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異世界に落ちた最強ヤンキー女子、幼なじみと無双します。  作者: S@Y@


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第六十四話 千年前の記憶


シロの胸元から、淡い光が広がった。


「シロ!」


柚が駆け寄る。


「大丈夫?」


「……うん。」


シロは答えた。


けれど、その声は少し震えていた。


「何か……見える。」


「何が?」


柚が尋ねる。


シロは目を閉じた。


すると――


目の前に、知らない景色が広がった。


燃えている街。


崩れた建物。


逃げ惑う人々。


そして、その中心に立つ一人の少女。


黒い髪。


赤い瞳。


その姿は、今のシロと同じだった。


「……私。」


シロが呟く。


少女の周りには、黒い魔力が渦巻いている。


けれど、その力は人々へ向けられていなかった。


少女は、巨大な魔獣と向き合っていた。


「逃げて!」


少女が叫ぶ。


「ここは私が止める!」


魔獣が襲いかかる。


少女は黒い魔力を放ち、魔獣を押し返した。


その背後には、大勢の人間がいる。


シロは息をのんだ。


「私……人を守ってる。」


場面が変わった。


今度は王城。


少女は何人もの騎士に囲まれていた。


その中には、王冠をかぶった男がいる。


当時の王だった。


「魔王よ。」


王が言う。


「お前の力を封じる。」


少女は驚いた顔をする。


「どうして?」


「私は人間を守っている。」


王は答えなかった。


代わりに、騎士たちが魔法陣を展開する。


少女は抵抗しようとする。


しかし――


「待って!」


「私は、あなたたちを敵だと思っていない!」


それでも魔法陣は止まらない。


少女の身体から黒い光が引き抜かれていく。


「やめて……。」


少女の瞳から涙が落ちる。


「私から……何も奪わないで。」


そして最後に。


王が少女へ近づいた。


「すまない。」


その言葉とともに、少女の記憶が光となって消えていった。


「……!」


シロが目を開ける。


その場に崩れそうになる。


柚がすぐに支えた。


「シロ!」


「大丈夫?」


シロは柚の腕を掴む。


「思い出した……。」


「少しだけ。」


暁が静かに尋ねる。


「何を?」


シロは涙を拭う。


「私……。」


「人間を守ってた。」


王は目を伏せた。


「そうだ。」


「そして、我々の先祖は、お前を裏切った。」


柚は王を見る。


「じゃあ、黒衣の男は何なの?」


王の表情が変わった。


「……分からない。」


「ただ一つ、確かなことがある。」


王は黒い紋章の本を見る。


「千年前、魔王の封印に関わった者たちの中には――」


「魔王の力を利用しようとした者もいた。」


ルークが顔を上げる。


「その者たちの子孫が、今も存在している可能性がある……。」


王は頷いた。


「だから、黒衣の男が何者なのかを調べなければならない。」


その時。


シロが突然、王を見る。


「……待って。」


「もう一つ、思い出した。」


全員がシロを見る。


シロは震える声で言った。


「千年前の王様……。」


「最後に、誰かに言ってた。」


「『封印が解けた時、魔王を導く者が現れる』って。」


柚と暁が顔を見合わせる。


「導く者……?」


シロはゆっくり二人を見る。


「それが……誰なのか。」


「まだ思い出せない。」

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