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【完結】二振りの剣と星の航跡 〜次元を越え、時を超える少年の物語〜  作者: @SsRay
青年編 黄夏星(おうかせい)と緑春星(りょくしゅんせい)

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ep21.星屑の咆哮 ―紅蓮の拳と黄金の雷、そして青の閃光―

 夜空は、まるで割れた星屑を撒き散らしたみたいに揺れていた。

 その中心にいるのは――紅蓮の光を纏う少女、ミラ。


 山のような巨躯を誇る猿型の魔獣と、彼女は真正面からぶつかり合っていた。


「はあああぁぁッ!!」


――ダンッッッッ!!


 ミラの拳が放つ《爆星拳》と、魔獣の腕に纏う闇が激突する。

 衝撃が走るたび、夜の闇は火花に焼き裂かれ、空気そのものが悲鳴を上げた。


 互角――いや、ほんのわずかに拮抗。


 だが問題は、そいつだけじゃない。


 ミラの背後。

 地面の裂け目から、泥のように滲み出してくる影。


 無数の『黒い兵士』。


 人の形をしているのに、人じゃない。

 目も口もない影が、這い寄るようにミラへ迫る。


「……ちっ、湧きすぎだろ!」


 ベガが舌打ちする。


 その瞬間だった。


「ミラ! 御前はソイツに集中しろ! 周りは任せとけ!」


 声が、空から落ちてきた。


 見上げれば――


 夜空に立つ一人の少年。

 全身を黄金の雷で包んだ男、ベガ。


 雷光が髪を揺らし、瞳はまるで星そのものみたいに輝いている。


 彼は天を指差し、叫んだ。


「降り注げ――」


 一瞬、空が静まり返る。


 そして。


「――《アストラル・レイン》!!」


 ベガが腕を振り下ろした瞬間。


 夜空が、落ちてきた。


 黄金に輝く雷の閃光。


 それが数百、数千――いや、数え切れないほどの流星となって戦場へ降り注ぐ。


 ドドドドドドドドドドドド!!


 星の雷は黒い兵士を次々と貫き、影の体を一瞬で蒸発させた。

 断末魔すら残さず、影は塵となって暫くの間再生されるまで一時的な静寂。


 まるで星の雨だ。


「……フッ」


 ミラが笑う。


 だが――


 影はまだ湧き続けていた。


 地面の奥。

 因果の淀みから、終わりなく這い出てくる闇。


「キリがねぇ……!」


 その時だった。


 ゴォォォォォ!!


 黒い猿型魔獣が腕を振り上げる。


 山のような拳。


 だがミラは逃げない。


「遅いっ!」


 彼女は逆にその腕へ飛び乗った。


 ドン!


 巨大な腕に着地すると、そのまま全速力で駆け上がる。


 肩。

 首。

 頭部へ――!


 魔獣が暴れ、空気が唸る。


 それでもミラは止まらない。


「ハッ‼」


 肘の関節を蹴り、さらに跳躍。


 その体が夜空へ舞い上がった。


 その瞬間――


 ミラの周囲に、炎が灯る。


 一つ。


 二つ。


 三つ。


 いや、十、百――。


 紅蓮の炎の球体が次々と現れ、彼女を中心に円を描いて回転し始めた。


 まるで小さな太陽の群れ。


 夜空に浮かぶ、紅い星の軌道。


 ベガが空から呟く。


「……おいおい。シリウスがいってた通りだな」


 ミラは拳を握りしめ、落下する。


 狙うは――黒猿の顔面。


「決めさせてもらうわ!!」


 拳が振りかぶられる。


 紅蓮の星々が、一斉に輝いた。


「――《業火流星拳サウザンド・ノヴァ》!!」


 ドゴォォォォォォォン!!!!


 拳が顔面に叩き込まれた瞬間。


 ミラを囲んでいた炎の星が、すべて流星となって魔獣へ降り注いだ。


 百の爆発。

 千の閃光。


 夜空が、昼になる。


 そして――


 巨大な黒猿の体が、星の爆炎の中で崩れ落ちた。


 まるで、燃え尽きる隕石みたいに。


◇◇◇◇


(……急がないと。二人の体力が持たない! それに、この謎の光がなけりゃとっくの昔にやられている)


 シリウスは無意識に歯を食いしばった。その瞬間、彼の身体を『黒い重力』が包み込む。


 本人は気づく暇もなかったが、焦燥に呼応したその力は、ミラのバイクの最高速度を凌駕する爆発的な推進力へと変わっていた。


 夜を切り裂く青いオーラが微弱な黒いオーラをまとい、草原を弾丸と化し、シリウスは魔法大国の城門前で、無意識に城門前で踏み込みその勢いで城の入り口まで一気に青い光の外側に微弱な黒いオーラを纏い。


――しかし、城の入り口の兵士が何故かいない。


 そのまま王宮へ入るが、人、ひとり見当たらない。


 (何かがおかしい…………)


 城の玉座の間が見えた。そこにはローブを着た城のローブを着た魔法兵士が沢山群がり、騒がしい声がする。  


(まさか、間に合わなかったのか!? 剣士の国の門の前での戦闘。そこから急いで来たが、ミラのバイクでも本来は朝になっている時間帯だ。こんな早朝に何が起きているんだ?)


 シリウスが纏っていた青いオーラはいつの間にか消えていた。紋章を見せながら魔法兵の群がる中を突き進む。


「悪い。通してくれ、急用だ」


 しかし、魔法兵達は紋章を見ることすらない。玉座の方を皆、見ていた。


 シリウスは、無理に力のないもの達を押し通り、玉座の前へと進んだ。そこには、見覚えのある三人と、鎧を着た兵士が独り倒れ、王がひざをつき、王女を抱えていた。


(そんな。何故!? 妨害にあってはいたが、まだ三時間多少余裕があったはずだ)


(まさか、剣士の国側にいたやつは、エルヴァスの作り出したローブを着た魔物だった、こちらにはコイツ《エルヴァス》がいた! つまり、事を早めたのか……)


 未来で受け取った紋章を片手に、俺は星の剣を抜いた。


「何奴だ! 騎士でもない者が無作法に――」


「セレス。俺は、三年後の未来で、この紋章をもらいエルヴァスの策略を止めに来た。エルヴァスから離れるんだ。ソイツは、憎しみを増加させ、人を憎悪の溜まりの魔物に変えるために二つの国の結婚前日に各国の王子と王女を殺す為に、この国へ侵入したモンスターだ!」


「未来からだと……」

「なぜ、私の名を……」


「その兵士も、エルヴァスが産み出した魔物だ!」

 俺が、エルヴァスと王、セレスの前に割って入る。


「このような、悲劇の場に貴様は何をしに来た? 無礼者め!」


 俺は、セレスに耳元で呟いた。

「未来の御前から、ベットの下に隠している写真について伝えれば未来から来た俺の事を信頼して貰えると聞いたんだが……」


「そういうことか」


 紋章と、セレスの動きに王が理解し、行動に移った。 

「エルヴァス、貴様、私を騙していたのか!?」


「……チッ。残滓め、余計な真似を。それに、剣士の国側の策略の失敗の原因は貴様だったか」


 倒れていたはずの兵士が起き上がり、エルヴァスの前に立ち、正体を見破られたエルヴァスが、漆黒の魔力を指先に凝縮させる。だが、シリウスの方が一瞬早かった。


 シリウスは右手で袈裟斬りで切りかかり、二本目の剣を左手に生成し、左からの横切り。目の前に立ち上がった兵士をたった二撃で切り伏せ。2本の剣でその兵士を突きでエルヴァスの元へ突飛ばした。

 エルヴァスにぶつかるとその兵士は黒いもやのように消えた。シリウスがそのまま突進し、魔法を放とうとしていたエルヴァスに連撃を叩き込む。


「終わりだ。

 ――『双星・三十六連』!!」


 最後の二刀の突きがエルヴァスを城の壁に叩きつけ、絶叫すら許さぬ圧倒的な破壊力が、エルヴァスの存在そのものを因果の彼方へと消し飛ばした。


◇◇◇◇


 草原でミラが、猿型の黒い魔物の顔を吹き飛ばした後、顔が再生する前に、草原で立ち強弱のある赤い光のオーラを纏っていたミラに向かって、高速の拳がミラに向かって繰り出された。


 余りの想定外の攻撃にミラが反応できず胸の前で細い腕をクロスし直撃を回避し防御に徹する。


 ミラが余りの威力に吹き飛ばされた後、ひざをつき息を切らしている。休む暇を与えず顔のない獣がミラに追撃を食らわせようとした瞬間。ベガが、空中から光の速度で現れ、ミラのジャケットの背鰭を掴み、空中へと逃がした。


 突然、ミラの居た場所への攻撃が当たるかというタイミングで、追い詰めていた巨大な魔獣が、ベガを包囲していた黒い軍勢が、まるで幻影のように霧散していく。


「……あ。消えた?」


 拳を構えていたミラが、ポカンと上空から地面を見下ろした。あんなに絶望的だった闇の波動が、嘘のように夜風に溶けていく。


「へっ……。やりやがったな、あのバカ」

 ベガがふっと笑おうとした瞬間、ベガの黄色い光のオーラが突然消える。


 上空から、草原へと2人は落下した。疲れはてたミラが腕のリングからクッションを生成し、地面への直撃を回避し、ミラとベガはミラのクッションへ衝突の反動で空中にはね上がり、地面にフワッと着地した。


――空の星は消え去り、朝日を向かえようとしていた。


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