第二十八話 王城
馬車は王都の大通りを抜け、王城の正門へと到着した。
高くそびえる白い城壁。
重厚な鉄門。
何十人もの騎士が警備に当たっている。
「着きました。」
レオンが馬車を降りる。
柚と暁も後に続いた。
「でか……。」
柚は思わず城を見上げる。
「アルベルトさんの城も大きかったけど、比べものにならないね。」
「さすが王様の城。」
暁も静かに頷いた。
門番の騎士たちはレオンを見ると、一斉に敬礼する。
「レオン様、お帰りなさいませ!」
「ああ。」
レオンは短く返事をすると、柚たちを振り返った。
「こちらです。」
王城へ足を踏み入れる。
中は磨き上げられた床が輝き、大きな柱や豪華な絵画が並んでいた。
「すごい……。」
柚は辺りを見回す。
「全部ピカピカ。」
「毎日掃除が大変そう。」
暁が小さく笑う。
「またそこなんだ。」
歩いていると、すれ違う貴族や騎士たちが足を止めた。
「あの子たちは……。」
「レオン様と一緒だ。」
「噂の冒険者か?」
「ずいぶん若いな。」
視線が集まる。
柚は小声で言った。
「また見られてる。」
「慣れた。」
暁は平然としている。
レオンは苦笑した。
「王城では噂が広まるのも早いのです。」
やがて、一行は大きな扉の前で立ち止まった。
扉の前には、二人の近衛騎士が立っている。
「国王陛下がお待ちです。」
「ご案内いたします。」
ゆっくりと扉が開く。
ギギギ……。
広い謁見の間。
赤い絨毯がまっすぐ奥まで伸び、その先には豪華な玉座。
そこには、一人の男性が静かに座っていた。
年齢は五十代ほど。
堂々とした体格に、威厳のある眼差し。
王冠を戴き、ゆっくりと柚たちを見つめる。
レオンが片膝をついた。
「国王陛下。」
「ご命令どおり、お連れいたしました。」
柚は小声で暁に聞く。
「ひざついた方がいい?」
「合わせよう。」
二人もレオンにならい、その場で片膝をつく。
玉座の男は穏やかに微笑んだ。
「顔を上げなさい。」
低く、よく通る声が謁見の間に響く。
「歓迎しよう。」
「異世界から来た若者たちよ。」
その言葉に、柚と暁はゆっくりと顔を上げた。




