第五十三話 王城の地下
王は柚たちを連れ、王城の奥へ進んでいった。
普段、王族以外は立ち入ることのできない場所だった。
長い廊下を抜ける。
階段を下りる。
さらに地下へ。
「こんな場所があったんだ……。」
柚が周囲を見回す。
壁には古い石造りの模様が刻まれている。
暁は足元を見ながら歩いていた。
「かなり古いな。」
「王城が建てられる前からあるのかもしれません。」
ルークが答える。
やがて、行き止まりにたどり着いた。
そこには巨大な石の扉があった。
扉には、見たことのない紋章が刻まれている。
王がその前に立つ。
「ここだ。」
「封印の間。」
シロが扉を見つめる。
「……。」
突然、シロの表情が変わった。
「知ってる。」
柚が振り返る。
「え?」
シロは扉へ近づく。
「この模様……。」
「見たことがある。」
「でも、いつ見たのかは分からない。」
王が驚く。
「本当にか?」
シロは頷く。
その瞬間。
扉の中央にある紋章が淡く光り始めた。
「!」
レオンが剣へ手を伸ばす。
しかし攻撃ではない。
光はゆっくりと広がり、シロの身体を包み込む。
「シロ!」
柚が手を伸ばす。
シロは振り返る。
「大丈夫。」
「怖くない。」
そして、扉へ手を触れた。
ドクン――。
巨大な石の扉が低く震える。
ゴゴゴゴゴ……。
長い年月、一度も開かれなかった扉がゆっくりと動き始める。
「開いた……。」
王が呟く。
扉の向こうには、広い地下空間が広がっていた。
中央には巨大な石碑。
その前には、一つの台座が置かれている。
台座の上には、黒い結晶が一つだけ浮かんでいた。
「……黒い結晶。」
柚が呟く。
ルークの顔が青ざめる。
「まさか……。」
王も石碑へ近づく。
そこには古い文字が刻まれていた。
ルークが読み上げる。
「『魔王の魂を封じる器』……。」
「魔王の魂?」
柚がシロを見る。
シロも不安そうに黒い結晶を見つめている。
「私の……?」
その時。
黒い結晶の中から、かすかな声が聞こえた。
『……返せ。』
シロが目を見開く。
「この声……。」
柚が身構える。
「知ってるの?」
シロは震えながら首を横に振る。
「分からない。」
「でも……怖い。」
すると、黒い結晶に大きな亀裂が入った。
パキッ。
「全員、下がれ!」
王が叫ぶ。
次の瞬間。
結晶の中から黒い魔力が噴き出した。




