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三話


 ギルドにつくとまず俺たちは受付へと向かった。

 あのおっさんの話だと受付で申し込めば、ギルドカードというものが作れるのだそうだ。

 でもよくよく考えてみれば、モンスターとどうやって戦うのかが全く分からない。

 それもギルドで聞く事にしたユウマは受付のお姉さんに話しかけた。


「あのすいません、ギルドカードを作りたいんですが」

「あ、かしこまりました。それでは今から検査を始めるのでこちらに来てください」

「......検査?」

「あっはい。検査についての説明を受けますか?」

「お願いします」


 そこから俺とユキは試験についての説明や注意事項を受けた。

 どうやらこの世界には主に戦士(せんし)、魔術師(まじゅつし)、盗賊(とうぞく)、狩人(かりうど)、聖職者(せいしょくしゃ)の五つの戦闘職があるらしく、この検査でその人に一番適している職業を見つけるそうだ。

 ギルドカードを発行するとこれらの職業につき、特殊な力を授かる事が出来る代わりに、これからギルドから特別な命令が出されたら出動を余儀なくされるそうだ。

 

 説明を受けた後、俺とユキは別々に検査を受け、その結果を待った。

 しばらくすると、俺とユキの名前が一緒に呼ばれ、先ほどの受付に向かった。


「お待たせしました。それでは検査結果を発表させてもらいます」

「はい、お願いします」

「えーとまずユウマ様ですね。ユウマ様は魔術師となりました。今から魔術師としてのギルドカードを発行しますがよろしいですか?」


 違いが特にわからないので、俺は勧められた職業にすることにした。


「大丈夫です」 

「それではお作りしますので、しばらくお待ちください」


 すると一分ほどで奥の方からカードが運ばれてきた。

 受付のお姉さんがカードと検査結果の詳細の書いた紙を受け取ると、何やら驚いた表情になった。


「どうかしましたか?」

「いや、すいません。数値があまりにも大きかったもので......それではカードを」


 俺はカードと分厚めの本を渡された。

 本には魔術師として、覚えなければならない魔法が書かれていた。


「本来魔法は初級魔法から使っていき、そこから中級、上級と上げていくのですが、ユウマ様の現在の魔力だと、正しく暗唱さえ行えばこの本に書いてある全ての魔法が使用可能です」

 

 少し興奮気味のお姉さんは、少し早口になりながらも丁寧に説明してくれた。

 

 その後検査の結果でユキが聖職者になることが決まったが、お姉さんがユキの数値を見てさらに興奮したのは言わずもがなだろう。



 二人はギルドカードを受け取った後すぐに討伐の依頼の任務を受けた。

 ギルドのシステムは低難度の任務を受けて実績を残していくと、次第に高難度の任務を受けられるようになるそうだ。

 俺とユキもまずは低難度の任務から始める事となる。


「二人の力なら大丈夫だと思われますが、最初の討伐任務ですのでお気をつけて」


 受付のお姉さんはそう言いながら送り出してくれた。




 「なあ、ユキもさっき分厚そうな本をもらってたけど、今見とかなくてもいいのか?目的地に着くとゴブリンとの戦闘が始まるぞ」


 俺たちはゴブリン討伐の任務を受けた後、街の門を出てゴブリンが生息していると言われている場所へと向かっていた

 その道中俺は魔法を使いこなせるようになるため、本を読んでいた。


「ふんっ、何を言う。あんなものもう覚えたわ」

「え、嘘だろ?」

「嘘をついてどうなるんじゃ。わらわは神だぞ、あれぐらいの暗記は容易い」

「マジかよ......」


 改めて神の恐ろしさを感じさせられる。

 

「ユウマも何をちんたらと見てるんじゃ。悠真(ゆうま)なら一度目を通せば覚えられるだろうよ」

「いや俺をなんだと思ってんだよ。そんなの人間技じゃないだろ」

「いいからやってみよ、わらわのパートナーがその本も覚えられないようでは困るからの」


 そんな無茶なと思いつつもとりあえず最後まで目を通した。

 ユキは俺が最後まで読み終えたのを確認すると俺から本を奪い取った。


「ふん、そうだな。じゃあ三十五ページに書いてある魔法は?」

「クリアウォーター」


 俺がそう言うと同時に俺の腕から綺麗な水が出てきた。


「ふむ、いつでも清潔な水を生み出せるのはいいものじゃな。これで旅でも水には困らんの」

「嘘だろ......」


 自分の記憶力がここまでとは思わなかった。

 確かに今俺の頭の中には本に書いてあった魔法が一言一句間違いなく叩き込まれている。

 

 その後二人は目的地に着くとそこにいたゴブリンを爆破で一瞬にして蹴散らしてしまった。

 討伐の証にゴブリンが身に着けているアクセサリーを持って帰ろうと思ったのだが、倒した時の爆破ですべて粉々になってしまった。


「何をやっとるんじゃ悠真ユウマよ」

「いや、すまない。でもこれはまずいぞ。もしこのまま帰って討伐が認められなかったら報酬はなしになって、今日は野宿をせざるをえなくなるぞ」

「仕方がない。一度帰って、別のを探すしかなかろう」


 その後俺たちは街へと帰り、先ほどのお姉さんに事情を説明すると


「あ大丈夫ですよ。もう暗くなってきてるので、今回は特別に任務を達成した事を認めます。以後下級モンスターにはそのような上級魔法は使わないようにしてください。下級モンスターは数が多いので討伐の確認がそのモンスターが身に着けているアクセサリーなどで行われるのですが、威力が高いとどうしてもそれらのアクセサリーが壊れてしまうので」

「本当にすいません」


 そう言って俺たちは50枚の銅貨をもらった。

 本来ならゴブリン10体討伐任務に加え、5体のゴブリンを倒したので、二十五枚の銅貨がボーナスでもらえるはずなのだが、さすがにそんな事は言えなかった。


 ちなみに硬貨の価値は銅貨100枚で銀貨一枚、銀貨100枚で金貨一枚という事になっている。

 この街の最安値の宿は部屋ひとつで一泊銅貨50枚なので何とか泊まる事は出来た。

 最安値の宿という事もあって部屋にはベットが一つあるだけで、ベットにも毛布が一枚置いてあるだけだった。


「ベットが一つか、まあ俺が床で寝るからユキはベットで寝たらいいよ」

「......しょに......るぞ」

「え?」

「一緒に寝るぞと言っておるのだ!」


 ユキは頬を赤く染めながらそう言うと先にベットに横たわった。

 ユキは恥ずかしそうだったが、もちろん俺も同い年の少女と同じベットで寝るのに緊張しないわけがない。

 俺はユキに背を向けるようにベットに入った。

 

「......」

「......」


 沈黙が部屋を支配する。

 ふいに、俺の背中にユキの体が触れる。

 

「すーすー......」


 疲れていたのか、ユキはすぐに寝てしまったようだ。

 ユキの寝顔を見るとそれはあまりにも綺麗で、少女のようなあどけなさを残しつつも、神としての高貴さも感じられた。

 

「お休み、ユキ」

 

 悠真(ゆうま)も疲れが溜まっていたので、それだけ言うとすぐに眠りに落ちてしまった。



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