第47話 わてが話したる!
理奈のマンションは人でいっぱいだ。諸事情によりというか、致し方なくというか。千里、将吾、名坂警部補、狭間巡査、美琴、葛音、五郎、蜜柑と、広いリビングも、さすがに狭く感じる。
寝癖がついたままの髪に、ほぼ素っぴんで困惑した表情の理奈である。寝巻き代わりにしている大きめのTシャツに短パン姿だ。裾の短いワンピースを着ているような感じで目のやり場に困る。その無防備な格好を見て、幼馴染みの将吾が呆れたようにいう。
「おまえ、とりあえず着替えろよ」
「なんで?」
「なんでって、困るだろ」
「なにが?」
「いいから着替えろ。外に行く時の服だぞ」
「私の部屋なのに、変なの」
「変なのは、おまえだ。こ、こら、ここで着替えるんじゃない!」
「あ、そっかそっか」
言いながら奥の部屋へ、少し間をおいて下着姿のままドアから顔だけ出していう。
「将吾、ベランダに干してあるブラウス取って。え? 早く引っ込めって? はいはい」
二人のやりとりを眺めながら、言い訳するように千里がつぶやく。
「将吾といる時は甘えちまうのか、いつもあんな感じなんだ。ドラムを叩いている時は、クールビューティーそのものなんだがねぇ」
さて、一息ついて、むにゃむにゃと眠たげな理奈である。隣に座った将吾がひじでつついて話を促すと、キリッとした顔になって話し出すが、
「本日はお日柄もよく、御多用中にも関わらず……。え? なに? 事情? 事情って、なにを話せばいいの? 私にも話せる事情と話せない事情があるんだからさ。だいたい初めての人もいるし、何が何だか……」
と、困った様子の理奈である。すると、
「理奈はんが抱え込むこたぁない。わてが話したる! そんなに巻き込まれたいんやったら巻き込まれとけ。一切合切、わてが責任とったるわい!」
と叫んだ者がいる。それは小さなくまのマスコット、自称式霊だか神様の温州蜜柑だ。




