹違いの弟が、その“両親”と食卓を囲んでいる。
私がそこに居るのが嫌なんだろう。
まあ私も、別に混ざるつもりはない。
いくつの時だったかな……。
この傷ができちゃったのは。
再婚相手がヒステリックを起こした時、たまたま給湯器が倒れた。
右肩に激痛が走ったことだけを覚えている。
後は父親から聞かされた話だ。
父親が私のために怒ってくれたらしい。
でもその言い合いのせいで処置が遅れ、病院に行っても跡が残った……という、どうしようもない話。
もうどうでもいいや。
結局、この家に私の居場所は無い。
そんな中で出来た友達が、「誰も否定されない世界を作りたい」なんて言うもんだから、私も感化されちゃった。
フウカちゃんはすごい魔法少女だ。
私をこんなに元気にしてくれる、最高の魔法少女。
私にもやりたいことができた。
みんなに居場所のある世界。その1歩目を貰った気がする。
いつかこの傷のことを話せたら、真夏を長袖で過ごさなくて良くなるかな。
その時は海にでも行って、フウカちゃんたちと遊びたい。
毎年この季節が億劫だった。
でも今は、少しだけ楽しみ。
だってほら、半袖の可愛い服を探す手が止まらないもん。
チョーカーと合わせる服を買おう。
ハートのサングラスとかも買っちゃう?
……望んでも望まなくても、言わなきゃいけない時は来る。
でも今はそうじゃなくていい。
魔法という不思議な縁で繋がった友達は、なんだか今まででいちばん特別な感じがした。
いつか、笑って言えたらいいな。
この傷が……どうでも良くなるくらい、笑って。




