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銀メッキ⑤




 「そうだね………私や先生は〝レプリカ〟や〝銀メッキ〟って呼んでるし、……他の人達もそう呼んでるんだけど、〝レプリカ〟には『M ・Eミクロス・エクスターナル』ていう正式名称があるんだけど………これは、レプリカを作り出してる『アステリ研究所』しか、そう呼んでないんじゃないかな」


 ミクロス……エクスターナル…?それに、『アステリ研究所』……?話の流れからみて、『アステリ研究所』ってところが〝銀メッキ〟を作り出している…?ってことか?


 「ごめん、時間が無いのは理解してるけど……一つ一つ知りたい」


 「いやいや!こっちこそごめん、いきなりすぎたね。まず……正式名称は無視しよう…!コレは特に関係しないから。わかりやすく〝銀メッキ〟で統一しようか」

 彼女は申し訳なさそうに、首を横にぶんぶんと振りながら、俺にそう提案する


 「うん、賛成!その方がわかりやすくていいね」


 「はじめに、『アステリ研究所』について!『アステリ研究所』はミクロスや……主に〝星の力〟について研究していて、その研究成果のひとつが『M ・Eミクロス・エクスターナル』…つまり、〝銀メッキ〟だよ」


 なるほどな。大体は俺の想像に近いな。


 「銀メッキは、その研究所で産まれた人たちってことか…?」


 「うーん…半分は合ってるかな。そういう人達も居るけど……殆どは、ならず者や元軍人……中には、銀星シルバスになれなかったカッパーなんかも居るね」


 銀星になれなかったカッパー…!?


 「もしかして……ミダって…」


 「ああ、私は元〝カッパー〟だけど〝銀メッキ〟じゃ無いから安心して」

 俺はホっと胸を撫で下ろす。別にミダが銀メッキだろうと、俺はこれまで通りの態度を取るけどな。


 「〝銀星〟は〝ディア〟によって、デザインされたミクロスをチップに入れて頸椎に移植するけど、〝銀メッキ〟は『デザインされていない』天然物のミクロスをチップに凝縮してから、体のどこかに埋めるんだよね………このチップを埋める場所は、腕とか足とか胴体だったり、人によって様々だよ」


 「〝銀メッキ〟は天然物のミクロスを体に入れて大丈夫なのか…?」


 そもそも、デザインする必要が無いのであれば、銀星は〝ディア〟を経由したミクロスを移植する必要が無いんじゃないか?


 「もちろん、大丈夫じゃ無いよ。天然のミクロスだと『合わない』から、人の身体に『適応する』ようにミクロスをデザインするのが、〝ディア〟だけど、『アステリ研究所』はそれを使えないから……というか、アステリ研究所に限らず、〝ディア〟は『サンウェナス』の法木天にしか存在しないから、法木天以外はデザインされたミクロスを移植できない…———待って」


 ここで彼女は、壁の隙間から外の様子を伺う。少しして、見知らぬ老婆が杖をつきながら通り過ぎる。


 相変わらずだが、ミダの気配感知能力は頭抜けている。


 「まだ大丈夫みたい。つまり、銀メッキは天然物のミクロスを使うしか無い……当然、それはデザインされた物じゃないから、手術を受けた半分以上は、ミクロス移植後に錯乱状態になったり、発狂して命を落とす」


 「…命を…!!…………そんな、リスクのあるものを、受けるメリットって……なに…?」


 「それは〝力〟だよ。アステリ研究所には、恐らく……ミクロスを知覚できる『装置』か『能力者』が居て、研究所自体は〝ミクロス〟のデータを取りたい。そして、『M ・Eミクロス・エクスターナル』の志願者はミクロスの力が欲しい。利害関係は一致しているよ。これで得た力を、国の為に使ったり、大切な人を守る為に使いたい人達が、世の中には沢山いる」


 俺の中で思考が巡る。もしも、俺に『この選択肢』があって、大切な家族を守れる〝力〟を得る機会があるのならば、どんなリスクがあろうとも、俺は『力を得る選択』を選ぶかもしれない。


 ———『力の重さ』は、昨日と今日で嫌というほど味わっている。


 「能力についても違いがあるよ。『鱗翅操ペルーダ』については、そこまで違いは無いけど……銀星の『甲纏カイロス』は筋肉と皮膚からつたって透明のコーティングが展開されるのに対して、銀メッキの『甲纏カイロス』は何故か皮膚の表面に、銀色のコーティングが見えるね」


 「皮膚に……銀色のコーティング…?もしかして、〝銀メッキ〟の名前の由来って———」


 「そう…!またしても半分合ってるよ。銀メッキは銀星と違って表面しか『甲纏カイロス』の効果が発揮しないから〝銀メッキ〟ね。そして…名前の由来はもう一つあって、『銀星になれなかった紛い物』という意味で〝レプリカ〟だよ」


 名付けた人は、上手く名付けたものだな。奴らが、レプリカや銀メッキって呼ばれている所以は分かったけど、これを知った事で俺はどうすればいいのか。

 他に〝銀メッキ〟について、能力の説明があるのだろうか?


 「それで、他に注意することはある…?交戦した時の注意点とか………」


 「そうだね…銀星ほどじゃ無いけど、特に注意すべき点は『鱗翅操ペルーダ』と『甲纏カイロス』だね。銀星と違って、銀メッキの『鱗翅操ペルーダ』と『甲纏カイロス』は能力を発動する時に集中力がいるらしいから、相手の虚を突くといいかも……それよりも、敵のミクロスの入ったチップは体のどこかに存在するから、それを断てれば敵はミクロスの力は使えなくなるから……そこは覚えておいてほしいね」


 「注意点って、もう無い…?銀メッキについて、説明する事って……もう無いのか…?」


 これから接敵する相手を知る事はできたが、これと言って、対策できる事は無いように思う。


 「〝銀メッキ〟については、これで終わりだよ。今から言うことは、あくまで……私の〝予想〟に過ぎないけど、聞いてくれる?」


 「……う、うん…!!」


 彼女は神妙な面持ちだ。『何の話について』か、それを先に聞くのは野暮だろう。

 〝銀メッキ〟については説明は終わり……ミダは俺に何の話をするのだろうか?


 「先に言っておくけど、これは私の勝手な〝予想〟だ。でも……現状を打開する上で、最も重要な『鍵』になる可能性を秘めたもの、それは———ラプト、君の〝能力〟についてだよ」


 「………俺の———〝能力〟…!?」


 本当に〝それ〟が現状を打破する鍵になるとは、今の俺には想像もつかなかった。


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