旅の帰路①
2月19日
暫くの間、魔道具の使用可能な範囲内まで移動して再び魔道具を使い———俺たちは転移した。
「ここって…どこ……?」
相変わらず転移後は混乱する。当然だが、見たことない景色が、いきなり目の前に広がるからだ。
「うん。ここはカナリスの国境近くだよ」
ミダの言うように、だんだんと緑が少なくなってきている。それに、森の深部と比べるとマナ濃度が薄くなっている。
「ほら、ここを超えたらカナリスだよ!」
俺の数歩先を歩くミダは、そこそこ大きな木の横に立ち、カナリスの国境を知らせてくれた。
「バトメ出身の俺が、カナリスに入国してもいいのか?」
何年も前の話だが、バトメに籍を置いている騎士やバトメ出身者がカナリスの地に踏み入ったら、何故かバトメ出身の者だと特定され捕縛されたケースをロイから聞いたことがある。
「ラプトの心配はバトメの出身者が拘束される件かのう?それなら問題ない。カナリスの国土に踏み入っても〝王都〟周辺に立ち入らなければ大丈夫じゃ」
「なるほど……」
どうやら、王都周辺は通らないルートで目的地に向かうらしい……ということは、王都周辺に行けば特定され捕縛されるということか?
「出会った時と2回目の再会の時は、感情的な奴って思ってたけど、今のラプトってかなり冷静だよね。こっちが素なのかな?」
「その時は状況が状況だったから……感情的でわるかったな!」
「別に私は怒ってないんだけどなー」
この態度、俺を煽っているのだろうか…?暫くの間は、ミダとはあまり話さないでおこう。
「ラプト、機嫌治しなよ」
ミダはそう言いながら、俺の肩を揺すってくる。
「………」
無視だ無視。第一に、さっきのやりとりを抜きにしても、行動を共にする流れにはなっているが、馴れ馴れしくされる程の中でもない。
「シュナインミレまで、かなり距離があるけど魔道具での転移はあと何回するんだ?」
シェインの顔を見て尋ねる。
道中で聞いた話だが、シェインとミダの家はシュナインミレの西部にあるらしい。
その家には、俺のように家族を亡くした者や身寄りのない子供が居るらしい。
現在地のカナリスからシュナインミレに移動するには、他の国を経由しなければならない。
地図上でもっとも簡単なのは、カナリス→ガミンダス→シュナインミレの順だ。
「そうじゃのう、今日中にはキーレンスまで行く予定じゃのう。最低でも3日以内には我が家に着く予定じゃ」
「えっ…!?キーレンスに行くってデカードを通過するの?ガミンダスじゃなくて?」
「そうだよー。カナリスからガミンダスは今の状況だと厳しいからね。魔道具のマーキング的にもデカード、キーレンス、シュナインミレの順番以外ないね!」
シェインに聞き返したが、シェインの返答より先にミダが答えた。




