表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
581/582

581:西への道の暫定開通(1)新幹線

読書(よみかき)村】


 読書(よみかき)村は、ダンジョン影響圏の西端に作られた村で、ここから東にはダンジョンの機能で作られた転送陣と、ダンジョン構造物の自動車道(フリーウェイ)及び線路がある。西には部材を組み立てて作られた線路と、工事中の道路がある。さすがに転送陣(リニアモーター式エレベーター)をダンジョン外に作る工業力は無い。


「大量の貨物を運ぶには水運が最適ですが、海はありませんし地形的に運河も無理ですね。困ったことに。」

側近書記(セクレタリー)殿、鉄道は長距離大量輸送に向いていますから、現時点では最適でしょう。」

 浜田(ハマゴウ)は、背はマリーより少し低く、比較的がっしりした体格の女に見えるが雌雄同体。ヘルメットに納まる短髪は光の加減によっては構造色により青紫にも見える黒髪で、明るい青紫の髪飾りを付けている。


「でも、電車で米を運ぶなんて聞いたことがありませんね。」

「異世界日本は、さほど広い国では無いため、北陸の米を東京へ運ぶのならトラックで十分です。このダンジョンでは大型トラックが入手出来ないという問題はありますが。」

「移動図書館は、あまり大きいと運用が制約されますからね。日本で大型トレーラー(ビッグリグ)を使用した移動図書館は見当たりません。山オランダ諸国には大型バスを使用した移動図書館ありますが、このダンジョンでは入手できませんね。」


「異世界日本と異なり、このダンジョン中心部の穀倉地帯から、比較的人口の多い地域、例えば商都梅田まで3,000km、太宰府や多賀城まで2,000kmもあります。ダンジョン影響圏内でも、米を運ぶのに転送陣では無駄が多いですから、船で集荷し遠方へは鉄道で運ぶのが最適です。」

「太宰府、九州に対応する地域が身終(みのおわり)の南に『も』ありますね。たぶん、中華王朝『周の国』の向こうにもありそうですが。四国は、このダンジョンの南方と、本来の位置付近の両方にある模様ですし。」

「西域の彼方だと1万kmくらいありそうです。」

「この世界が半径6,600km、1周4万kmあまり(約41,500km)ですから、世界の裏側にヨーロッパを収める場所は無さそうですね。基本的に日本圏だけで他の文化は『周の国』のように部分的に存在するだけなのか、中国を含む東勝身洲(東アジア)・中華文明なのか、天竺(インド)もあるのか。早く世界の裏側まで届く飛行機が欲しいものですね。」


側近書記(セクレタリー)殿、さすがに飛行機は当分は手が出ません。電車だって、多摩県と堺県でそれぞれ図書館として使われていた・図書館に展示されていた『新幹線』車両に、移動図書館のモーターを組み込んだもので、ゼロから作った訳ではありません。」

「確かに、ダンジョン構造物は転送陣など特別な機能を有する特殊な物以外は、単純な組成・形状の物しか作れませんからね。」

「しかもダンジョン影響圏外では通常の物質の強度しかありません。もちろん、船のアスィエ級やアッチャイオ級は最初からダンジョン影響圏外の運行も考慮しています。電車もじきに車体はダンジョン構造物で作ることが可能になるでしょう。モーターなどは無理ですが。」


「ダンジョンから出たら、ダンジョンモンスターは生物学的には生きていないので『死体』になるし、飛行種族は墜落しますね。ダンジョン内で五位鷺が飛行出来るのに、飛行機は完全に物理法則が適用されて不完全な状態では飛行出来ないのは困りますが。」

「そういう『仕様』なのでしょうが、どういうカラクリなのかは未解明です。」

 鳥のゴイサギは当然どこでも飛行可能。だが重い鳥人は所属するダンジョンでしか飛行出来ない。龍に至っては所属ダンジョン外では飛行出来ないどころか自重で潰れる。修羅みたいに骨格がセルロースやリグニン主体ならもう少し軽量化可能だが、それでも限界はある。


「ただ、『新幹線』って100年も昔の旧式、しかも特殊な異端異世界だけの産物なんですよね。南関東交通局(SKTA)アメリカ製電車(シルバーライナー)とまでは言いませんが……。」

側近書記(セクレタリー)殿、ミント殿によると、機関車として使うことを考えれば、『新幹線』の2両で100tを軽く越える自重は有用とのことです。」


「重自動車も重油(A重油)もありませんからね……。」

 軽自動車はあるが軽油は無い。ガス空調機はあるがガス(メタン)は供給されない。

「無ければ作る。というのも選択肢ですが。技術書も論文も、図書館に収蔵されていれば入手できます。」

「『車輪の再発明』は容易ではありませんからね。労力的にも無駄が多いでしょう。確かに、必要な工業製品を産するダンジョンがはたして存在するのか。という問題がありますし、人工的にダンジョンを作ることが出来るのかは分かりません。とはいえ、『無ければ作る』より先に、何らかの方法で世界全体の情報を集めるべきでしょうね。」


側近書記(セクレタリー)殿、飛行機にせよ人工衛星にせよ、それこそ現状では『無ければ作る』しか無いかと思いますが。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ