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異世界に落ちた最強ヤンキー女子、幼なじみと無双します。  作者: S@Y@


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第七十六話 目覚め始めた力


シロの胸元に浮かんだ銀色の紋章が、淡く光っている。


「……これが、魔王の力?」


シロが不安そうに紋章を見る。


カイルは頷いた。


「そう。」


「でも、まだ完全には目覚めていない。」


柚が尋ねる。


「完全に目覚めたら、どうなるの?」


「魔王としての力を自由に使えるようになる。」


暁が聞く。


「それなら、いいことじゃないのか?」


カイルは首を横に振った。


「力が大きすぎる。」


「使い方を間違えれば、周りまで巻き込む。」


シロが俯く。


「……私、また誰かを傷つけるのかな。」


柚はすぐにシロの肩へ手を置いた。


「そんなこと考えなくていい。」


「だって、今までだってシロは誰かを助けるために力を使ってきたじゃん。」


「今回の魔獣だってそうだった。」


シロが顔を上げる。


「……うん。」


その時。


銀色の紋章が突然強く光った。


「っ!」


シロの身体から魔力が溢れ出す。


バチッ!


床に細い亀裂が走る。


「シロ!」


柚が近づこうとする。


「来ないで!」


シロが叫んだ。


「危ない!」


周囲に黒と銀の魔力が渦巻く。


暁が腕で顔を覆う。


「すごい力だ……。」


ルークも驚いている。


「こんな魔力量……。」


カイルが叫ぶ。


「シロ!」


「力を抑えようとするな!」


「え?」


「無理に押さえ込むと、逆に暴走する!」


「じゃあ、どうすればいいの?」


「自分の力だと思って!」


「怖がらないで!」


シロは目を閉じた。


荒れ狂う魔力を感じる。


「私の……力。」


「私が使う力。」


ゆっくり息を吸う。


そして――


「止まって。」


魔力が静かになった。


周囲に浮かんでいた光が、少しずつ消えていく。


「……止まった。」


柚が驚く。


シロは自分の手を見る。


「私……できた。」


カイルも驚いたようにシロを見る。


「……すごい。」


「こんなに早く力を制御するなんて。」


柚が笑う。


「だから言ったでしょ。」


「シロなら大丈夫。」


シロも少し笑った。


しかし、その瞬間。


カイルが何かに気づく。


「待って。」


「どうしたの?」


カイルはシロの胸元を見る。


銀色の紋章の中心に――


小さな黒い亀裂が入っていた。


「これは……。」


ルークも近づく。


「銀色の紋章の中に、黒い紋章が混ざっています。」


カイルの顔が険しくなる。


「まさか……。」


柚が聞く。


「何?」


カイルは答えた。


「黒衣の男が、シロの中に何かを残した。」


「いつ?」


「さっきの戦いで、魔力をぶつけられた時だ。」


シロが胸元を押さえる。


「じゃあ、私の中に……。」


カイルが頷く。


「黒い魔力が入り込んでいる。」


その時。


シロの耳元で、誰かの声がした。


『……見つけた。』


シロが振り返る。


「誰?」


柚が首を傾げる。


「どうしたの?」


シロは青ざめた。


「今……。」


「誰かが、私に話しかけた。」


カイルの表情が変わる。


「声が聞こえたのか?」


シロは頷く。


「うん。」


そして、もう一度。


今度ははっきり聞こえた。


『魔王。』


『次は、逃がさない。』


シロは胸元を押さえた。


「……あの男。」


カイルは険しい顔で呟いた。


「もう、始まっている。」


「黒衣の男が、シロの中から魔王の力を奪おうとしている。」

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