第三十三話 群れ
「ギャッ!」
「ギギャァッ!」
十匹を超えるホーンラビットが、一斉に飛び出した。
「来ます!」
レオンが叫ぶ。
騎士たちも剣を構えるが、柚は右手を軽く上げた。
「大丈夫。」
「私たちがやる。」
そう言うと、柚は地面を蹴った。
ドンッ!
一瞬で群れの中へ飛び込む。
「まず一匹!」
ドゴッ!!
拳を受けたホーンラビットが木へ激突し、そのまま動かなくなる。
間髪入れず、二匹目が横から飛びかかる。
「はい。」
バシッ!
柚は角を掴み、そのまま地面へ叩きつけた。
「ギャッ!」
三匹目。
四匹目。
柚は次々と攻撃をかわし、拳や蹴りで気絶させていく。
一方。
暁の前にも五匹ほどのホーンラビットが集まっていた。
「ギギャッ!」
同時に飛びかかる。
暁は一歩も動かない。
最後まで引きつける。
そして。
「遅い。」
身体をわずかにひねり、一匹を避ける。
そのまま首筋へ軽く手刀を落とした。
一匹。
足払いで二匹目。
拳で三匹目。
振り向きざまの回し蹴りで四匹目。
最後の一匹は逃げようと向きを変える。
暁はその前へ回り込んだ。
「終わり。」
軽く額を指で弾く。
コツン。
それだけでホーンラビットは目を回し、その場へ倒れ込んだ。
数十秒後。
森は静けさを取り戻していた。
あちこちでホーンラビットが倒れている。
「終わったー。」
柚は大きく伸びをした。
「今日はいっぱいだったね。」
「十二匹。」
暁が倒れている魔獣を見渡す。
「全部気絶してる。」
ルークは驚いた表情で周囲を見回した。
「これだけの数を……。」
「しかも一匹も殺していない。」
レオンも苦笑する。
「相変わらず規格外ですね。」
その時だった。
ルークが突然、森の奥を見つめた。
「……待ってください。」
「どうした?」
レオンが尋ねる。
ルークは険しい表情のまま答える。
「今、一瞬ですが……。」
「とても強い魔力を感じました。」
「森の奥です。」
柚は笑みを浮かべる。
「やっと見つかった?」
暁も森の奥へ視線を向けた。
「ああ。」
「向こうに何かいる。」
四人は顔を見合わせる。
そして、さらに森の奥へと歩き始めた。
そこには、この異変の手掛かりが待っているとも知らずに。




