第五十二話 王都の鍵
「『鍵は、王都にある』……?」
レオンが聞き返す。
シロは苦しそうに額を押さえながら頷いた。
「その言葉だけ……聞こえた。」
「それ以外は思い出せない。」
ルークは考え込む。
「鍵……。」
「一体、何を意味しているのでしょう。」
暁が口を開く。
「黒衣の男は、シロに思い出させようとしていた。」
「でも全部は思い出していない。」
「だから断片だけ残ったのかもしれない。」
ルークは頷いた。
「その可能性はあります。」
レオンは周囲を見回した。
「ここで考えていても答えは出ません。」
「一度王城へ戻り、陛下へ報告しましょう。」
全員が頷き、王都への帰路につく。
◇ ◇ ◇
王城。
謁見の間では、王が静かに報告を聞いていた。
「つまり。」
「黒幕と思われる人物と接触したのだな。」
「はい。」
レオンが頭を下げる。
「交戦しましたが、取り逃がしました。」
王は責めることはしなかった。
「相手の実力は。」
柚が答える。
「強かった。」
「今まで戦った中で、一番。」
王は表情を引き締める。
「そうか。」
続いてルークが前へ出る。
「それと、シロが新たな言葉を口にしました。」
「『鍵は、王都にある』と。」
その瞬間。
王の表情がわずかに変わった。
その変化をルークは見逃さなかった。
「陛下。」
「何か心当たりがおありですか?」
王はしばらく黙っていた。
やがて静かに口を開く。
「……一つだけある。」
謁見の間が静まり返る。
「王城の地下深くには、代々王家だけに伝わる封印の間が存在する。」
「その存在を知る者は、ごくわずかだ。」
レオンも驚きを隠せない。
「封印の間……。」
「そのような場所が。」
王はゆっくり頷く。
「詳しいことは、歴代の王にもほとんど伝わっていない。」
「ただ一つ。」
「決して開けてはならない。」
「そう言い伝えられている。」
柚は首をかしげた。
「じゃあ。」
「そこに行けば分かるかもしれない?」
ルークは慎重に答える。
「可能性はあります。」
「ですが、何が眠っているのか分かりません。」
その時だった。
シロが小さく呟く。
「……そこ。」
全員がシロを見る。
シロは地下の方を見つめていた。
「呼んでる。」
その一言で、謁見の間の空気が張り詰めた。
王は静かに立ち上がる。
「ならば確かめよう。」
「王家に伝わる封印の間へ案内する。」
誰も知らない王城の秘密が、ついに明かされようとしていた。




