第十五話 緊急依頼
ギルドへ戻ると、昼間とは比べものにならないほど中は賑わっていた。
依頼を終えた冒険者たちが食事をしたり、報酬を受け取ったりしている。
その中をアルベルトは迷うことなく受付へ向かった。
「ガレス殿はいらっしゃいますか。」
受付嬢はアルベルトの姿を見るなり立ち上がる。
「はい。ただ今お呼びいたします。」
しばらくして、奥の部屋からガレスが姿を現した。
「おお、戻ったか。」
「初依頼はどうじゃった?」
柚は笑顔で答える。
「終わった!」
「早かったよ。」
ガレスは満足そうに頷く。
「それで十分──」
「それと。」
アルベルトが言葉を続ける。
「討伐した群れの中に、ゴブリンキングがおりました。」
ガレスの表情が一変した。
「……なんじゃと?」
ギルド内も一気に静まり返る。
「ゴブリンキング?」
「今、そう言ったか?」
アルベルトは頷く。
「間違いありません。」
「そして討伐したのは、このお二人です。」
ガレスは柚と暁を見つめる。
「本当か?」
「うん。」
柚はあっさり頷いた。
「ちょっとだけ強かった。」
その一言に、周囲の冒険者たちは顔を引きつらせる。
「ちょっとだけ……?」
「相手はゴブリンキングだぞ……。」
ガレスは大きく息を吐いた。
「まったく……。」
「お前さんたちは、毎回儂の予想を超えてくるの。」
すると、一人の職員が慌てて駆け込んできた。
「ギルドマスター!」
「大変です!」
「どうした。」
「北の村から緊急依頼です!」
職員は息を切らしながら報告する。
「大量の魔物が村の近くに現れたそうです!」
「冒険者だけでは抑えきれず、応援要請が来ています!」
ギルド内の空気が張り詰める。
ガレスはすぐに周囲の冒険者たちを見渡した。
「Bランク以上は準備しろ!」
「すぐに出発する!」
「はっ!」
冒険者たちが慌ただしく動き始める。
その様子を見ていた柚が口を開いた。
「私たちも行く。」
アルベルトは少し驚く。
「お二人とも、依頼を終えたばかりですよ。」
「疲れていませんか?」
柚は首を横に振る。
「全然。」
暁も短く答える。
「問題ない。」
ガレスは二人を見つめ、静かに頷いた。
「……分かった。」
「なら、お前さんたちにも同行を頼む。」
「ただし。」
「今回は遊びではない。」
「村人の命が懸かっておる。」
柚の表情から笑みが消える。
「分かってる。」
「助ければいいんでしょ。」
その真っ直ぐな返事に、ガレスは力強く頷いた。
「よし!」
「全員、北の村へ向かうぞ!」
ギルドの扉が勢いよく開かれる。
大勢の冒険者たちと共に、柚と暁も村へ向かって走り出した。




