第六十五話 導く者
「魔王を導く者……。」
柚はシロの言葉を繰り返した。
暁も考え込む。
「誰のことだ?」
シロは首を横に振る。
「分からない。」
「顔も……名前も思い出せない。」
ルークが古文書を開く。
「何か手がかりが残っていないか、探してみましょう。」
柚たちは再び本を調べ始めた。
しばらくして。
「……あった。」
ルークの声に、全員が振り向く。
古い記録の端に、小さな文章が残されていた。
『魔王が再び目覚める時、二人の異世界人が共に現れる。』
「二人の異世界人……?」
柚が目を見開く。
ルークは続けて読む。
『一人は魔王の力を受け入れ、もう一人はその力を支える者となる。』
暁が柚を見る。
柚も暁を見る。
「……私たち?」
「可能性は高い。」
ルークが頷く。
その時。
シロが二人を見つめた。
「柚と暁が……私を導く人?」
柚は少し考えてから笑った。
「難しいことは分からないけど。」
「シロが困った時は助けるよ。」
暁も頷く。
「俺も同じだ。」
シロは嬉しそうに笑った。
しかし、王は険しい表情をしていた。
「それだけではない。」
「何?」
柚が振り返る。
王は古文書の一文を指差した。
『二人の異世界人が揃わなければ、魔王の力は完全には目覚めない。』
暁が眉をひそめる。
「つまり、俺たち二人が必要なのか。」
「そういうことになります。」
ルークが答える。
柚は腕を組む。
「じゃあ、黒衣の男が私たちを邪魔する理由も……。」
「シロだけじゃなく、俺たちも狙われる。」
暁が続ける。
その瞬間だった。
王城の外から――
ドォォン!!
大きな爆発音が響いた。
「何!?」
柚が窓へ駆け寄る。
王都の一角から、黒い煙が上がっている。
「また襲撃?」
レオンが急いで駆け込んでくる。
「陛下!」
「王都西区で魔獣が出現しました!」
王が立ち上がる。
「数は?」
「確認できているだけでも、数十体!」
柚が拳を握る。
「また魔獣……。」
ルークが青ざめる。
「まさか。」
「何か分かった?」
ルークは古文書を見る。
「黒い紋章の魔獣は、魔王の力を探知するために使われている可能性があります。」
シロが息をのむ。
「私を探してる?」
「おそらく。」
柚はすぐに立ち上がった。
「だったら、行こう。」
暁も立つ。
「今度は王都を守る。」
王が二人を見る。
「気をつけろ。」
「今回の魔獣は、今までとは違う可能性がある。」
柚は笑う。
「大丈夫。」
「私たちなら、なんとかなる。」
暁が頷く。
「行こう、柚。」
二人はシロと共に、王都西区へ向かって走り出した。




