第十一話 ゴブリン討伐
ギルドを出た柚たちは、依頼書に書かれた場所へ向かって歩いていた。
城下町を抜け、街道を進む。
目的地は町の外れにある森だ。
「ゴブリンってどんなやつなんだろ。」
柚が首をかしげる。
アルベルトが穏やかに答えた。
「緑色の小柄な魔物です。」
「知能はあまり高くありませんが、群れで行動し、人を襲うことがあります。」
「放っておくと数が増え、村を襲うこともあるため、定期的に討伐依頼が出されるのです。」
「へぇ。」
柚は軽く拳を握った。
「悪いやつなんだね。」
「はい。」
「ですから、見つけたら討伐することが推奨されています。」
暁は周囲へ視線を向ける。
「もう森に入る。」
街道を外れ、木々の間を進んでいく。
鳥のさえずりだけが響く静かな森。
アルベルトが依頼書を確認する。
「この辺りのはずですが……。」
その時だった。
「ギャギャッ!」
森の奥から奇妙な鳴き声が聞こえてくる。
暁が足を止めた。
「いた。」
柚は嬉しそうに笑う。
「見つけた!」
茂みを抜けると、そこには緑色の小柄な魔物が五匹いた。
背丈は子どもほど。
手には棍棒や錆びた短剣を持っている。
「あれがゴブリンです。」
アルベルトが小声で告げる。
ゴブリンたちもこちらに気付き、一斉に武器を構えた。
「ギャァァッ!」
「来る。」
暁が前へ出ようとする。
しかし、柚が腕を伸ばして止めた。
「待って。」
「最初はあたし。」
暁は素直に一歩下がる。
「分かった。」
ゴブリンたちが一斉に飛びかかってきた。
柚はその場から動かない。
「遅い。」
最初の一匹が棍棒を振り下ろす。
柚は身体を少し傾けるだけでかわした。
「ギャ?」
そのまま拳を振り抜く。
ドゴッ!
ゴブリンは木へ激突し、そのまま動かなくなった。
残る四匹が同時に襲いかかる。
「まとめて来た。」
柚は笑う。
「ちょうどいい。」
回し蹴り。
肘打ち。
裏拳。
最後の一匹には軽くデコピン。
ゴンッ!
「ギャァッ!」
最後のゴブリンは勢いよく吹き飛び、仲間の上へ倒れ込んだ。
わずか数十秒。
五匹全てが動かなくなっていた。
柚は制服についた葉を払う。
「終わった。」
暁が歩み寄る。
「早い。」
「弱かった。」
アルベルトは呆然とその光景を見つめていた。
「五匹を……お一人で。」
普通なら数人の冒険者で受ける依頼だ。
それを柚は、息一つ乱すことなく終わらせてしまった。
「じゃあ帰ろっか。」
柚が踵を返した、その時。
暁が森の奥を見つめたまま口を開く。
「柚。」
「ん?」
「まだいる。」
その一言で空気が変わる。
ガサッ……ガサガサッ。
森の奥から、いくつもの足音がこちらへ近付いてきていた。




