第二十七話 王都へ
翌朝。
一行は日の出とともに出発した。
馬車には柚、暁、レオン、そしてルークが乗っている。
窓の外には、どこまでも続く草原が広がっていた。
「平和だね。」
柚がぼんやりと景色を眺める。
「昨日は盗賊だったし。」
「一昨日はワイバーン。」
暁が淡々と答えた。
「今日は何もないといい。」
「それフラグじゃない?」
柚が笑う。
レオンは苦笑した。
「その言葉は言わない方がよいかもしれません。」
その時だった。
ルークが窓の外を見つめながら、小さく呟く。
「見えてきました。」
「え?」
柚も身を乗り出す。
遠くの地平線。
そこには、巨大な城壁に囲まれた町が見えていた。
「あれが……。」
「王都です。」
レオンが誇らしげに答える。
城壁は領都の何倍も高く、その中央には白く輝く巨大な城がそびえ立っていた。
「でかっ!」
柚は思わず声を上げる。
「アルベルトさんの城より大きい!」
「この国で最も大きな城です。」
レオンは微笑んだ。
「国王陛下がお住まいになられています。」
馬車はそのまま王都へ近づいていく。
城門の前には、多くの人が列を作っていた。
商人。
冒険者。
旅人。
荷馬車も何台も並んでいる。
「人、多いね。」
「領都とは比べものにならない。」
暁も周囲を見回した。
門番が馬車へ近づいてくる。
「止まれ。」
しかし、馬車に刻まれた王都騎士団の紋章を見ると、すぐに姿勢を正した。
「失礼しました!」
「お通りください!」
門がゆっくりと開く。
馬車はそのまま王都へ入った。
「うわぁ……。」
柚は目を輝かせる。
石畳の広い道。
何階建てもの建物。
両脇には数え切れないほどの店が並び、多くの人で賑わっている。
「すごい……。」
「まるでお祭りみたい。」
その時だった。
「あれ?」
柚がある方向を指差した。
「また見られてる。」
暁も気付く。
「目立ってる。」
道を歩く人々が、二人を見てひそひそと話していた。
「見たことのない服だ。」
「旅人か?」
「いや、あの子たちじゃないか?」
「ワイバーンを倒したって噂の……。」
どうやら二人の噂は、すでに王都まで届いているらしい。
レオンは少し困ったように笑う。
「思っていたより早く広まっていましたね。」
柚は頭をかいた。
「なんか恥ずかしい。」
暁は静かに答えた。
「もう遅い。」
そのまま馬車は、人々の視線を集めながら王城へ向かって進んでいった。




