第四十九話 黒い紋章
王都の騒ぎは、ようやく落ち着きを取り戻していた。
兵士たちは街の見回りを続け、住民たちも少しずつ家へ戻り始める。
柚たちは倒した魔獣の前に集まっていた。
ルークはしゃがみ込み、魔獣の首元を調べる。
「やはり……。」
「間違いありません。」
レオンが覗き込む。
「何が分かったのですか?」
ルークは黒い紋章を指差した。
「この紋章です。」
「普通の魔獣には存在しません。」
「何者かが魔力を流し込み、無理やり操っていた証です。」
「つまり。」
レオンは険しい表情になる。
「今回の襲撃は、人為的に起こされた。」
「はい。」
ルークは静かに頷いた。
「しかも、王都を狙った計画的な襲撃です。」
その時だった。
一人の兵士が駆け寄ってくる。
「レオン様!」
「王都の外れで、不審な人物を見たという目撃情報が!」
「不審な人物?」
「黒いローブをまとった男です!」
ルークとレオンが顔を見合わせる。
「黒いローブ……。」
「黒幕でしょうか。」
兵士は首を横に振った。
「分かりません。」
「ですが、こちらをご覧ください。」
兵士が差し出したのは、小さな黒い石だった。
ルークは石を受け取り、目を見開く。
「これは……。」
「黒い結晶の欠片です。」
「何っ!」
レオンが驚く。
ルークは石を握り締めた。
「間違いありません。」
「王都へ現れた人物が、今回の襲撃に関わっている可能性があります。」
柚は拳を握る。
「追いかけよう。」
暁も頷いた。
「まだ遠くへは行ってないはず。」
レオンはすぐに兵士へ命じる。
「黒いローブの男を見失うな!」
「騎士団を三隊に分けて捜索!」
「はっ!」
兵士たちは一斉に走り出した。
その時。
シロが小さく胸を押さえた。
「……。」
「シロ?」
柚が駆け寄る。
シロは王都の北を見つめていた。
「分かる。」
「そこにいる。」
「黒い魔力を感じる。」
ルークが息をのむ。
「場所が分かるのですか?」
シロは静かに頷いた。
「うん。」
「ずっと……呼ばれてる。」
その言葉に、その場の空気が凍りついた。
柚はシロの肩に手を置く。
「一人じゃ行かせない。」
「行くなら、一緒。」
暁も静かに頷く。
「今度こそ。」
「黒幕を見つける。」
レオンは剣を抜いた。
「総員、北門へ!」
「黒いローブの男を追います!」
一行は王都の北へ向かって駆け出した。




