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第10話 なんですか、それ

目を合わせないように、そっと椅子に腰かける。

なんとなく気まずいけど、知らないフリは心が痛む。

今気づいた、ということにして声をかける。


 「この前、絆創膏くれましたよね……?あの時はありがとうございます。」

 「あっ、あの時の!あのあと大丈夫でしたか?」


 相手もびっくりした様子。ここにヌイがいない以上、下手なことはできない。


 「またお怪我しちゃったんですか?」


 くすっと笑いかけてくる。

ただえさえ顔がいいのに、そういう余裕を出してくるのはずるい。


 「いやぁ、頭が痛くて……」

 「奇遇!私も頭が痛くって。考え事をすると余計に痛むんです。」


 軽い調子で返された。

考え事は、多分イメージのことだ。私のは魔力過負荷だけど、この人もそうなのか……?

だけど、この話題を掘り下げるのは今じゃなくていい。話を逸らす!


 「そういえば、名前なんていうんですか?」

 「三椏みつまたアオイです。漢字難しいでしょう?いつもは三又って書いてます。」


 きっとどう書くのかを聞かれすぎて、先に言うことにしているのだろう。私もそうだ。


 「あなたは……シキさん?」

 「あっ、はい。四季フウカです。四つの季節で、四季。」

 「先程少し耳に入ってきましたよ。珍しいお名前ですね。」


 意外と会話が弾んでしまって、保健室の先生に注意されてしまった。こういうの後から凹むタイプなんだよなぁ……。


 「ほらほら二人とも。大丈夫なら授業に戻りなさいね?」


 「「はい……」」


 このままここにいてもサボってるみたいで嫌なので、授業に戻ることに。

二人で保健室を出る。

 

 「怒られちゃいましたね……。」

 「気にしちゃダメですよ。あと、一人反省会もダメですからね。」


 いい感じの一言で和ませてくれる優しい人だ。

しかしヌイが言うには、この人は十中八九魔法少女。ここで離すわけにもいかない。


 「あのっ……!放課後時間空いてたら、また話しませんか!」

 「いいですよ……?じゃあ、中庭の自販機前に集合しましょう。」


 こんなに積極的になったことなんて、小学生以来だ。

あの時は一緒に遊ぼ、で簡単に友達になっていたのに、いつの間にこんなに臆病になってしまったのだろう。


 ほぼ寝てたけど、6限まで耐え切った。

人目のないところまで来て、前に抱えたサブバッグにひそひそと話しかける。


 「この前の人、会ったよ。同じ学校。」

 「え!?」

 「で、今からもう1回会いに行く。」

 「えぇっ!?」

 

 というわけで、約束の自販機前に着いた。

アオイさんは自販機で買ったばかりらしいアイスを舐めて待っていた。


 「アオイさん!お待たせしました!」

 「あ、フウカさん!お話ってなんですか?」


 ここで聞くしかない。

ヌイもいる。頭痛も昨日よりマシだ。


 「アオイさんって……!魔法少女、ですよね!?」


 この秘密を共有できる友達ができるかもしれない……!

本当は一瞬なんだろうけど、返事を待つ時間が限りなく長く感じる。


 「……えっ」


 アオイさんが口を開く。

次に来るセリフは「なんでわかったんですか?」か、それとも、「バレちゃいましたか。」か?


 「なんですか、それ……?」


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