表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/24

第15話 努力ってさ

私たちの目標。それは──


 「「世界を救うこと。」」


 アオイの表情はさっきからびくともしない。

そりゃいきなり世界を救う、なんて言われても理解できない。


 「えっとつまり……誰も否定されない世界を作りたいの。」

 「あー……なるほど?」


 否定し合う表と裏の世界。

その2つが、どっちも存在してていいような、何か大きなきっかけを作る。この矛盾を壊す何かを。


 「まだちゃんと理解できてないけど、力になりたい。」


 「それって……!」


 「一緒にやる!きっとその世界の方が、居心地がいいと思うんだ。」


 居場所……。みんなに居場所のある世界。

いいこと言うなぁ……。


 「相性も良いしね。」

 ヌイが口を開く。

 「アオイが近距離、フウカが遠近どっちもいける万能型。ボクは支援役かな?」


 「「なにそれ。」」


 戦闘そのものについては、まだまだヌイに教わることになりそうだ。

とりあえず今日は帰って、もう休もう。きっと疲れがどっとくるはず。


 「私んちこっちだけど、アオイは?」

 「私もそっちだよ〜。」


 何回か分かれ道があって、その度に同じ質問をしたが、毎回「私もそっちだよ〜。」と返ってくる。

さすがに違和感を覚えたので聞いてみた。


 「アオイって中学どこだった?私は第四。」

 「私、第三!近いね。」


 隣の中学校。

いやだからって、こんなに帰り道が同じはずが……。

あれこれ考えているともう家に着いてしまった。


 「「じゃあ私そろそろ家だから……」」


 声が重なる。え?

よく聞いたら、私の家から道路を挟んで斜め前がアオイの家だった。

学区が違うだけだった、というオチである。

夕暮れの住宅街に、笑い声が響いた。


 「なんだそういうことか〜!とにかく、今日はおやすみ、2人とも!」

 「おやすみ!アオイもゆっくり休んでね。」



 自室に戻ってからは、明日の魔力過負荷に怯えつつ、今日の出来事を振り返っていた。


私はまだ弱い。

天才を目の当たりにしたこともあるだろうけど、その事実を思い出す度に、自分の輪郭がぼやけていくような不安感を覚える。


このままじゃ、置いていかれる気がする。


 「ねえヌイ、私って弱いよね。」

 「え?うん。なんで?」


 ヌイはいつもサラッと残酷なことを言う。でも絶対、嘘は吐かない。


 「今日だって、あの状況をなんとかする方法があったはずなんだよ。この前だって、もっと簡単に勝てたかもしれない。この先──」


 守れなかったらどうしよう。


口にするのが怖くなって、一瞬躊躇った。

その隙に差し込まれる。


 「言ったじゃん。フウカは努力型って。環境を使った戦い方だって、風魔法の得意分でしょ?それに、戦闘IQ高いしさ。」


 努力、ね。

……報われた苦労だけが、努力と呼ばれる。

報われなかったら、ただの消耗だ。


 「……似てるなあ。」


 「何の話?」


 「なんでもない。……とにかく、フウカは強くなれるよ。分かるんだ。」


 ヌイは、少し目を細めて言った。

笑っている。

その目の奥には、郷愁と期待と信頼が滲んでいた。


時々見せるこの顔は、きっと私に向けられたものなんだろうけど、やけに湿度が高い。

ヌイらしくない……というより、私たちの距離感にしては、ちょっとだけ変。


……まあでも、ヌイがそこまで言うなら、きっと何かしらの確信があるんだろうな。


 「もう今日疲れちゃった。考えるのやーめた!お菓子食べちゃおーっと。」

 「じゃあボクもやーめた!あ、ゴミは捨ててね。」


 今日は早めにお風呂に入ろう。

それで、2人で寝るんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ