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銀メッキ④




 「まっっっったく!!そんな話し、始めて聞いたけど」

 いや、本当に聞いて無いのか?俺が忘れているだけか?忘れたことを忘れてしまっては、それは真偽不明だ。


 「ごめん、ごめん。冗談だから、知らないのは当然だよ。ラプトに、この話しをしてないからね」


 いつものおちょくる感じで、ミダはニヤニヤしているが………どこか表情に違和感がある。

 無理矢理、笑っているような……この〝感じ〟を俺は知っている。


 これは俺が不安な時に、ロイがよくやっていた〝感じ〟に似ている。ロイは俺の不安を紛らわすように、無理矢理場の空気を変えようと、普段と同じ振る舞いをしていた。


 いつもと同じ振る舞いだが、〝どこか〟がいつも通りでは無い、この〝空気〟を俺は今、感じていた。


 ミダもロイみたいに、不安を払拭するように普段通りの様子で気丈に振る舞っているのかもしれない。


 これは、俺の考えすぎであってほしい。


 なぜなら、これが事実であれば俺達は『それ程までに』追い詰められた状況にある、ということになる。


 シェインは負傷し、俺とミダは敵からギリギリの状態で逃走しなければならない程の状況に直面したばかりだ。


 状況を整理すれば、俺たちは危機的な状況に立たされている。

 その不安を感じさせないように、ミダは気丈に振る舞っているのかもしれない。


 「まぁ、ミダが元〝法木天〟の人間って知って色々詳しいのも納得したよ。…………まだ、〝レプリカ〟が出てきてないから、これで終わりじゃ無いよね」


 〝レプリカ〟……もとい〝銀メッキ〟について知る事が、現状を打破する〝鍵〟になるのであれば、一刻も早く知りたい。

 

 「そうそう!順番に説明するね、まずは……銀星シルバスに昇格する〝木典トルギア〟と金星ゴルドに昇格する〝天典ミスティレオン〟なんだけど、今は時間が無いから簡単に言うと……〝木典トルギア〟は儀式を受ける対象者の体内、頭と首の間…頸椎って言われる『ここら辺』に、法木天にある〝ディア〟から対象者へと〝ミクロス〟を移植する。これが〝木典トルギア〟だよ」


 そう言うと、ミダは俺に見えるように、自身の頸のあたりを『ここだよ』と言わんばかりに指でトントンとジェスチャーをして見せてくる。


 「ミクロスを移植するって……ミクロスは、通常知覚できない存在なんじゃないの?」


 それに、ディアから〝移植〟する…?移植って、たしか『なにか』から『なにか』へ移す行為だよな?

 ということは、〝ディア〟に〝ミクロス〟が生息しているのか?


 「知覚できないよ、〝普通は〟ね。それゆえに、法木天にある〝ディア〟を介して〝ミクロス〟を儀式の対象者に入れるよ。〝木典トルギア〟で移植するミクロスディアの管理下にある……言わば、通常のそこら辺に生息している〝ミクロス〟を『天然物』とするなら、法木天の〝ディア〟にいるミクロスは、銀星シルバスに向けて〝デザイン〟されたものだから……多少なりとも人の意思が反映されているから、法木天の〝ミクロス〟は『人為的なもの』と言えるね」


 そう言えば、法木天の〝ディア〟は〝ミクロス〟を観測出来るのか。少し前に聞いていた話しだが、うっかり忘れてしまっていた。


 「………デザインするって言うけど、ミクロスは、『小さな生き物』だよね?それに、生き物を体内に入れて……銀星シルバスになると、どういう変化があるんだ?」


 「ラプトにしては、よく覚えてたね!ラプトの言うようにミクロスは『小さな生き物』だよ、より詳しく説明すると〝虫〟のような形をしているよ。天然物の〝ミクロス〟は、半ドーム型で個体差にもよるけど、足が26か27本生えていて、見た目は〝ほぼ〟小さい『てんとうむし』だね」


 〝ミクロス〟は〝虫〟みたいな見た目って…………銀星シルバスは自分の体に〝虫〟を入れてるのかよ……。


 〝木典トルギア〟の儀式は、俺にとっては少し想像したくない光景だ。


 「なるほど………法木天の〝ミクロス〟と〝天然〟のミクロスは見た目は変わらないのか?」


 「ううん、変わるよ。〝ディア〟を介して加工された〝ミクロス〟は平たい円盤に足が6本生えてるね」


 銀星シルバスの体内に入れる〝ミクロス〟は足の本数が減るのか……それは、足をちぎって減らしているのか?

 しかも、ドーム型から平たい円盤型になる……簡単に想像すると、押し潰したということか?


 足を減らして、押し潰す———その後、人の体内に入れる……これが〝木典トルギア〟。


 「そして、銀星シルバスになると、体内に入れたミクロスを通じて、自身の『身体』と『精神』に対して強力な〝プロテクト〟を構築できる『甲纏カイロス』と、離れた物を引き寄せたり逆に吹き飛ばしたりできる……いわば念動力のようなもの、これを『鱗翅操ペルーダ』って言うよ。銀星シルバスになると、この二つの能力を得ることができる」


 『甲纏カイロス』は防御能力で、『鱗翅操ペルーダ』はどちらかというと、攻撃寄りの能力といったところか。


 「甲纏カイロスについては、『精神面』に対して何もしていない状態でも、常に効果を発揮し続けていて、『身体面』については本人の自由意志で、身体の〝硬度〟を上げる事ができる。しかも、この二つは〝ミクロス〟から生成されているエネルギーを使っていて〝魔力〟は関係無いから、これによって銀星シルバス自身の魔力切れの心配は無いんだよね」


 「銀星シルバスは、その二つの能力が備わっていて、しかもそれは魔力とは違う〝力〟を使っているのか……」


 「そう!それが、銀星シルバスの特徴。………で!〝天典ミスティレオン〟は、私も詳しくは知らないけど、〝木典トルギア〟の時に移植したミクロス達に星座の力を与えるって言われているね」


 なるほど、……………ん?今、ミダは重要な事を言ったような。


 ミクロス———〝達〟…………!!?


 「今〝ミクロス達〟って言った?」


 「あー……そうそう!銀星シルバスは体内に何匹、ミクロスを移植するか決めるんだけど、適性が高い人は何十匹も体内に入れてるんじゃ無いのかな?多ければ多いほど、さっき言った二つの能力の『出力』と『持続力』は高くなるからね」


 まじかよ……人によっては、何十匹も体の中にミクロスを入れるのか………。


 「銀星シルバス金星ゴルドについては分かったけど………じゃあ、〝レプリカ〟ってなんなんだ?」


 ここからが本題だ。

 今までのは、〝レプリカ〟について理解する為の基礎知識のようなものだろう。

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